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石動コネクション ―デビュー― Ⅱ

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 8月の土曜日。
 本来は休日なのだが、俺はやたらと当直や他の病院の有名な先生たちに会いに行かされたり、ともすれば系列の病院での救急に派遣される。
 それを今回ナシにしてもらった。
 今日から三日間は仕事をしなくてもいい。
 大仕事をするのだぁ!


 

 撮影所がある恵比寿に行く。
 場所は地図で確認し、バッチリだ。
 少し外れた大きな洋館だった。

 チャイムを押すと、助監督が現われ、すぐに二階の広いリヴィングに案内された。
 暑いので、冷えたコーラが出される。
 スタッフ全員が集められ、挨拶をした。
 そして簡単な段取りを話していると、女優さんたちが次々に到着した。
 俺は大感激で挨拶していった。

 女優さんたちのメイクに結構な時間が掛かった。

 「今回、25名の女優さんが集まったから」
 
 監督のポンチ加藤さんがニコニコして俺に言った。
 俺も簡単なヘアメイクと、少しのファンデーションを塗られた。

 「石神君はカッコイイねぇ!」
 「ありがとうございます!」

 しかし、裸になってみんなが驚く。
 俺も有頂天になっていて、忘れてしまっていた。
 俺の身体は傷だらけだ。

 「凄いね!」
 
 ポンチ加藤さんが言った。

 「うん! 迫力の画が撮れそうだぁ!」

 良かった。
 ここでダメになったら、絶対に泣く。
 基本はTシャツを着ながらだが、いよいよクライマックスとなったら全裸になる。
 そう決まった。
 
 豪勢な食事が出た。
 ドリンク剤もふんだんにあった。
 
 「慣れないと緊張で立たない人もいるけど、君の場合、心配無さそうだね」
 「はい!」

 既に綺麗な女優さんたちを見て、俺は臨戦態勢だった。

 台本はあったが、まあ、そこはAVだ。
 現場の流れと監督の独断でどうにでも変わる。
 一応、俺は次々と女を誑し込む「魔王」という設定だった。
 この作品の売りは、俺一人が大人数の女とヤリまくるというものだった。
 様々なシチュエーションで俺がとにかくやる。
 女も場所も体位も変わる。
 最後は25人と大乱交だ。
 一応控えの男優もいるが、出るかどうかはこれからの流れで決まると言われた。

 


 玄関で、最初の女を出迎えるシーンから始まる。
 俺はにこやかに女を迎え、いきなり玄関で女とヤル。
 最初なので丁寧に前技をし、俺のイヤラシさ全開で撮って行く。
 女優は途中で絶頂を何度も迎える。
 俺が本番に入ると、途中で失神した。
 大量に体液を噴き出す。

 「カァーット! 凄いぜ、石神君!」
 「ありがとうございます!」

 スタッフたちが全員で俺を褒め称えた。

 すぐに三人の女優とのシーン。
 三人が俺にサービスしていく。
 そそり立つ俺のオレに女優たちの表情が変わる。
 俺はオレと両手を使い、三人の女優を絶頂へ導き、休まず三回大量にぶちまけた。
 中に二人、一人は顔面がドロドロになる。

 三人とも放心していた。

 風呂場、キッチン、リヴィング、ベッドルーム、テラス、庭、門柱の上、屋根、様々な場所で撮影する。
 処女喪失(もちろんウソ)もあれば、JK、OL、人妻、SM女王、小学生(もちろんウソ)など。
 体位も展開し、口も後ろも使う。

 途中で何度か休憩が入る。
 俺は焼き肉やステーキをガンガン食べながら、卵をドリンク剤で流し込んで行った。
 その間に女優たちが俺の周囲に集まり、俺を褒め称えてくれる。

 「初めてなの!」
 「まだまだ立つの!」
 「凄いテクだった!」
 「あんなにイッタの初めてよ!」

 俺は嬉しくなり、喜びのオチンチン風車で盛り上げた。
 俺は大好きな女優さんたちの魅力を褒め称え、喜ばれた。
 いい雰囲気で撮影が進み、最後の大乱交のシーンになった。

 「石神君、流石にきついんじゃないの?」
 「大丈夫ですよ! 女優のみなさんがこんなにも魅力的ですからぁ!」
 
 大歓声が起き、最後の撮影になった。

 やっていることはアレだが、みんな真剣に挑んでいく。
 女優もプロだ。
 好き勝手にヤル人間は一人もいない。
 時々「カット」の声が掛かり、態勢を変えたりカメラの位置を変えるまで待ったりする。
 最も煽情的に映るように、ポンチ加藤監督はコワイ顔でカメラマンや助監督に指示している。

 リヴィングでの撮影が始まって15時間後。
 ようやくすべての撮影が終わった。
 俺もダウン寸前だったが、達成感の方が強かった。
 女優の大半は意識を喪っている。
 起きている数人はまだ俺の身体を無意識に求めていた。

 「石神君!」

 ポンチ加藤監督が俺の前に立ち、涙を流していた。

 「僕は最高傑作を撮ったよ!」
 「おめでとうございます」
 「全て、君のお陰だぁ!」
 「ありがとうございます!」

 俺たちは固い握手を交わした。
 最高の気分だった。

 女優たちがスタッフたちによって起こされ、順番にシャワーを使って行く。
 俺は特に大好きだと言った女優さんたちに身体を洗ってもらった。

 そのままみんなで打ち上げをした。
 一部の人間はその間も画の確認をしていた。

 「監督! 計69発ですよ!」
 「人間かぁ!」

 映像の確認をしていたスタッフがポンチ加藤さんに報告し、驚かれた。

 「途中で休憩が入りましたからね」
 「いや、人間じゃないよ、この数は」
 「アハハハハハ!」

 知らん。

 


 DVDは大好評だったようだ。
 石動からも大絶賛され、「僕のコレクションの殿堂入りだ」と言われた。
 嬉しかった。
 石動は数ページを使って俺の出演作を雑誌で褒め称えてくれた。
 実際に全て俺の発射だと書き、物議を醸しだした。
 DVDは版を重ね、制作会社の最高の売上になったらしい。
 ファンたちからも、自分の推しの女優が最高の演技だったと評判になった。




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 「タカさん! 凄かったです!」
 「だよなぁー!」
 「あれ、ほとんどぶっ続けですよね!」
 「そうだ。俺の中でも最高記録だな」
 「カァー!」

 皇紀が大興奮だった。

 「ところで、幾らもらったんですか?」
 「ああ、10万円」
 「え! ちょっと少なくありません?」
 「まあ、仕事量に対してはそうだけどな。でも男優でそれだけ貰えるっていうのも結構高いんだよ。それに俺も楽しませてもらったからな。金は受け取らなかった」
 「そうなんですか!」
 「やっぱり、観る人間は女優を観るわけだからな」
 「なるほど!」

 皇紀は少し残念がったが、納得した。

 「でも、第二作とか話が来たんじゃないですか?」
 「ああ、来たけどなぁ」
 「じゃあ!」
 
 俺は苦笑した。

 「それがな。病院内で、このAVを見た奴がいてさ」
 「エェー!」
 「今の院長に報告しやがって」
 「大変です!」
 「ああ、危うく解雇されるとこだった」

 俺は笑った。

 「金を受け取ってなかったのが良かったんだ。それで何とか首の皮一枚でな。危なかったぜぇ」
 「アハハハハハ!」
 「院長って、ああいう真面目な人だろ? あの時の怒りは忘れられねぇよ」
 「アハハハハハ!」
 
 





 俺は院長に苦労を掛けてばかりだ。
 でも、楽しかった。

 「石神、お前のやることは俺の想像を遙かに上回ってるぞ」
 「すいません」
 「まあ、もういい。でも、俺は今後お前を下に置いておけるか自信がない」
 「大丈夫ですよ!」
 「何でそう言い切れるんだよ?」
 「俺、蓼科部長が大好きですから!」
 「お前なぁ」

 院長が笑ってくれた。
 本当に優しい笑顔だった。
 DVDを一枚進呈すると言うと、本気で殴られた。
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