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堕落
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二頭のジェヴォーダンが数百の肉片と化していた。
膨大な血肉と臓物の拡がりに、「業」様は満足げに笑っていた。
「いかがでしょうか、「業」様。「Chevalier du cristal(水晶の騎士)」は御満足いただけましたでしょうか」
私は直立の姿勢のまま、「業」に頭を下げて言った。
「ああ、ウラ。満足だ。よく呼び寄せた」
「はい」
「日本を離れ、お前はもう役立たずかと思っていたが。まだ役立ちそうだな」
「はい。外の国でのやり方が分かりましたので。ただ、どのようなものが呼べるのかに手間取り、「業」様をご不快のままお待たせいたしました」
「よい。ここまでの者が用意出来たのだ。待った甲斐があった」
「ありがとうございます」
二人で目の前に立つ、巨大な騎士を見ていた。
身長9メートルの、透明な身体の偉丈夫。
長さ20メートルの馬上槍のようなものを持ち、8メートルの大剣を腰に佩いている。
頭部は簡略化した西洋鎧の頭部のようになっていて、表情は分からない。
「「業」様の命じるままに動きます。存分にお使い潰し下さい」
「分かった。先日の「Esprit arc(弓の精霊)」も面白いものだった。引き続きやれ」
「はい」
私は深々と頭を下げ、「王の間」を出た。
日本での名前は「道間宇羅」。
道間家の当主として、最大最強の存在「業」様を生み出した。
「人間」に縛られずに純粋に行動する「業」様は、強力な妖魔「大羅天王」との融合を果たした。
成長と共にその実力は上昇し、人間に妖魔を降すことが出来るようになった。
まだ、限られた条件下でしか発動はしないが、やがて多くの人間を一瞬で怪物と化すことが出来るだろう。
そのための地均し的なものを、ミハイロフが担っている。
ミハイロフは生物学に長け、遺伝子操作によりジェヴォーダンを生み出し、「業」様の兵士となる「バイオノイド」を開発している。
人間の自我を消し、「業」様の命令に従う強靭な兵士だ。
そして、ミハイロフはまた細菌兵器の開発にも着手し、人間を狂騒状態にしながら、「業」様の妖魔降ろしを実現しやすいようにする研究を進めている。
私はその一方で妖魔を呼び出し、顕現する研究をしていた。
かつては「神降ろし」の巫女がやっていた呼び出しを、西洋魔術の召喚陣によって、数百の人間の命を捧げることで実現できることを知った。
問題はその制御だった。
呼び出しても、こちらの意のままに出来ないのでは使いようがない。
しかしその問題は、「業」様の素晴らしい能力によって解決した。
霊獣の王であった「大羅天王」は、これまで集めて来た膨大な妖魔の「核」を使い、呼び出した妖魔に埋め込んで自在に操ることが出来た。
私は歓喜した。
「弓の精霊」は、身長4メートルほどの存在で、巨大な弓を操り同時に数百の目標を射抜くことが出来た。
その威力は、一矢が戦車を破壊し、射程は数十キロに及んだ。
軍隊の機甲師団も、一撃で撃破出来る。
今回の「水晶の騎士」はより強力な破壊力を持ち、数百の突きを一瞬で行なう。
凄まじい突きは、恐らく小さな町をものの数秒で破壊するだろう。
高層ビルの多い大都市であっても、ものの数分。
今はまだこちらの戦力が「バイオノイド」と「ジェヴォーダン」であると思い込んでいる石神たちを、一瞬で滅ぼす切り札となる。
更に私は別な準備も進めていた。
妖魔たちによる軍団の編成だ。
小さな妖魔であれば、無数に呼び寄せることが出来る。
それでも、一体は人間の兵士よりもはるかに強靭だ。
それの大軍団を組織し、一挙に戦況を握る。
妖魔に対する準備の無い今の世界は、思うままに蹂躙出来るだろう。
いかに石神たちが「花岡」磨き上げても、「業」様の考える超常の戦力の前では何ほどのこともない。
「ジェヴォーダン」や「バイオノイド」にはある程度対抗出来たとしても、妖魔の兵站には為す術もない。
「この俺が戦いの趨勢を握っているのだ」
私は長い廊下を歩きながら、満面の笑みを浮かべていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「お父様、どうかお考え直し下さい!」
娘の麗星が言っていた。
道間の人間のくせに、外の世界に興味を持ち、京都大学などに通っている。
道間の外れ者だ。
「黙れ。お前などに何が分かる」
「分かります! お父様の為さろうとしていることは、この「倭」を滅ぼしかねない所業です」
「何を言うか。俺はこれまで道間が成し遂げられなかった強大な力を生み出すのだ」
麗星は尚も食い下がった。
「強い者なのは分かります。それはお父様の優れたお力です。でも、生み出した者は悪鬼以外の何者にもなりません!」
「それならばそれで良い」
「何を!」
「まずは生み出そう。そこからまた道間が考えれば良いのだ」
「いけません!」
そこまでだった。
私の命で麗星は連れ出された。
破壊の権化の「豪鬼」と「陀指竜」二体の融合。
それまで一体が限りとされた限界を超える。
妖魔の中でも一際大きな身体を持つ、「轟世轟蛇」との融合。
道間の長い歴史の中でも、最大種の存在を試す。
そして最も穢れ最も邪悪とされた「大羅天王」との融合。
霊獣の王とも呼ばれる存在は、果たして人間と交わることが出来るのか。
道間家の女が生んだその子どもは、生まれながらの異常者だった。
人を破壊し殺すことに何の頓着も無いその子どもは、更に筋肉の異常発達という特殊な体質を持っていた。
その純粋な精神と強靭な肉体が、二体の妖魔を身体に取り込ませることに成功させた。
しかし、その子どもは成長と共に、自分の異物と無意識に反発するようになった。
いつの日か、自分の異物を取り除くことを夢見るようになった。
「轟世轟蛇」との融合は、最初から失敗した。
やはり、その巨大さが人間の限界を超え過ぎていた。
子どもは数千の肉を飛び散らして死んだ。
最後の一人は、「花岡」の子どもだった。
花岡家で処分が決まっていた邪悪な魂を持つ子どもが、道間家との取引で差し出されることとなった。
私は邪悪な性質を変える可能性を仄めかし、「花岡」の当主を騙した。
花岡斬は孫の再生を願い、業を預けた。
そして生まれた。
最凶最悪の存在「業」が生まれた。
最初から、驚くべき融和性を示した。
邪悪な魂が呼び合ったかのようだった。
「業」は穏やかな性質を示しながら、その邪悪を奥底に隠した。
花岡斬は喜び、「業」を生かすことを決めた。
斬が隠された邪悪に気付いた時、既に「業」は誰の手にも負えなくなっていた。
斬は「業」を殺す技を磨く決意をし、「業」は一旦「花岡」から離された。
しかし、全ては遅かった。
「宇羅、迎えに来た」
突然、目の前に「業」が現われ、そう言った。
「俺はようやく、「敵」を見つけた。散々探し回った。「あいつら」が俺を斃すためにこの世に送った者だ。ようやく見つけた」
「お前は「業」か?」
「お前を連れてゆく。俺のために働け」
そう「業」様に言われた。
俺はその通りなのだと知った。
「業」様のお傍にいれば、これまで実現できなかったことが自由に出来るようになる。
今まで俺は、何をやっていたのだろう。
なにを「いけない」と思っていたのだろう。
「業」様が、俺に全てを見られるようにして下さった。
数千の肉を散らかして死んだ子どもに済まないと思っていた俺は、まるで愚かだった。
毎日、その魂の安らぎを願っていた愚か者はもういない。
俺はこれから、幾千万、幾億、すべての人間を滅ぼすのだ。
これほど嬉しいことはない。
五百人の命で強力な妖魔を呼び出せることを知った。
ならば、都市を丸ごと捧げよう。
もっと「業」様を喜ばせよう。
石神の軍勢など、取るに足らん。
「業」様の軍勢を見て、驚き恐れ戦くがいい。
目の前で世界が消えていく様を嘆き悲しんで観るがいい。
俺の中で何かが小さく疼いた。
一瞬、美しい若い女の顔が過った。
あれは誰だったか。
「お父様!」
その言葉は何だったのか。
一瞬で消え、俺はどうでもよくなった。
膨大な血肉と臓物の拡がりに、「業」様は満足げに笑っていた。
「いかがでしょうか、「業」様。「Chevalier du cristal(水晶の騎士)」は御満足いただけましたでしょうか」
私は直立の姿勢のまま、「業」に頭を下げて言った。
「ああ、ウラ。満足だ。よく呼び寄せた」
「はい」
「日本を離れ、お前はもう役立たずかと思っていたが。まだ役立ちそうだな」
「はい。外の国でのやり方が分かりましたので。ただ、どのようなものが呼べるのかに手間取り、「業」様をご不快のままお待たせいたしました」
「よい。ここまでの者が用意出来たのだ。待った甲斐があった」
「ありがとうございます」
二人で目の前に立つ、巨大な騎士を見ていた。
身長9メートルの、透明な身体の偉丈夫。
長さ20メートルの馬上槍のようなものを持ち、8メートルの大剣を腰に佩いている。
頭部は簡略化した西洋鎧の頭部のようになっていて、表情は分からない。
「「業」様の命じるままに動きます。存分にお使い潰し下さい」
「分かった。先日の「Esprit arc(弓の精霊)」も面白いものだった。引き続きやれ」
「はい」
私は深々と頭を下げ、「王の間」を出た。
日本での名前は「道間宇羅」。
道間家の当主として、最大最強の存在「業」様を生み出した。
「人間」に縛られずに純粋に行動する「業」様は、強力な妖魔「大羅天王」との融合を果たした。
成長と共にその実力は上昇し、人間に妖魔を降すことが出来るようになった。
まだ、限られた条件下でしか発動はしないが、やがて多くの人間を一瞬で怪物と化すことが出来るだろう。
そのための地均し的なものを、ミハイロフが担っている。
ミハイロフは生物学に長け、遺伝子操作によりジェヴォーダンを生み出し、「業」様の兵士となる「バイオノイド」を開発している。
人間の自我を消し、「業」様の命令に従う強靭な兵士だ。
そして、ミハイロフはまた細菌兵器の開発にも着手し、人間を狂騒状態にしながら、「業」様の妖魔降ろしを実現しやすいようにする研究を進めている。
私はその一方で妖魔を呼び出し、顕現する研究をしていた。
かつては「神降ろし」の巫女がやっていた呼び出しを、西洋魔術の召喚陣によって、数百の人間の命を捧げることで実現できることを知った。
問題はその制御だった。
呼び出しても、こちらの意のままに出来ないのでは使いようがない。
しかしその問題は、「業」様の素晴らしい能力によって解決した。
霊獣の王であった「大羅天王」は、これまで集めて来た膨大な妖魔の「核」を使い、呼び出した妖魔に埋め込んで自在に操ることが出来た。
私は歓喜した。
「弓の精霊」は、身長4メートルほどの存在で、巨大な弓を操り同時に数百の目標を射抜くことが出来た。
その威力は、一矢が戦車を破壊し、射程は数十キロに及んだ。
軍隊の機甲師団も、一撃で撃破出来る。
今回の「水晶の騎士」はより強力な破壊力を持ち、数百の突きを一瞬で行なう。
凄まじい突きは、恐らく小さな町をものの数秒で破壊するだろう。
高層ビルの多い大都市であっても、ものの数分。
今はまだこちらの戦力が「バイオノイド」と「ジェヴォーダン」であると思い込んでいる石神たちを、一瞬で滅ぼす切り札となる。
更に私は別な準備も進めていた。
妖魔たちによる軍団の編成だ。
小さな妖魔であれば、無数に呼び寄せることが出来る。
それでも、一体は人間の兵士よりもはるかに強靭だ。
それの大軍団を組織し、一挙に戦況を握る。
妖魔に対する準備の無い今の世界は、思うままに蹂躙出来るだろう。
いかに石神たちが「花岡」磨き上げても、「業」様の考える超常の戦力の前では何ほどのこともない。
「ジェヴォーダン」や「バイオノイド」にはある程度対抗出来たとしても、妖魔の兵站には為す術もない。
「この俺が戦いの趨勢を握っているのだ」
私は長い廊下を歩きながら、満面の笑みを浮かべていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「お父様、どうかお考え直し下さい!」
娘の麗星が言っていた。
道間の人間のくせに、外の世界に興味を持ち、京都大学などに通っている。
道間の外れ者だ。
「黙れ。お前などに何が分かる」
「分かります! お父様の為さろうとしていることは、この「倭」を滅ぼしかねない所業です」
「何を言うか。俺はこれまで道間が成し遂げられなかった強大な力を生み出すのだ」
麗星は尚も食い下がった。
「強い者なのは分かります。それはお父様の優れたお力です。でも、生み出した者は悪鬼以外の何者にもなりません!」
「それならばそれで良い」
「何を!」
「まずは生み出そう。そこからまた道間が考えれば良いのだ」
「いけません!」
そこまでだった。
私の命で麗星は連れ出された。
破壊の権化の「豪鬼」と「陀指竜」二体の融合。
それまで一体が限りとされた限界を超える。
妖魔の中でも一際大きな身体を持つ、「轟世轟蛇」との融合。
道間の長い歴史の中でも、最大種の存在を試す。
そして最も穢れ最も邪悪とされた「大羅天王」との融合。
霊獣の王とも呼ばれる存在は、果たして人間と交わることが出来るのか。
道間家の女が生んだその子どもは、生まれながらの異常者だった。
人を破壊し殺すことに何の頓着も無いその子どもは、更に筋肉の異常発達という特殊な体質を持っていた。
その純粋な精神と強靭な肉体が、二体の妖魔を身体に取り込ませることに成功させた。
しかし、その子どもは成長と共に、自分の異物と無意識に反発するようになった。
いつの日か、自分の異物を取り除くことを夢見るようになった。
「轟世轟蛇」との融合は、最初から失敗した。
やはり、その巨大さが人間の限界を超え過ぎていた。
子どもは数千の肉を飛び散らして死んだ。
最後の一人は、「花岡」の子どもだった。
花岡家で処分が決まっていた邪悪な魂を持つ子どもが、道間家との取引で差し出されることとなった。
私は邪悪な性質を変える可能性を仄めかし、「花岡」の当主を騙した。
花岡斬は孫の再生を願い、業を預けた。
そして生まれた。
最凶最悪の存在「業」が生まれた。
最初から、驚くべき融和性を示した。
邪悪な魂が呼び合ったかのようだった。
「業」は穏やかな性質を示しながら、その邪悪を奥底に隠した。
花岡斬は喜び、「業」を生かすことを決めた。
斬が隠された邪悪に気付いた時、既に「業」は誰の手にも負えなくなっていた。
斬は「業」を殺す技を磨く決意をし、「業」は一旦「花岡」から離された。
しかし、全ては遅かった。
「宇羅、迎えに来た」
突然、目の前に「業」が現われ、そう言った。
「俺はようやく、「敵」を見つけた。散々探し回った。「あいつら」が俺を斃すためにこの世に送った者だ。ようやく見つけた」
「お前は「業」か?」
「お前を連れてゆく。俺のために働け」
そう「業」様に言われた。
俺はその通りなのだと知った。
「業」様のお傍にいれば、これまで実現できなかったことが自由に出来るようになる。
今まで俺は、何をやっていたのだろう。
なにを「いけない」と思っていたのだろう。
「業」様が、俺に全てを見られるようにして下さった。
数千の肉を散らかして死んだ子どもに済まないと思っていた俺は、まるで愚かだった。
毎日、その魂の安らぎを願っていた愚か者はもういない。
俺はこれから、幾千万、幾億、すべての人間を滅ぼすのだ。
これほど嬉しいことはない。
五百人の命で強力な妖魔を呼び出せることを知った。
ならば、都市を丸ごと捧げよう。
もっと「業」様を喜ばせよう。
石神の軍勢など、取るに足らん。
「業」様の軍勢を見て、驚き恐れ戦くがいい。
目の前で世界が消えていく様を嘆き悲しんで観るがいい。
俺の中で何かが小さく疼いた。
一瞬、美しい若い女の顔が過った。
あれは誰だったか。
「お父様!」
その言葉は何だったのか。
一瞬で消え、俺はどうでもよくなった。
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