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専用ゴミ箱
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お食事中の方には申し訳ない。
うちのトイレは、よく詰まる。
最初の頃は毎回便利屋を呼んでいた。
しかし、本当にしょっちゅう詰まるので、うちで対策するようになった。
便利屋から、「デオライトSP」がいいのだと教えてもらう。
普通に市販されていない、登録の手続きなどがあり、購入は面倒なものだ。
でも、いいので使っている。
原因は明白だ。
子どもたちの異常な食事量に、一般の人間用に作ったトイレが対処しきれない。
今更トイレの使い方などは教えたくもないが、そうも言ってもいられない。
毎回大変なことになっている。
「何度かに分けて流せ」
「「「「はい!」」」」
一旦詰まると、薬剤を流し、その上でエアーポンプの特殊機材で詰まりを押し出す。
よく、スゴイ塊が崩れて出て来る。
「……」
もちろん、誰のかは分からない。
少なくとも、俺のじゃない。
一度、ハーが流し忘れた。
夜中に全員を叩き起こし、誰のかを問い質し、ハーが自分だと言った。
まあ、正直に言えばそれでいいのだが、俺はその大きさに別途驚いていた。
俺の言いつけ通りに千切ってはいたが、太さが成人女性の腕程もあった。
「そりゃ、詰まるよなー」
うちのトイレはタンク式ではない。
水道水のパイプが直接流す。
だからタンクに溜まるのを待たずに、連続して流せる。
そういう最新式のものにしておいて良かった。
一階から三階まで各一か所トイレがある。
急いでいる時には、みんなが空いているトイレに入る。
俺は家長なので、優先されるが、それでも待つこともある。
みんな10分は入っている。
出てくると、ちょっと放心した顔になってることもある。
「ハー、大丈夫か?」
「うん、なんかコワイくらい出た」
「そうか」
コワイらしい。
幸い、うちの子で便秘になる人間はいない。
でも、なったら大変だ。
しばらく前から、サラダを必須にし、嫌でも食べさせている。
便秘になったらすぐに報告するように厳命してもいる。
いい薬がある。
「千切り令」を発布してから、トイレが詰まることはほとんど無くなった。
詰まる場合は、千切る前に出してしまった場合だ。
俺はトイレのメーカーに問い合わせ、どれほどの流す性能があるのかを確認した。
「大丈夫ですよ! 人間の最大量に対応できるように設計されてます」
「そこをどうか詳細に!」
「いやぁ、数値は外には出してないんですよ」
「とっても硬くて大きいんです!」
「そんなこと言われてもですね」
「今度、写真送りましょうか?」
「え、写真撮ってるんですか?」
「いえ。でも撮らせてくれと頼めば大丈夫ですよ」
「あ、でも、そういうのはちょっと」
「何なら現物でも」
「困りますって!」
「若い女性ですが、俺の言うことは絶対なので」
「あのですね!」
相当なウンコマニアと思われた。
俺は設計上の数値を貰い、子どもたちに万一出てしまった場合は、割箸で割って少しずつ流すように言った。
子どもたちは真剣な顔で聞いていた。
使った割箸は各自で庭の物置のゴミに入れることになった。
何度かゴミ袋から割箸が飛び出し、双子が絶叫した。
双子が泣き顔で、割箸の捨て方をみんなに頼んだ。
努力の甲斐があり、一年くらい、トイレが詰まることが無くなった。
「亜紀ちゃん、最近トイレが詰まらなくなったな」
「ええ。詰まると大変でしたもんね」
「おう。お前らのが逆流して、地獄だったよな」
「アハハハハハ!」
「二か所詰まった時には、俺も怖かったよ」
「一階はタカさん専用になりましたもんね」
「しょうがねぇだろう!」
「ルーは庭でやってましたよ」
「ほんとかよ!」
「もう今では笑い話ですが」
「笑えねぇよ!」
ところが、ここ一年の間に、またよく詰まるようになった。
俺は子どもたちを集めた。
柳もいる。
「お前ら! ちゃんと千切ってるだろうなぁ!」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあ何で詰まるんだぁ!」
「「「「「……」」」」」
俺がやれと言ったことをやらないのは許せない。
「二度と繰り返すんじゃねぇぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
一人ずつ頭を引っぱたいた。
詰まった。
土曜日の夜だ。
俺は激怒し、また子どもたちを集め、一人ずつぶん殴った。
全員がリヴィングの隅まで吹っ飛び、折り重なった。
「これから回収して、早乙女にDNA鑑定をやらせる!」
「「「「「!」」」」」
「判明した奴は覚悟しろ!」
「「「「「はい!」」」」」
全員の返事がいい。
自分ではないと思っているらしい。
俺は道具を持って、三階のトイレへ向かった。
亜紀ちゃんにやらせる。
薬剤を流し、エアポンプで水圧を掛ける。
おかしい。
誰かのウンコが出て来る。
それはいい。
でも、細かな白い破片が大量に出て来る。
なんだ?
亜紀ちゃんをどかし、ルーに懐中電灯を持って来るように言った。
照らしてみると、紙の破片のようだ。
備え付けの「緊急割箸」で摘まんでみる。
「紙だな」
今までこんなことは無かった。
トイレットペーパーは、水溶性なので溶けてなくなるものだ。
だから、トイレットペーパー以外の紙を流したことになる。
「おい! ここにトイレットペーパー以外の紙を流した奴はいるか!」
皇紀が手を挙げた。
「何を流した!」
「ティッシュペーパーです!」
「なんだと?」
全員をリヴィングに戻し、皇紀に話させた。
「前に、僕の部屋のティッシュペーパーを捨てようとして、お姉ちゃんがちょっと手に付いたって」
「あ?」
「あぁー! 皇紀のオナニーの!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「それから、使ったものをゴミ箱じゃなくてトイレに流すようにしてました」
「「「「バカヤロー!」」」」
皇紀は一時間以上かけてトイレを開通させた。
その後で四人からボコボコにされた。
その後、皇紀の「オナニー専用ゴミ箱」が部屋に置かれ、自分で物置に運ぶようにされた。
ゴミ箱に「皇紀精液用」と明記された。
「バッチィ」「エンガチョ」「危険☢」「栗の花」と、マジックでそれぞれが書いた。
日曜日の朝、亜紀ちゃんが俺の部屋の掃除に来た。
「これでトイレも安心ですね」
「お前ら、あんまり酷いことするなよなぁ」
「アハハハハハ!」
亜紀ちゃんがゴミ箱を俺のベッド脇に置いた。
「なんだ、それは?」
「タカさん用ですよ? あ、私がちゃんと捨てますからね!」
「「ニャハハハハハ!」」
二人で笑った。
「亜紀ちゃん管理品」と書いてあった。
うちのトイレは、よく詰まる。
最初の頃は毎回便利屋を呼んでいた。
しかし、本当にしょっちゅう詰まるので、うちで対策するようになった。
便利屋から、「デオライトSP」がいいのだと教えてもらう。
普通に市販されていない、登録の手続きなどがあり、購入は面倒なものだ。
でも、いいので使っている。
原因は明白だ。
子どもたちの異常な食事量に、一般の人間用に作ったトイレが対処しきれない。
今更トイレの使い方などは教えたくもないが、そうも言ってもいられない。
毎回大変なことになっている。
「何度かに分けて流せ」
「「「「はい!」」」」
一旦詰まると、薬剤を流し、その上でエアーポンプの特殊機材で詰まりを押し出す。
よく、スゴイ塊が崩れて出て来る。
「……」
もちろん、誰のかは分からない。
少なくとも、俺のじゃない。
一度、ハーが流し忘れた。
夜中に全員を叩き起こし、誰のかを問い質し、ハーが自分だと言った。
まあ、正直に言えばそれでいいのだが、俺はその大きさに別途驚いていた。
俺の言いつけ通りに千切ってはいたが、太さが成人女性の腕程もあった。
「そりゃ、詰まるよなー」
うちのトイレはタンク式ではない。
水道水のパイプが直接流す。
だからタンクに溜まるのを待たずに、連続して流せる。
そういう最新式のものにしておいて良かった。
一階から三階まで各一か所トイレがある。
急いでいる時には、みんなが空いているトイレに入る。
俺は家長なので、優先されるが、それでも待つこともある。
みんな10分は入っている。
出てくると、ちょっと放心した顔になってることもある。
「ハー、大丈夫か?」
「うん、なんかコワイくらい出た」
「そうか」
コワイらしい。
幸い、うちの子で便秘になる人間はいない。
でも、なったら大変だ。
しばらく前から、サラダを必須にし、嫌でも食べさせている。
便秘になったらすぐに報告するように厳命してもいる。
いい薬がある。
「千切り令」を発布してから、トイレが詰まることはほとんど無くなった。
詰まる場合は、千切る前に出してしまった場合だ。
俺はトイレのメーカーに問い合わせ、どれほどの流す性能があるのかを確認した。
「大丈夫ですよ! 人間の最大量に対応できるように設計されてます」
「そこをどうか詳細に!」
「いやぁ、数値は外には出してないんですよ」
「とっても硬くて大きいんです!」
「そんなこと言われてもですね」
「今度、写真送りましょうか?」
「え、写真撮ってるんですか?」
「いえ。でも撮らせてくれと頼めば大丈夫ですよ」
「あ、でも、そういうのはちょっと」
「何なら現物でも」
「困りますって!」
「若い女性ですが、俺の言うことは絶対なので」
「あのですね!」
相当なウンコマニアと思われた。
俺は設計上の数値を貰い、子どもたちに万一出てしまった場合は、割箸で割って少しずつ流すように言った。
子どもたちは真剣な顔で聞いていた。
使った割箸は各自で庭の物置のゴミに入れることになった。
何度かゴミ袋から割箸が飛び出し、双子が絶叫した。
双子が泣き顔で、割箸の捨て方をみんなに頼んだ。
努力の甲斐があり、一年くらい、トイレが詰まることが無くなった。
「亜紀ちゃん、最近トイレが詰まらなくなったな」
「ええ。詰まると大変でしたもんね」
「おう。お前らのが逆流して、地獄だったよな」
「アハハハハハ!」
「二か所詰まった時には、俺も怖かったよ」
「一階はタカさん専用になりましたもんね」
「しょうがねぇだろう!」
「ルーは庭でやってましたよ」
「ほんとかよ!」
「もう今では笑い話ですが」
「笑えねぇよ!」
ところが、ここ一年の間に、またよく詰まるようになった。
俺は子どもたちを集めた。
柳もいる。
「お前ら! ちゃんと千切ってるだろうなぁ!」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあ何で詰まるんだぁ!」
「「「「「……」」」」」
俺がやれと言ったことをやらないのは許せない。
「二度と繰り返すんじゃねぇぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
一人ずつ頭を引っぱたいた。
詰まった。
土曜日の夜だ。
俺は激怒し、また子どもたちを集め、一人ずつぶん殴った。
全員がリヴィングの隅まで吹っ飛び、折り重なった。
「これから回収して、早乙女にDNA鑑定をやらせる!」
「「「「「!」」」」」
「判明した奴は覚悟しろ!」
「「「「「はい!」」」」」
全員の返事がいい。
自分ではないと思っているらしい。
俺は道具を持って、三階のトイレへ向かった。
亜紀ちゃんにやらせる。
薬剤を流し、エアポンプで水圧を掛ける。
おかしい。
誰かのウンコが出て来る。
それはいい。
でも、細かな白い破片が大量に出て来る。
なんだ?
亜紀ちゃんをどかし、ルーに懐中電灯を持って来るように言った。
照らしてみると、紙の破片のようだ。
備え付けの「緊急割箸」で摘まんでみる。
「紙だな」
今までこんなことは無かった。
トイレットペーパーは、水溶性なので溶けてなくなるものだ。
だから、トイレットペーパー以外の紙を流したことになる。
「おい! ここにトイレットペーパー以外の紙を流した奴はいるか!」
皇紀が手を挙げた。
「何を流した!」
「ティッシュペーパーです!」
「なんだと?」
全員をリヴィングに戻し、皇紀に話させた。
「前に、僕の部屋のティッシュペーパーを捨てようとして、お姉ちゃんがちょっと手に付いたって」
「あ?」
「あぁー! 皇紀のオナニーの!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「それから、使ったものをゴミ箱じゃなくてトイレに流すようにしてました」
「「「「バカヤロー!」」」」
皇紀は一時間以上かけてトイレを開通させた。
その後で四人からボコボコにされた。
その後、皇紀の「オナニー専用ゴミ箱」が部屋に置かれ、自分で物置に運ぶようにされた。
ゴミ箱に「皇紀精液用」と明記された。
「バッチィ」「エンガチョ」「危険☢」「栗の花」と、マジックでそれぞれが書いた。
日曜日の朝、亜紀ちゃんが俺の部屋の掃除に来た。
「これでトイレも安心ですね」
「お前ら、あんまり酷いことするなよなぁ」
「アハハハハハ!」
亜紀ちゃんがゴミ箱を俺のベッド脇に置いた。
「なんだ、それは?」
「タカさん用ですよ? あ、私がちゃんと捨てますからね!」
「「ニャハハハハハ!」」
二人で笑った。
「亜紀ちゃん管理品」と書いてあった。
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