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トラ&亜紀:異世界転生 Ⅳ
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アイザックの広大な屋敷に入り、広い部屋で待たされた。
コーヒーが出て驚いた。
間もなく、当主が来た。
「アイザック・アベサダモフです」
「ヘンなの混じったな」
俺はコーヒーのことを聞いた。
以前は無かったはずだ。
「王都でメシア様が話されていたものを、多くの人間が必死に探しました。豆を焙煎し、粉末にすることで苦みのある飲み物になるのだと」
「ほう」
「800年前についに完成し、メシア様を称える貴族たちの間で大流行いたしました」
「俺ら、結構なことをやらかしたと思うけど」
「はぁ。まあ、人口の三分の一は死にましたが」
「ごめんなさい!」
「まあ、戦争はいつの時代にもありますから! それにあれほどの試練を経ていなければ、我々はとっくに強大化した魔獣に蹂躙されていました」
「そう思ってくれる?」
「はい! 最初の数百年は恨む者も多かったですが」
「だからごめんってぇ!」
「その後は、あれが大いなる試練だったのだと解釈されています」
「お、おう! その通りじゃ! よくぞ気付いたぁ!」
「はい!」
「タカさーん……」
俺はアイザック家の繁栄の話を聞いた。
「何しろメシア様の血筋は優秀でして。当時の当主はメシア様の子というだけで箔がつくと考えていたようですが。でも、実際にはその才能が目覚ましく」
「へぇ」
「特に軍事的な才能が突出しております。数多くの英雄がアイザック家から輩出されております」
「さすが、ひじりー」
「政治面でも優秀な文官が。今の王都で宰相や財務大臣を始め重要な役職の多くはアイザック家の人間、つまりメシア様の子孫です」
「ほう、聖はそんな才能もあったかぁ」
「また芸術面でも。ギターラという弦楽器は多くのアイザック家の人間の得意な楽器で」
「タカさん!」
「王立音楽院のトップは常にアイザック家の人間です」
「決まりですよね!」
「また戯曲の才を発揮した者も。『アイザックの花の女』は、王都で最も人気の高い舞台……」
「もう決定だぁ!」
亜紀ちゃんが立ち上がって叫んだ。
「待て待て待て! 聖の家は音楽家なんだ!」
「またそんな嘘を!」
「本当だって! ヒジーリ・ライトって有名なギタリストは、聖の叔父さんだぁ!」
「信じません」
「だったら、戻ってからレコードを聴かせてやる!」
「約束ですよ!」
「ああ! あ、それと叔母さんは有名な『聖言葉』って小説で角川文芸大賞を取ったんだぞ?」
「じゃあ、それも読ませて下さい!」
「お、おう!」
聖って苗字じゃねぇんだが。
それに帰ったらどうせ記憶はねぇ。
俺は話題を変えて、魔王の情報を聞いた。
「いえ、それは初耳です! 急いで王都のアイザック一族にも知らせます!」
「そうしてくれ。だけど、ここ数十年で魔獣が強大化しているってことだよな」
「はい。原因は調査中ですが、被害が結構出ています」
「そうか。それも恐らくは魔王の存在に繋がっているな」
「なるほど!」
俺と亜紀ちゃんは冒険者ギルドへ向かった。
俺のギルドカードを見せると、受付の人間が引っ繰り返った。
別な人間が引き継ぐ。
「1000年前だぁ!」
ギルドの人間が集まって来た。
「おい、レベル9999だぞ!」
「本当にいたんだ」
「ニセモノじゃないのか?」
「いや、記録に残っている。確かに当時いたんだ」
「もう一度測定しろ! 千年前の測定器なんて信用できない!」
俺は水晶のボールに手を当てた。
「おい! 本当に9999だぞ!」
「いや、待て! 隣の「+E」ってなんだ?」
「マニュアルを調べろ!」
「それと、他のステータスも異常に高いぞ!」
「なんだよ、この魔法の膨大な数は!」
「それより称号だ! カイザードラゴンの天敵の前! 「魔王瞬殺者」だぁ!」
「「「「「なんだってぇ!」」」」」
「「ワハハハハハハ!!」」
俺と亜紀ちゃんは笑った。
亜紀ちゃんのギルドカードを作る時にも驚かれたが、俺への驚きで感性が鈍っていた。
「私の先にして欲しかったなー」
「まあいいじゃんか」
アイザック家で独自調査するとのことで、俺たちは待つことにした。
町のでかい屋敷を買い、メイドを30人雇った。
金は前回の転移で莫大に溜め込んでいた。
メイドの中の二人が、こっそり俺に打ち明けた。
「私たちは御先祖様の子孫です」
ペネロペ・クルス似の女と、ニコール・キッドマン似の女だった。
「よろしければ、また濃い血を分けていただきたく」
亜紀ちゃんに絶対バレるなと言った。
俺と亜紀ちゃんは、調査を待つ間に周辺の魔獣を狩っていった。
亜紀ちゃんのレベルがガンガン上がって行く。
確かに、以前よりも強大化凶暴化している。
しかし、一ヶ月もたつと、ほとんど見なくなった。
魔獣は毎回ギルドに持って行き、報奨金を受け取り、アイザック家から別途褒賞をもらった。
肉はほとんど亜紀ちゃんが食べた。
アイザック家から調査報告が出来たと知らせが来た。
「申し訳ありません。確かなことは判明しませんでした」
「そうか」
「ですが、記録を精査しまして、魔王復活の際に魔獣が強大化することが分かりました」
「ならな」
「はい! 私は魔王の存在は間違いないかと」
「うむ」
「王都にも知らせています。あちらにはもっと大きな研究機関も調査機関もございます」
「じゃあ、そっちに行くよ」
「は! お気を付けて!」
俺たちはレストランに行き、亜紀ちゃんに王都へ出発する旨を伝えた。
「最後に肉をたくさん食べておけよ」
「はい!」
「俺は屋敷の整理をするから、ゆっくりとな。後で戻って来るから」
「はーい!」
ペネロペとニコールと散々やり修めをした。
「さあ、王都へ行くかぁ!」
「タカさん、何かスッキリしてますね!」
「亜紀ちゃんも満足そうだな!」
「はい!」
俺たちは笑いながらクライスラー王国の王都へ向かった。
亜紀ちゃんはシエルの上で、俺の背中に抱き着いていた。
くんくんと匂いを嗅ぐので冷や汗をかいた。
コーヒーが出て驚いた。
間もなく、当主が来た。
「アイザック・アベサダモフです」
「ヘンなの混じったな」
俺はコーヒーのことを聞いた。
以前は無かったはずだ。
「王都でメシア様が話されていたものを、多くの人間が必死に探しました。豆を焙煎し、粉末にすることで苦みのある飲み物になるのだと」
「ほう」
「800年前についに完成し、メシア様を称える貴族たちの間で大流行いたしました」
「俺ら、結構なことをやらかしたと思うけど」
「はぁ。まあ、人口の三分の一は死にましたが」
「ごめんなさい!」
「まあ、戦争はいつの時代にもありますから! それにあれほどの試練を経ていなければ、我々はとっくに強大化した魔獣に蹂躙されていました」
「そう思ってくれる?」
「はい! 最初の数百年は恨む者も多かったですが」
「だからごめんってぇ!」
「その後は、あれが大いなる試練だったのだと解釈されています」
「お、おう! その通りじゃ! よくぞ気付いたぁ!」
「はい!」
「タカさーん……」
俺はアイザック家の繁栄の話を聞いた。
「何しろメシア様の血筋は優秀でして。当時の当主はメシア様の子というだけで箔がつくと考えていたようですが。でも、実際にはその才能が目覚ましく」
「へぇ」
「特に軍事的な才能が突出しております。数多くの英雄がアイザック家から輩出されております」
「さすが、ひじりー」
「政治面でも優秀な文官が。今の王都で宰相や財務大臣を始め重要な役職の多くはアイザック家の人間、つまりメシア様の子孫です」
「ほう、聖はそんな才能もあったかぁ」
「また芸術面でも。ギターラという弦楽器は多くのアイザック家の人間の得意な楽器で」
「タカさん!」
「王立音楽院のトップは常にアイザック家の人間です」
「決まりですよね!」
「また戯曲の才を発揮した者も。『アイザックの花の女』は、王都で最も人気の高い舞台……」
「もう決定だぁ!」
亜紀ちゃんが立ち上がって叫んだ。
「待て待て待て! 聖の家は音楽家なんだ!」
「またそんな嘘を!」
「本当だって! ヒジーリ・ライトって有名なギタリストは、聖の叔父さんだぁ!」
「信じません」
「だったら、戻ってからレコードを聴かせてやる!」
「約束ですよ!」
「ああ! あ、それと叔母さんは有名な『聖言葉』って小説で角川文芸大賞を取ったんだぞ?」
「じゃあ、それも読ませて下さい!」
「お、おう!」
聖って苗字じゃねぇんだが。
それに帰ったらどうせ記憶はねぇ。
俺は話題を変えて、魔王の情報を聞いた。
「いえ、それは初耳です! 急いで王都のアイザック一族にも知らせます!」
「そうしてくれ。だけど、ここ数十年で魔獣が強大化しているってことだよな」
「はい。原因は調査中ですが、被害が結構出ています」
「そうか。それも恐らくは魔王の存在に繋がっているな」
「なるほど!」
俺と亜紀ちゃんは冒険者ギルドへ向かった。
俺のギルドカードを見せると、受付の人間が引っ繰り返った。
別な人間が引き継ぐ。
「1000年前だぁ!」
ギルドの人間が集まって来た。
「おい、レベル9999だぞ!」
「本当にいたんだ」
「ニセモノじゃないのか?」
「いや、記録に残っている。確かに当時いたんだ」
「もう一度測定しろ! 千年前の測定器なんて信用できない!」
俺は水晶のボールに手を当てた。
「おい! 本当に9999だぞ!」
「いや、待て! 隣の「+E」ってなんだ?」
「マニュアルを調べろ!」
「それと、他のステータスも異常に高いぞ!」
「なんだよ、この魔法の膨大な数は!」
「それより称号だ! カイザードラゴンの天敵の前! 「魔王瞬殺者」だぁ!」
「「「「「なんだってぇ!」」」」」
「「ワハハハハハハ!!」」
俺と亜紀ちゃんは笑った。
亜紀ちゃんのギルドカードを作る時にも驚かれたが、俺への驚きで感性が鈍っていた。
「私の先にして欲しかったなー」
「まあいいじゃんか」
アイザック家で独自調査するとのことで、俺たちは待つことにした。
町のでかい屋敷を買い、メイドを30人雇った。
金は前回の転移で莫大に溜め込んでいた。
メイドの中の二人が、こっそり俺に打ち明けた。
「私たちは御先祖様の子孫です」
ペネロペ・クルス似の女と、ニコール・キッドマン似の女だった。
「よろしければ、また濃い血を分けていただきたく」
亜紀ちゃんに絶対バレるなと言った。
俺と亜紀ちゃんは、調査を待つ間に周辺の魔獣を狩っていった。
亜紀ちゃんのレベルがガンガン上がって行く。
確かに、以前よりも強大化凶暴化している。
しかし、一ヶ月もたつと、ほとんど見なくなった。
魔獣は毎回ギルドに持って行き、報奨金を受け取り、アイザック家から別途褒賞をもらった。
肉はほとんど亜紀ちゃんが食べた。
アイザック家から調査報告が出来たと知らせが来た。
「申し訳ありません。確かなことは判明しませんでした」
「そうか」
「ですが、記録を精査しまして、魔王復活の際に魔獣が強大化することが分かりました」
「ならな」
「はい! 私は魔王の存在は間違いないかと」
「うむ」
「王都にも知らせています。あちらにはもっと大きな研究機関も調査機関もございます」
「じゃあ、そっちに行くよ」
「は! お気を付けて!」
俺たちはレストランに行き、亜紀ちゃんに王都へ出発する旨を伝えた。
「最後に肉をたくさん食べておけよ」
「はい!」
「俺は屋敷の整理をするから、ゆっくりとな。後で戻って来るから」
「はーい!」
ペネロペとニコールと散々やり修めをした。
「さあ、王都へ行くかぁ!」
「タカさん、何かスッキリしてますね!」
「亜紀ちゃんも満足そうだな!」
「はい!」
俺たちは笑いながらクライスラー王国の王都へ向かった。
亜紀ちゃんはシエルの上で、俺の背中に抱き着いていた。
くんくんと匂いを嗅ぐので冷や汗をかいた。
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