633 / 2,859
Ⅰ♡ NY
しおりを挟む
12月25日午前8時。
俺は子どもたちをハマーに乗せて、空港に着いた。
言われたロビーへ連れて行く。
ゲートで、手荷物検査を受けた。
「石神さん!」
レイが笑って駆け寄って来た。
「レイ! しばらく振りだな。もう身体は大丈夫か?」
「ええ、まったく。元気ですよ」
「そうか、良かった。口から熱線とか吐かないよな?」
「?」
不思議そうな顔をしたが、レイは俺に抱き着いて来た。
オッパイの感触が嬉しい。
「会いたかった、石神さん」
「俺もだ。こないだは子どもたちをありがとう」
「いいえ、こちらこそ」
ハーが俺の尻をつつく。
「なんだよ、いまいいオッパイなんだぞ!」
「私たちもー」
俺とレイは笑って離れた。
子どもたちがレイに抱き着く。
「みんな元気そうで良かった。またお願いします」
「「「「はーい!」」」」
「皇紀くん」
レイが皇紀を抱き締める。
身長差で、皇紀の顔がレイの胸に埋まる。
「皇紀くんのシステムは本当に素晴らしい。宜しくお願いします」
「ふぁい」
「じゃあ、お前ら、しっかり働いて来い!」
「「「「はーい!」」」」
亜紀ちゃんが俺に抱き着いて来た。
「タカさん、無茶なことしないで下さいね」
「ああ、分かってるよ」
「タカさん、好きですぅー」
「ああ、みんなを守ってくれな」
「はい!」
亜紀ちゃんに軽くキスをした。
「じゃあ、行ってきます!」
「おう!」
子どもたちは何度も振り返り、俺に手を振った。
俺はロックハートの自家用機が飛び立つまで見守っていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ガルフストリーム社の「G650ER」。
ロックハートはこの機体を更に改造し、飛行速度や航続距離を伸ばしている。
「ねえ、レイ」
「なんです、ハーちゃん」
「レイはお腹空いてない?」
「はい」
「本当に?」
「はい?」
「無理してない?」
「!」
「ああ、そう言えばペコペコでした。一緒に何か食べませんか?」
「うん!」
レイはクルーに食事の準備をするように伝えた。
予定よりも大分早いが、いいだろう。
テーブルに大量のステーキが並ぶ。
「すみません。機内なので、一人5キロまでしか用意がありません」
「レイさん申し訳ありません」
亜紀が言う。
「大丈夫ですよ。この機体は速いんです。10時間ほどでJFK空港に着きますから」
「え、じゃああと9時間以上はお食事は」
レイが笑った。
「ご安心下さい。石神ファミリーを御乗せするんです。あと2回は出しますよ」
「「「「やったぁー!」」」」
通常は1回だけだ。
子どもたちは食事を楽しみ、歌って踊って過ごした。
レイは石神ファミリーの明るさを、あらためて知って微笑んだ。
空港からリムジンで移動する。
10人も乗れる、大きなリムジンだった。
「みなさん、時計を合わせて下さい」
レイが現在のニューヨークの時刻を言った。
亜紀ちゃんはブライトリングのブラックバード。
皇紀はゼニスのオープンハート。
双子はGショックをそれぞれ合わせた。
「これ、前に乗ったのと違うね」
ルーがレイに言った。
「はい。何台か所有していますから」
「そーなんだ」
ニューヨークのロックハートの家に着いた。
警備の人間が門を開ける。
巨大な庭を進み、リムジンは玄関前で止まった。
アルジャーノンと静江が迎えに出ていた。
「「「「こんにちはー!」」」」
子どもたちは揃って頭を下げた。
「よく来てくれました。さあ、中へ入って」
静江が招き、荷物をメイドたちが引き受ける。
四人は広大な屋敷に入った。
吹き抜けの玄関や豪華な装飾に、しばし圧倒される。
「亜紀ちゃん」
「なに、ルー?」
「タカさんの家も改造しようか?」
「え、いいよ! こんなお城みたいなの、私住みたくない」
「そっか」
一階の応接間に通された。
紅茶が出る。
「みなさん、お腹は空いてない?」
静子が聞いて来た。
「はい、飛行機の中で一杯いただきました」
「あたし、まだ食べるよ」
亜紀がハーの頭をはたく。
「いいんですよ。メイドに声をかけてもらえば、いつでもお好きなだけ作りますからね」
「いいえ、タカさんに「節度を持ってお世話になれ」と言われていますので、決まった時間にいただければと」
「そうなの。石神さんは厳しいのね。じゃあ、朝は8時、昼は12時、夜は6時でどうかしら」
「はい、それでお願いします」
「でも、何かあれば遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます!」
「あの静江様」
「何かしら、レイ?」
「機内で15キロずつステーキを召し上がりました」
「アハハハハ!」
「石神家の「節度」は、そういうものとお考え下さい」
「分かったわ、レイ。ありがとう」
子どもたちは、二階の部屋へ案内された。
並びの三室で、皇紀、亜紀、ルーとハー。
50平米ほどの広い部屋だった。
各部屋にシャワー室とトイレがある。
亜紀ちゃんの部屋で、全員にレイが説明した。
「一階のバスルームは自由にお使い下さいね」
「あの、御屋敷の出入りは制限がありますか?」
「いいえ。皆様はどうぞご自由に。警備の人間も、全員お顔を覚えていますから」
「そうですか」
「あの、レイさん」
「はい、皇紀さん」
「早速ですが、調整に入りたいんですけど」
「!」
「いけませんか?」
「いいえ。ありがとうございます。今日はゆっくりされるかと」
「出来るだけ早く、このお屋敷を守れるようにしたいです」
「ありがとうございます」
レイは皇紀の手を握った。
二人で出て行った。
「さて、どうしようか」
「やることないんだよねー」
皇紀の警護がある。
「いきなりヒマだよね」
「取り敢えず、散歩でも行く?」
「「うん!」」
三人で屋敷を出た。
警備員は笑って門を開いてくれた。
「さて! ニューヨークの悪人でもやっつけるかな!」
「亜紀ちゃん、それはダメだよ」
「タカさんに怒られるよ」
「襲われたらしょうがないじゃない。スラムはどこだー」
「ダメだって!」
しかし三人とも、編み上げのコンバットブーツに、ジーンズ。
それと「石神一家」のトレーナーにボンバージャケットを着ている。
やる気だ。
一時間後。
「あー、全然相手にならないね」
全部で4組の男たちに襲われた。
ガンを持っている人間もいたが、38口径の弾を指ではじくと、それだけで逃げ出した。
もちろん、追って潰した。
一応、骨折などはない。
ただの遊びだ。
「もうちょっと手応えが欲しいにゃー」
「あ!」
「どうしたの、ハー!」
「いるじゃん!」
「「え?」」
「ここニューヨークじゃん!」
「そうだけど?」
「聖がいるじゃん!」
「「アァッー!!」」
石神に電話した。
「タカさーん!」
「おう! 亜紀ちゃんか。そっちはどうだ?」
「はい! まあボチボチ」
「なんだよ、それ」
石神は笑っていた。
「あの、聖さんに会っておこうと思いまして」
「ああ、そうか。じゃあ、俺が感謝してたって伝えてくれよ!」
「はい!」
石神から、聖の住所を聞いた。
三人でガッツポーズを取った。
まってろー、聖ぃ~!
俺は子どもたちをハマーに乗せて、空港に着いた。
言われたロビーへ連れて行く。
ゲートで、手荷物検査を受けた。
「石神さん!」
レイが笑って駆け寄って来た。
「レイ! しばらく振りだな。もう身体は大丈夫か?」
「ええ、まったく。元気ですよ」
「そうか、良かった。口から熱線とか吐かないよな?」
「?」
不思議そうな顔をしたが、レイは俺に抱き着いて来た。
オッパイの感触が嬉しい。
「会いたかった、石神さん」
「俺もだ。こないだは子どもたちをありがとう」
「いいえ、こちらこそ」
ハーが俺の尻をつつく。
「なんだよ、いまいいオッパイなんだぞ!」
「私たちもー」
俺とレイは笑って離れた。
子どもたちがレイに抱き着く。
「みんな元気そうで良かった。またお願いします」
「「「「はーい!」」」」
「皇紀くん」
レイが皇紀を抱き締める。
身長差で、皇紀の顔がレイの胸に埋まる。
「皇紀くんのシステムは本当に素晴らしい。宜しくお願いします」
「ふぁい」
「じゃあ、お前ら、しっかり働いて来い!」
「「「「はーい!」」」」
亜紀ちゃんが俺に抱き着いて来た。
「タカさん、無茶なことしないで下さいね」
「ああ、分かってるよ」
「タカさん、好きですぅー」
「ああ、みんなを守ってくれな」
「はい!」
亜紀ちゃんに軽くキスをした。
「じゃあ、行ってきます!」
「おう!」
子どもたちは何度も振り返り、俺に手を振った。
俺はロックハートの自家用機が飛び立つまで見守っていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ガルフストリーム社の「G650ER」。
ロックハートはこの機体を更に改造し、飛行速度や航続距離を伸ばしている。
「ねえ、レイ」
「なんです、ハーちゃん」
「レイはお腹空いてない?」
「はい」
「本当に?」
「はい?」
「無理してない?」
「!」
「ああ、そう言えばペコペコでした。一緒に何か食べませんか?」
「うん!」
レイはクルーに食事の準備をするように伝えた。
予定よりも大分早いが、いいだろう。
テーブルに大量のステーキが並ぶ。
「すみません。機内なので、一人5キロまでしか用意がありません」
「レイさん申し訳ありません」
亜紀が言う。
「大丈夫ですよ。この機体は速いんです。10時間ほどでJFK空港に着きますから」
「え、じゃああと9時間以上はお食事は」
レイが笑った。
「ご安心下さい。石神ファミリーを御乗せするんです。あと2回は出しますよ」
「「「「やったぁー!」」」」
通常は1回だけだ。
子どもたちは食事を楽しみ、歌って踊って過ごした。
レイは石神ファミリーの明るさを、あらためて知って微笑んだ。
空港からリムジンで移動する。
10人も乗れる、大きなリムジンだった。
「みなさん、時計を合わせて下さい」
レイが現在のニューヨークの時刻を言った。
亜紀ちゃんはブライトリングのブラックバード。
皇紀はゼニスのオープンハート。
双子はGショックをそれぞれ合わせた。
「これ、前に乗ったのと違うね」
ルーがレイに言った。
「はい。何台か所有していますから」
「そーなんだ」
ニューヨークのロックハートの家に着いた。
警備の人間が門を開ける。
巨大な庭を進み、リムジンは玄関前で止まった。
アルジャーノンと静江が迎えに出ていた。
「「「「こんにちはー!」」」」
子どもたちは揃って頭を下げた。
「よく来てくれました。さあ、中へ入って」
静江が招き、荷物をメイドたちが引き受ける。
四人は広大な屋敷に入った。
吹き抜けの玄関や豪華な装飾に、しばし圧倒される。
「亜紀ちゃん」
「なに、ルー?」
「タカさんの家も改造しようか?」
「え、いいよ! こんなお城みたいなの、私住みたくない」
「そっか」
一階の応接間に通された。
紅茶が出る。
「みなさん、お腹は空いてない?」
静子が聞いて来た。
「はい、飛行機の中で一杯いただきました」
「あたし、まだ食べるよ」
亜紀がハーの頭をはたく。
「いいんですよ。メイドに声をかけてもらえば、いつでもお好きなだけ作りますからね」
「いいえ、タカさんに「節度を持ってお世話になれ」と言われていますので、決まった時間にいただければと」
「そうなの。石神さんは厳しいのね。じゃあ、朝は8時、昼は12時、夜は6時でどうかしら」
「はい、それでお願いします」
「でも、何かあれば遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます!」
「あの静江様」
「何かしら、レイ?」
「機内で15キロずつステーキを召し上がりました」
「アハハハハ!」
「石神家の「節度」は、そういうものとお考え下さい」
「分かったわ、レイ。ありがとう」
子どもたちは、二階の部屋へ案内された。
並びの三室で、皇紀、亜紀、ルーとハー。
50平米ほどの広い部屋だった。
各部屋にシャワー室とトイレがある。
亜紀ちゃんの部屋で、全員にレイが説明した。
「一階のバスルームは自由にお使い下さいね」
「あの、御屋敷の出入りは制限がありますか?」
「いいえ。皆様はどうぞご自由に。警備の人間も、全員お顔を覚えていますから」
「そうですか」
「あの、レイさん」
「はい、皇紀さん」
「早速ですが、調整に入りたいんですけど」
「!」
「いけませんか?」
「いいえ。ありがとうございます。今日はゆっくりされるかと」
「出来るだけ早く、このお屋敷を守れるようにしたいです」
「ありがとうございます」
レイは皇紀の手を握った。
二人で出て行った。
「さて、どうしようか」
「やることないんだよねー」
皇紀の警護がある。
「いきなりヒマだよね」
「取り敢えず、散歩でも行く?」
「「うん!」」
三人で屋敷を出た。
警備員は笑って門を開いてくれた。
「さて! ニューヨークの悪人でもやっつけるかな!」
「亜紀ちゃん、それはダメだよ」
「タカさんに怒られるよ」
「襲われたらしょうがないじゃない。スラムはどこだー」
「ダメだって!」
しかし三人とも、編み上げのコンバットブーツに、ジーンズ。
それと「石神一家」のトレーナーにボンバージャケットを着ている。
やる気だ。
一時間後。
「あー、全然相手にならないね」
全部で4組の男たちに襲われた。
ガンを持っている人間もいたが、38口径の弾を指ではじくと、それだけで逃げ出した。
もちろん、追って潰した。
一応、骨折などはない。
ただの遊びだ。
「もうちょっと手応えが欲しいにゃー」
「あ!」
「どうしたの、ハー!」
「いるじゃん!」
「「え?」」
「ここニューヨークじゃん!」
「そうだけど?」
「聖がいるじゃん!」
「「アァッー!!」」
石神に電話した。
「タカさーん!」
「おう! 亜紀ちゃんか。そっちはどうだ?」
「はい! まあボチボチ」
「なんだよ、それ」
石神は笑っていた。
「あの、聖さんに会っておこうと思いまして」
「ああ、そうか。じゃあ、俺が感謝してたって伝えてくれよ!」
「はい!」
石神から、聖の住所を聞いた。
三人でガッツポーズを取った。
まってろー、聖ぃ~!
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
紹嘉後宮百花譚 鬼神と天女の花の庭
響 蒼華
キャラ文芸
始まりの皇帝が四人の天仙の助力を得て開いたとされる、その威光は遍く大陸を照らすと言われる紹嘉帝国。
当代の皇帝は血も涙もない、冷酷非情な『鬼神』と畏怖されていた。
ある時、辺境の小国である瑞の王女が後宮に妃嬪として迎えられた。
しかし、麗しき天女と称される王女に突きつけられたのは、寵愛は期待するなという拒絶の言葉。
人々が騒めく中、王女は心の中でこう思っていた――ああ、よかった、と……。
鬼神と恐れられた皇帝と、天女と讃えられた妃嬪が、花の庭で紡ぐ物語。
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる