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GHOST HOUSE
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子どもたちがNYから帰って来た年の1月中旬。
アビゲイルから連絡が来た。
「アビー、何かあったか?」
「そうなんだ。誰に相談していいのか分からずに、君に意見を聞きたい」
「よく分らんな、なんだよ」
アビゲイルは、俺の周辺の土地を買い占めたが、その中の一軒で問題があるのだと言う。
「一軒家の家屋なんだが、10年以上人が住んでいない」
「ほう」
「記録を調べると、50年前から33回に渡って所有者が変わっているんだ」
「へぇ」
随分と多い。
「もっと詳しく調べるとだな。全員が死んでいるんだ」
「!」
「私も気味が悪くてな。取り壊そうとしたんだが、工事に向かった解体業者が交通事故で死んだ」
「……」
「もっと詳しく調べるとだな」
「まだあんの?」
「家に出入りしていた庭師、子どもの学校の教師、ピアノの先生、隣の90歳の老女」
「最後のは老衰だろう!」
「全身から血を噴き出して死んでもか?」
「!」
「その他にも、ホームパーティをしていて全員血を吐いて死んでいたとかな。調べた限りでも、数百人があの家で死んでいるんだ。恐らくは千人を超える。恐ろしくなって途中でやめたからな。調べていた人間は、今高熱を出している」
「おい、それって」
「私も、GHOSTなんて信じたくもないが、あまりにもな」
「そんなのいらないよ。売っ払ってくれ!」
「いや、もう名義は君にするつもりで」
「なんでだよ!」
「売ろうとしても、誰も買わないんだ」
「何とかしろ!」
「日本人の不動産屋がカンヌシというのを呼んでオハライの儀式をした」
「おお!」
「カンヌシと不動産屋の身体が引き裂かれて死んでいるのを発見された」
「……」
聞いていて、身の毛がよだつ。
マジモンだ。
「その家って、ソーボーテイとかって名前じゃねぇよな?」
「いや、最後の家主はサトーさんだ」
「あ、そう」
「君らの「ハナオカ」で何とかならないかな」
「なるわけねぇだろう!」
「だが、もうすぐ君の土地だ。何とか力を貸してくれ」
「そう言われちゃうとなー」
「頼む!」
「分かったよ。俺の方でも動いてみる」
俺は電話を切った。
まあ、宛が無いわけではないが。
でも、怖い。
その週の金曜の夜。
俺は双子を連れて、いつも行く大ガード近くの高級焼き肉屋へ行った。
亜紀ちゃんと皇紀も行きたがったが、双子と行くと言うと、ステーキを妬け食いしていた。
「タカさん、なんで私たちだけなの?」
「いいじゃないか、たまには」
「「うん!」」
単純な奴らだ。
「さあ、どんどん喰え!」
「「はーい!」」
俺たちはどんどん焼いて食べた。
普段は制限する松坂牛も解禁した。
220万円を支払い、俺たちはデザートのアイスとコーヒーを飲んでいた。
「それで、ちょっと頼みがあるんだよ」
「うん、何でも言って!」
「タカさんのためなら何でもするのに。こんなサービスは必要ないよ!」
嬉しいことを言ってくれる。
「それがさ、幽霊屋敷」
「「絶対イヤ!」」
「おい!」
双子が既に震えている。
「頼むよ、ちょっと見るだけでいいからさ」
「あのね」
「あんだよ」
「こっちが見ると、向こうも見るの!」
「あ?」
「狙われたら大変なんだから!」
「ついてきたら、どうすんの!」
「ああ、それは地縛霊らしいぞ」
「なんで分かるのよ!」
俺はアビゲイルに聞いた話をした。
双子が抱き合って震えている。
「それって、絶対ヤバイ奴じゃん」
「相当おっきい怨霊になってるよね」
「そう思う?」
「「うん!」」
断固拒否のようだ。
「幽霊屋敷に行くのと、これから一生ウンコしか食べれないのとどっちがいい?」
「え、それは……幽霊屋敷かな」
引っ掛かった。
「じゃあ、幽霊屋敷に行って死んじゃうのと、幽霊屋敷に行ってご褒美にA5ランクの牛肉喰い放題とどっちがいい?」
「「A5ランク!」」
「やっぱ、お前たちのようなゴイスーな人間が俺には必要なんだな」
「「うん!」」
「じゃあ決まりだな」
「「うん!」」
「よし、帰るか」
「「ん?」」
絶対に買わないと言っている絵。
詐欺師は、同じ画家の絵を二枚出して、買うならどちらかと尋ねる。
アホは、「こっちがいい」と言う。
絶対に買わないと言った心が、既に買うことを認めている。
買った場合に、どれだけアホに似合い、人生を豊かにするのかを聞かされる。
アホのような選ばれた人間には必要なものだと説得される。
アホは金を払う。
騙される奴が悪い。
土曜日の午後。
俺と双子は問題の佐藤家に向かった。
「タカさん」
「あんだよ」
「一時的に、タカさんにも見えるようにするね?」
ルーが言った。
「できんのか」
「うん」
俺は背中に手を当てられ、何かのエネルギーが入って来るのを感じた。
「これで終わり」
「タカさんの人生まで終わらないでね」
「怖いこと言うな、ハー!」
家の前に立った。
庭の広い二階建ての日本家屋の古い家。
外から見ても不気味な感じがする。
やけに暗い。
陽は照っていて、周りの家はそれなりに明るい。
この家だけが何だか暗い。
俺は門を開けた。
双子が後について来る。
ザイルで俺の腰と双子の腰を結んでいる。
双子は俺に引きずられて門の中へ入った。
二人は足が動かなくなり、抱き合って地面を引きずられた。
アビゲイルから預かった鍵で、玄関を開けた。
引き戸だ。
途中で「ドン」という音がした。
見上げると、曇りガラスの向こうに血まみれの女がいて、戸にもたれかかっている。
「「「ギャァーーー!」」」
女の姿が消えた。
「おい、なんだ今の音?」
「タカさんも見たでしょ!」
玄関を開けると、広い廊下が奥まで続いていた。
廊下の左側に二階への階段があった。
薄暗い。
階段から廊下に視線を戻すと、奥に誰か横を向いて立っている。
もちろん、この家は無人だ。
少年のようだった。
こちらに少年が振り返った。
次の瞬間、少年の顔が迫って来た。
でかい。
2メートルはあろうかという巨大な顔が来る。
「「「ギャァーーー!」」」
俺は庭に逃げ出した。
双子がガンガン地面にぶつかっている。
庭で息を整えた。
「おい、なんだ今の?」
「タカさん、絶対見たでしょ!」
「おし、一階を制覇するぞ」
「「タカさーん!」」
俺は双子を引きずって玄関に戻り、土足のまま上がった。
長い廊下を歩いて行く。
俺が通るたびに、両側の引き戸が勝手に開く。
視界の隅で、誰かが座っているのがわかる。
見ない。
歩いて行く。
どんどん引き戸が開く。
座っている。
見ない。
廊下の突き当りの右がトイレ、左が浴室。
俺は浴室のドアを開ける。
バスタブにフタが乗っている。
開けようとすると、大量の長い髪が溢れて来た。
「「「ギャァーーー!」」」
俺は急いで浴室を出てドアを閉めた。
双子が中にいたまま閉めたのに気付き、二人を引っ張り出してもう一度閉めた。
足に絡まった髪を取ってやる。
絡まった所が、青あざになっていた。
半べそだ。
「お前ら、モタモタすんじゃねぇ!」
「「……」」
反対側のトイレを開けた。
女が座っていた。
「あ、すみませんでした」
慌ててドアを閉めた。
「「……」」
「次は二階か」
「タカさん、もうヤメようよ」
「もう限界だよー」
「うるせぇ! 「俺の土地」で勝手なことしやがって」
俺は双子を引きずって、玄関脇の階段を上った。
ギシ、ギシ、ギシ。
双子が引きずられて、階段にガンガン当たる。
二階は狭い廊下が続き、二間だ。
障子が閉まっている。
階段を上がる前から、大勢の声が聞こえて来た。
宴会でもしているようだ。
「俺にも呑ませろー!」
俺が障子を開けると誰もいなかった。
二間は襖を取り払い、一間には布団が二組敷かれ、もう一間にはちゃぶ台に湯呑が三つと急須があった。
「なんだ、飲んでねぇじゃん」
「「た、タカさん!」」
双子が叫ぶと、俺たちはいつの間にか大勢の人間に取り囲まれていた。
無表情の青白い顔。
子どももいれば、大人も老人もいる。
みんな好き勝手な方向を向いて動かない。
部屋にぎっしり詰まっている。
双子は泡を吹いて失神していた。
「てめぇらぁ! よくもルーとハーを!」
俺が手足を振り回しても、すり抜けてしまう。
そして、一斉に俺を見て、ゲラゲラと笑い出した。
俺は「螺旋花」を使って周囲の連中をぶん殴る。
面白いように消えていく。
しかし、後からどんどん湧いて来る。
俺は窓をぶち破って外に飛び出した。
一度ルーとハーが引っ掛かって、俺は宙吊りになった。
慌てて戻り、二人を引っ張り上げて、庭に飛び降りた。
ルーとハーは地面に叩きつけられた。
二人が目を覚ました。
「「いたいよー」」
「よし! 俺が仇を討ってやる!」
「え、これタカさんのせいじゃ」
俺は二人を抱きかかえ、塀を飛び越えた。
見ると、窓という窓から大勢の人間が鈴なりになってこちらを見ていた。
「クロピョン!」
庭に、黒い蛇が出てきた。
「この家にいる連中を全部喰え!」
黒い蛇は頷き、無数に現われたかと思うと、敷地全体を覆った。
「ご苦労!」
家が明るくなった。
「これで終わったな!」
「タカさん」
「あんだよ」
「最初からそうすれば」
「ああ! そう言えばそうだな!」
「「……」」
「ガハハハハハ!」
俺は双子のロープを解き、抱きかかえて帰った。
途中で何発か顔を殴られた。
アビゲイルから連絡が来た。
「アビー、何かあったか?」
「そうなんだ。誰に相談していいのか分からずに、君に意見を聞きたい」
「よく分らんな、なんだよ」
アビゲイルは、俺の周辺の土地を買い占めたが、その中の一軒で問題があるのだと言う。
「一軒家の家屋なんだが、10年以上人が住んでいない」
「ほう」
「記録を調べると、50年前から33回に渡って所有者が変わっているんだ」
「へぇ」
随分と多い。
「もっと詳しく調べるとだな。全員が死んでいるんだ」
「!」
「私も気味が悪くてな。取り壊そうとしたんだが、工事に向かった解体業者が交通事故で死んだ」
「……」
「もっと詳しく調べるとだな」
「まだあんの?」
「家に出入りしていた庭師、子どもの学校の教師、ピアノの先生、隣の90歳の老女」
「最後のは老衰だろう!」
「全身から血を噴き出して死んでもか?」
「!」
「その他にも、ホームパーティをしていて全員血を吐いて死んでいたとかな。調べた限りでも、数百人があの家で死んでいるんだ。恐らくは千人を超える。恐ろしくなって途中でやめたからな。調べていた人間は、今高熱を出している」
「おい、それって」
「私も、GHOSTなんて信じたくもないが、あまりにもな」
「そんなのいらないよ。売っ払ってくれ!」
「いや、もう名義は君にするつもりで」
「なんでだよ!」
「売ろうとしても、誰も買わないんだ」
「何とかしろ!」
「日本人の不動産屋がカンヌシというのを呼んでオハライの儀式をした」
「おお!」
「カンヌシと不動産屋の身体が引き裂かれて死んでいるのを発見された」
「……」
聞いていて、身の毛がよだつ。
マジモンだ。
「その家って、ソーボーテイとかって名前じゃねぇよな?」
「いや、最後の家主はサトーさんだ」
「あ、そう」
「君らの「ハナオカ」で何とかならないかな」
「なるわけねぇだろう!」
「だが、もうすぐ君の土地だ。何とか力を貸してくれ」
「そう言われちゃうとなー」
「頼む!」
「分かったよ。俺の方でも動いてみる」
俺は電話を切った。
まあ、宛が無いわけではないが。
でも、怖い。
その週の金曜の夜。
俺は双子を連れて、いつも行く大ガード近くの高級焼き肉屋へ行った。
亜紀ちゃんと皇紀も行きたがったが、双子と行くと言うと、ステーキを妬け食いしていた。
「タカさん、なんで私たちだけなの?」
「いいじゃないか、たまには」
「「うん!」」
単純な奴らだ。
「さあ、どんどん喰え!」
「「はーい!」」
俺たちはどんどん焼いて食べた。
普段は制限する松坂牛も解禁した。
220万円を支払い、俺たちはデザートのアイスとコーヒーを飲んでいた。
「それで、ちょっと頼みがあるんだよ」
「うん、何でも言って!」
「タカさんのためなら何でもするのに。こんなサービスは必要ないよ!」
嬉しいことを言ってくれる。
「それがさ、幽霊屋敷」
「「絶対イヤ!」」
「おい!」
双子が既に震えている。
「頼むよ、ちょっと見るだけでいいからさ」
「あのね」
「あんだよ」
「こっちが見ると、向こうも見るの!」
「あ?」
「狙われたら大変なんだから!」
「ついてきたら、どうすんの!」
「ああ、それは地縛霊らしいぞ」
「なんで分かるのよ!」
俺はアビゲイルに聞いた話をした。
双子が抱き合って震えている。
「それって、絶対ヤバイ奴じゃん」
「相当おっきい怨霊になってるよね」
「そう思う?」
「「うん!」」
断固拒否のようだ。
「幽霊屋敷に行くのと、これから一生ウンコしか食べれないのとどっちがいい?」
「え、それは……幽霊屋敷かな」
引っ掛かった。
「じゃあ、幽霊屋敷に行って死んじゃうのと、幽霊屋敷に行ってご褒美にA5ランクの牛肉喰い放題とどっちがいい?」
「「A5ランク!」」
「やっぱ、お前たちのようなゴイスーな人間が俺には必要なんだな」
「「うん!」」
「じゃあ決まりだな」
「「うん!」」
「よし、帰るか」
「「ん?」」
絶対に買わないと言っている絵。
詐欺師は、同じ画家の絵を二枚出して、買うならどちらかと尋ねる。
アホは、「こっちがいい」と言う。
絶対に買わないと言った心が、既に買うことを認めている。
買った場合に、どれだけアホに似合い、人生を豊かにするのかを聞かされる。
アホのような選ばれた人間には必要なものだと説得される。
アホは金を払う。
騙される奴が悪い。
土曜日の午後。
俺と双子は問題の佐藤家に向かった。
「タカさん」
「あんだよ」
「一時的に、タカさんにも見えるようにするね?」
ルーが言った。
「できんのか」
「うん」
俺は背中に手を当てられ、何かのエネルギーが入って来るのを感じた。
「これで終わり」
「タカさんの人生まで終わらないでね」
「怖いこと言うな、ハー!」
家の前に立った。
庭の広い二階建ての日本家屋の古い家。
外から見ても不気味な感じがする。
やけに暗い。
陽は照っていて、周りの家はそれなりに明るい。
この家だけが何だか暗い。
俺は門を開けた。
双子が後について来る。
ザイルで俺の腰と双子の腰を結んでいる。
双子は俺に引きずられて門の中へ入った。
二人は足が動かなくなり、抱き合って地面を引きずられた。
アビゲイルから預かった鍵で、玄関を開けた。
引き戸だ。
途中で「ドン」という音がした。
見上げると、曇りガラスの向こうに血まみれの女がいて、戸にもたれかかっている。
「「「ギャァーーー!」」」
女の姿が消えた。
「おい、なんだ今の音?」
「タカさんも見たでしょ!」
玄関を開けると、広い廊下が奥まで続いていた。
廊下の左側に二階への階段があった。
薄暗い。
階段から廊下に視線を戻すと、奥に誰か横を向いて立っている。
もちろん、この家は無人だ。
少年のようだった。
こちらに少年が振り返った。
次の瞬間、少年の顔が迫って来た。
でかい。
2メートルはあろうかという巨大な顔が来る。
「「「ギャァーーー!」」」
俺は庭に逃げ出した。
双子がガンガン地面にぶつかっている。
庭で息を整えた。
「おい、なんだ今の?」
「タカさん、絶対見たでしょ!」
「おし、一階を制覇するぞ」
「「タカさーん!」」
俺は双子を引きずって玄関に戻り、土足のまま上がった。
長い廊下を歩いて行く。
俺が通るたびに、両側の引き戸が勝手に開く。
視界の隅で、誰かが座っているのがわかる。
見ない。
歩いて行く。
どんどん引き戸が開く。
座っている。
見ない。
廊下の突き当りの右がトイレ、左が浴室。
俺は浴室のドアを開ける。
バスタブにフタが乗っている。
開けようとすると、大量の長い髪が溢れて来た。
「「「ギャァーーー!」」」
俺は急いで浴室を出てドアを閉めた。
双子が中にいたまま閉めたのに気付き、二人を引っ張り出してもう一度閉めた。
足に絡まった髪を取ってやる。
絡まった所が、青あざになっていた。
半べそだ。
「お前ら、モタモタすんじゃねぇ!」
「「……」」
反対側のトイレを開けた。
女が座っていた。
「あ、すみませんでした」
慌ててドアを閉めた。
「「……」」
「次は二階か」
「タカさん、もうヤメようよ」
「もう限界だよー」
「うるせぇ! 「俺の土地」で勝手なことしやがって」
俺は双子を引きずって、玄関脇の階段を上った。
ギシ、ギシ、ギシ。
双子が引きずられて、階段にガンガン当たる。
二階は狭い廊下が続き、二間だ。
障子が閉まっている。
階段を上がる前から、大勢の声が聞こえて来た。
宴会でもしているようだ。
「俺にも呑ませろー!」
俺が障子を開けると誰もいなかった。
二間は襖を取り払い、一間には布団が二組敷かれ、もう一間にはちゃぶ台に湯呑が三つと急須があった。
「なんだ、飲んでねぇじゃん」
「「た、タカさん!」」
双子が叫ぶと、俺たちはいつの間にか大勢の人間に取り囲まれていた。
無表情の青白い顔。
子どももいれば、大人も老人もいる。
みんな好き勝手な方向を向いて動かない。
部屋にぎっしり詰まっている。
双子は泡を吹いて失神していた。
「てめぇらぁ! よくもルーとハーを!」
俺が手足を振り回しても、すり抜けてしまう。
そして、一斉に俺を見て、ゲラゲラと笑い出した。
俺は「螺旋花」を使って周囲の連中をぶん殴る。
面白いように消えていく。
しかし、後からどんどん湧いて来る。
俺は窓をぶち破って外に飛び出した。
一度ルーとハーが引っ掛かって、俺は宙吊りになった。
慌てて戻り、二人を引っ張り上げて、庭に飛び降りた。
ルーとハーは地面に叩きつけられた。
二人が目を覚ました。
「「いたいよー」」
「よし! 俺が仇を討ってやる!」
「え、これタカさんのせいじゃ」
俺は二人を抱きかかえ、塀を飛び越えた。
見ると、窓という窓から大勢の人間が鈴なりになってこちらを見ていた。
「クロピョン!」
庭に、黒い蛇が出てきた。
「この家にいる連中を全部喰え!」
黒い蛇は頷き、無数に現われたかと思うと、敷地全体を覆った。
「ご苦労!」
家が明るくなった。
「これで終わったな!」
「タカさん」
「あんだよ」
「最初からそうすれば」
「ああ! そう言えばそうだな!」
「「……」」
「ガハハハハハ!」
俺は双子のロープを解き、抱きかかえて帰った。
途中で何発か顔を殴られた。
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