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大阪 再会
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11月中旬の土曜日。
俺は皇紀と大阪へ出掛けた。
少し前に風花の動画をネットで見つけ、一度自分の目で防衛システムを確認しておこうと思ったのだ。
もちろん、風花にも会いたかったし、いつも大変なお世話になっている塩野社長に礼も言いたかった。
向こうで幾つかの防衛システムの拠点を回るので、車で行った。
シボレー・コルベットだ。
東名をぶっ飛ばした。
時速400キロを出す。
ステアリングは反応がいい。
改造した人間の腕が抜群なのだ。
「タカさん、動画の件は風花さんに話すんですか?」
「ああ、考えてねぇけどな。話の流れで話すかもしれんし」
「やめときましょうよ、カワイソウですよ」
「あ! お前がこの先も風花の新作動画を見たいんだろう!」
「そうじゃないですって!」
「そのうち、水着で踊るかもしれんぞ?」
「ほんとですかぁ!」
「やるわけねぇだろう、チンコ野郎」
「……」
俺は改めて皇紀から防衛システムの内容を確認した。
「風花さんがよく行く定食屋さんがあるんですよ」
「ああ、聞いたな」
「そこも守れるようにしたいんですけど」
「いいんじゃないか? 大分風花もお世話になってるようだしな」
「はい! それに本当に美味しくて! 僕なんかにも良くしてくれるんです!」
「じゃあ決まりだな。計画が出来たら、高木にまた必要な物件を頼もう」
「ありがとうございます!」
俺は笑った。
「しかし風花も自分でちゃんと作るようになっただろう?」
「はい、でも本当に美味しいんで、まだよく利用しているそうですよ」
「そうか」
「店主の人がいい方で。それに奥さんも素敵な人です」
「お前のチンコが疼くのか!」
「そうじゃないですよ!」
皇紀が笑って言った。
「でも、奥さんは僕なんかに色々優しくしてくれるんです」
「へぇー」
「ああ、最初に名前を言ったら、なんか喜んでくれて」
「皇紀っていい名前だもんな!」
「そうですか! 奥さんも「その名前ならサービスしなくちゃ」って言ってました」
皇紀が喜んだ。
「山中がな。次は男の子だって言ったんだ。それで奥さんと「コウキ」って音を決めて。どんな字がいいかって、俺にも相談に来たんだよ」
「そうなんですか!」
「俺が今のお前の名前を書いたらさ、「流石にこれは」って。まあ、相当な名前だしな」
「アハハハハハ!」
「でもな。自分の大事な子どもなんだから、一番スゴイ名前でいいかって。まあ、勢いでお前になった」
「アハハハハハ!」
皇紀が笑った。
「じゃあ、タカさんが付けてくれたんですね!」
「山中たちだよ! お前はそれだけ愛されて生まれたってことだ」
「はい!」
俺たちは途中のサービスエリアでコーヒーだけを飲んだ。
昼になっていたが、どうせなら大阪の美味しいものを食べようと話していた。
「俺を喰うなよ!」
「お姉ちゃんたちじゃないですよ!」
亜紀ちゃんと双子なら喰われるのか。
1時過ぎに大阪に着いた。
10時半頃に家を出たので、途中休んでも二時間半。
まー、はぇー。
ホテルの駐車場にシボレー・コルベットを停めてからチェックインを済ませ、歩いて外に出た。
前に六花と食べたお好み焼きの店に行く。
「大阪に来たら必ず寄りたいんですよ!」
店主が俺の顔を覚えていてくれたので、そう言った。
「ありがとう! じゃあ、今日も一杯食べてーな!」
皇紀と二人で5人前頼み、店主自ら焼いてくれる。
「皇紀! この店が大阪で数あるお好み焼き屋で最高に美味いんだ!」
「そうですか! でも本当に美味しいですね!」
店主が「ワハハハハ」と笑った。
最初は量を心配されたが、俺たちはペロリと喰い、たこ焼きも追加した。
「タカさん! このたこ焼きはミシュランの星のやつですか!」
「お前も段々分かって来たな!」
「「ワハハハハハ」」
俺たちが笑うと、店主がまた嬉しそうに笑った。
店を出て、三時になった。
二人で時間つぶしに困った。
「ゲーセンに行くかぁ!」
「アハハハハハ!」
分厚く膨れたエルメスのリザードのドゴンを脇に置いて、二人でゲームをしていた。
「おい!」
釣り餌に引っ掛かった。
三人組だ。
「仲間呼べよ」
「あんだと?」
俺と皇紀を囲んだまま、仲間が呼ばれた。
俺たちはゲームを続けていた。
俺はヘタなので、がんがんコインを投入していた。
ちょっと恥ずかしかった。
10人程集まった。
立ち上がった俺を見て、一人が叫んだ。
「おい! こいつはヤバ……」
俺を覚えているらしいそいつから潰した。
皇紀が2人ほどのした間に、俺が残りの8人を潰した。
全員の財布を取り上げたが、全部で2万にもならなかった。
「今はスマホ決済ですもんね」
頭に来て、全員のスマホを踏み潰した。
喫茶店に入り、コーヒーを飲む。
4時半。
俺たちは梅田精肉店本店に向かった。
「石神はん!」
社長室に案内され、塩野社長が満面の笑みで出迎えてくれた。
「いつも本当にお世話になってます!」
「こちらこそや! 東京支店からしょっちゅう話が来まっせ!」
俺たちは握手をし、塩野社長に土産を渡した。
虎屋の羊羹。
鈴伝の栗菓子。
村上開進堂のクッキー。
そして宣材に使えそうな、俺たちの肉喰いの写真データ。
今回は亜紀ちゃんが編集した、動画もある。
動画はパッケージも付けて、DVDに焼いた。
パッケージは『ありがとう! 梅田精肉店!! ―私たち、お陰でこんなに元気です―』のタイトルに、俺たちの饗宴の写真だ。
亜紀ちゃんの回し蹴りでひん曲がった皇紀の顔がいい。
社長室でお茶を頂く。
お互いに近況などを話す。
塩野社長は東京支店の売上が急激に伸びていると言った。
「これまで取引の無かった飲食店さんが、どんどんうちに注文してくれはって」
「良かったですね!」
元稲城会のものだ。
「石神はんと取引させていただいてから、ほんま運が良うなりましたわ!」
「いえいえ、塩野社長さんの真面目な商売のせいでしょう!」
「ワハハハハ」
「アハハハハ」
楽しく話していると、風花が入って来た。
「石神さん、皇紀さん、お待たせしました」
「おう! 元気そうだな!」
「はい! お陰様で!」
俺たちは塩野社長に改めて礼を言い、風花と外へ出た。
「風花さん、何を食べたいですか?」
「風花が食べたいものを食べるつもりで、店を予約してないんだ。まあ、こっちはよく知らないしな」
「そんな! わざわざ来て下さったんですから、私がご馳走しますって」
俺は笑って言った。
「皇紀ならともかくなぁ。この石神高虎様が出張ったんだ。一円たりとも払えると思うなよ!」
「そんなぁ!」
「あ、ポイントとかスタンプがあったら風花のな」
「もう!」
風花も笑った。
「でも、私もあんまり知らないんですよね」
「食べたいものでいいよ。ステーキでも寿司でもフレンチでもな。皇紀がグレナビで探すよ」
「ええ、でも」
風花も困っていた。
まあ、あまり高級な店で外食はしないだろう。
俺たちを連れて行く場所を知らない。
「あ! タカさん! じゃあいつもの定食屋に行きましょうよ!」
皇紀が言った。
気を遣ったのだろう。
「え、でもあそこは石神さんには」
「いいじゃないか! 来るときに皇紀が美味い店だって言ってたからな。俺も一度行ってみたいよ」
「そうですか、でも」
「風花さん、いいじゃないですか。あそこ、本当に美味しいですよ」
「分かりました。すみません、私が知らないばっかりに」
俺たちは風花の家の方へ向かった。
古い定食屋の建物があった。
「あそこなんです」
「よし! 行こうか!」
俺は風花に笑って話し掛けながら入った。
風花はしきりに恐縮していたが、俺はこういう店が美味いのを知ってると言うと、微笑んだ。
「石神くん!」
大声で叫ばれた。
俺は皇紀と大阪へ出掛けた。
少し前に風花の動画をネットで見つけ、一度自分の目で防衛システムを確認しておこうと思ったのだ。
もちろん、風花にも会いたかったし、いつも大変なお世話になっている塩野社長に礼も言いたかった。
向こうで幾つかの防衛システムの拠点を回るので、車で行った。
シボレー・コルベットだ。
東名をぶっ飛ばした。
時速400キロを出す。
ステアリングは反応がいい。
改造した人間の腕が抜群なのだ。
「タカさん、動画の件は風花さんに話すんですか?」
「ああ、考えてねぇけどな。話の流れで話すかもしれんし」
「やめときましょうよ、カワイソウですよ」
「あ! お前がこの先も風花の新作動画を見たいんだろう!」
「そうじゃないですって!」
「そのうち、水着で踊るかもしれんぞ?」
「ほんとですかぁ!」
「やるわけねぇだろう、チンコ野郎」
「……」
俺は改めて皇紀から防衛システムの内容を確認した。
「風花さんがよく行く定食屋さんがあるんですよ」
「ああ、聞いたな」
「そこも守れるようにしたいんですけど」
「いいんじゃないか? 大分風花もお世話になってるようだしな」
「はい! それに本当に美味しくて! 僕なんかにも良くしてくれるんです!」
「じゃあ決まりだな。計画が出来たら、高木にまた必要な物件を頼もう」
「ありがとうございます!」
俺は笑った。
「しかし風花も自分でちゃんと作るようになっただろう?」
「はい、でも本当に美味しいんで、まだよく利用しているそうですよ」
「そうか」
「店主の人がいい方で。それに奥さんも素敵な人です」
「お前のチンコが疼くのか!」
「そうじゃないですよ!」
皇紀が笑って言った。
「でも、奥さんは僕なんかに色々優しくしてくれるんです」
「へぇー」
「ああ、最初に名前を言ったら、なんか喜んでくれて」
「皇紀っていい名前だもんな!」
「そうですか! 奥さんも「その名前ならサービスしなくちゃ」って言ってました」
皇紀が喜んだ。
「山中がな。次は男の子だって言ったんだ。それで奥さんと「コウキ」って音を決めて。どんな字がいいかって、俺にも相談に来たんだよ」
「そうなんですか!」
「俺が今のお前の名前を書いたらさ、「流石にこれは」って。まあ、相当な名前だしな」
「アハハハハハ!」
「でもな。自分の大事な子どもなんだから、一番スゴイ名前でいいかって。まあ、勢いでお前になった」
「アハハハハハ!」
皇紀が笑った。
「じゃあ、タカさんが付けてくれたんですね!」
「山中たちだよ! お前はそれだけ愛されて生まれたってことだ」
「はい!」
俺たちは途中のサービスエリアでコーヒーだけを飲んだ。
昼になっていたが、どうせなら大阪の美味しいものを食べようと話していた。
「俺を喰うなよ!」
「お姉ちゃんたちじゃないですよ!」
亜紀ちゃんと双子なら喰われるのか。
1時過ぎに大阪に着いた。
10時半頃に家を出たので、途中休んでも二時間半。
まー、はぇー。
ホテルの駐車場にシボレー・コルベットを停めてからチェックインを済ませ、歩いて外に出た。
前に六花と食べたお好み焼きの店に行く。
「大阪に来たら必ず寄りたいんですよ!」
店主が俺の顔を覚えていてくれたので、そう言った。
「ありがとう! じゃあ、今日も一杯食べてーな!」
皇紀と二人で5人前頼み、店主自ら焼いてくれる。
「皇紀! この店が大阪で数あるお好み焼き屋で最高に美味いんだ!」
「そうですか! でも本当に美味しいですね!」
店主が「ワハハハハ」と笑った。
最初は量を心配されたが、俺たちはペロリと喰い、たこ焼きも追加した。
「タカさん! このたこ焼きはミシュランの星のやつですか!」
「お前も段々分かって来たな!」
「「ワハハハハハ」」
俺たちが笑うと、店主がまた嬉しそうに笑った。
店を出て、三時になった。
二人で時間つぶしに困った。
「ゲーセンに行くかぁ!」
「アハハハハハ!」
分厚く膨れたエルメスのリザードのドゴンを脇に置いて、二人でゲームをしていた。
「おい!」
釣り餌に引っ掛かった。
三人組だ。
「仲間呼べよ」
「あんだと?」
俺と皇紀を囲んだまま、仲間が呼ばれた。
俺たちはゲームを続けていた。
俺はヘタなので、がんがんコインを投入していた。
ちょっと恥ずかしかった。
10人程集まった。
立ち上がった俺を見て、一人が叫んだ。
「おい! こいつはヤバ……」
俺を覚えているらしいそいつから潰した。
皇紀が2人ほどのした間に、俺が残りの8人を潰した。
全員の財布を取り上げたが、全部で2万にもならなかった。
「今はスマホ決済ですもんね」
頭に来て、全員のスマホを踏み潰した。
喫茶店に入り、コーヒーを飲む。
4時半。
俺たちは梅田精肉店本店に向かった。
「石神はん!」
社長室に案内され、塩野社長が満面の笑みで出迎えてくれた。
「いつも本当にお世話になってます!」
「こちらこそや! 東京支店からしょっちゅう話が来まっせ!」
俺たちは握手をし、塩野社長に土産を渡した。
虎屋の羊羹。
鈴伝の栗菓子。
村上開進堂のクッキー。
そして宣材に使えそうな、俺たちの肉喰いの写真データ。
今回は亜紀ちゃんが編集した、動画もある。
動画はパッケージも付けて、DVDに焼いた。
パッケージは『ありがとう! 梅田精肉店!! ―私たち、お陰でこんなに元気です―』のタイトルに、俺たちの饗宴の写真だ。
亜紀ちゃんの回し蹴りでひん曲がった皇紀の顔がいい。
社長室でお茶を頂く。
お互いに近況などを話す。
塩野社長は東京支店の売上が急激に伸びていると言った。
「これまで取引の無かった飲食店さんが、どんどんうちに注文してくれはって」
「良かったですね!」
元稲城会のものだ。
「石神はんと取引させていただいてから、ほんま運が良うなりましたわ!」
「いえいえ、塩野社長さんの真面目な商売のせいでしょう!」
「ワハハハハ」
「アハハハハ」
楽しく話していると、風花が入って来た。
「石神さん、皇紀さん、お待たせしました」
「おう! 元気そうだな!」
「はい! お陰様で!」
俺たちは塩野社長に改めて礼を言い、風花と外へ出た。
「風花さん、何を食べたいですか?」
「風花が食べたいものを食べるつもりで、店を予約してないんだ。まあ、こっちはよく知らないしな」
「そんな! わざわざ来て下さったんですから、私がご馳走しますって」
俺は笑って言った。
「皇紀ならともかくなぁ。この石神高虎様が出張ったんだ。一円たりとも払えると思うなよ!」
「そんなぁ!」
「あ、ポイントとかスタンプがあったら風花のな」
「もう!」
風花も笑った。
「でも、私もあんまり知らないんですよね」
「食べたいものでいいよ。ステーキでも寿司でもフレンチでもな。皇紀がグレナビで探すよ」
「ええ、でも」
風花も困っていた。
まあ、あまり高級な店で外食はしないだろう。
俺たちを連れて行く場所を知らない。
「あ! タカさん! じゃあいつもの定食屋に行きましょうよ!」
皇紀が言った。
気を遣ったのだろう。
「え、でもあそこは石神さんには」
「いいじゃないか! 来るときに皇紀が美味い店だって言ってたからな。俺も一度行ってみたいよ」
「そうですか、でも」
「風花さん、いいじゃないですか。あそこ、本当に美味しいですよ」
「分かりました。すみません、私が知らないばっかりに」
俺たちは風花の家の方へ向かった。
古い定食屋の建物があった。
「あそこなんです」
「よし! 行こうか!」
俺は風花に笑って話し掛けながら入った。
風花はしきりに恐縮していたが、俺はこういう店が美味いのを知ってると言うと、微笑んだ。
「石神くん!」
大声で叫ばれた。
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