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防衛システム輸送 Ⅴ
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金曜日の夜。
俺は亜紀ちゃんたちと電話で話した。
「無事に防衛システムは引き渡しました」
「そうか、三人ともよくやったな!」
「はい!」
亜紀ちゃんは元気そうだった。
「三人とも、怪我はないか?」
「はい! ルーとハーがちょっと甲板の破片を喰らってますが、大したことないです」
「レイはどうだ?」
「重症だったんですが、陸路の運送にも同行するようですよ」
「タフだな!」
俺たちは笑った。
「レイから伝言です」
「おう、なんだ?」
「「戦うことを諦めませんでした」って!」
「そうか」
双子の声が聞こえる。
「二人と変わってくれ」
「「タカさーん」」
「お前たち! よく頑張ったな!」
「「うん!」」
「早く帰って来い。俺はもう待ちきれんぞ!」
「うん、でもね、今日はマリーンの人たちとパーティなの」
「一杯ご馳走してくれるんだって!」
「しょうがねぇ。お前らの本領を見せてやって来い!」
「「うん!」」
電話を切った。
また元気な顔を見ながら話そう。
「皇紀」
「はい!」
「ハワイ基地での弁償費用は幾らだって?」
「はい! F15イーグルは40億円ですね」
「まあ、そうだろうな」
「それに加えて、お姉ちゃんが撃った「虚震花」のとばっちりで、「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」の電子システムが全損です。これが250億円」
「お、おう」
「基地の破壊で20億円。パイロットへの賠償費用が10億円、基地へのテロ行為の慰謝料的示談金が300億円、巡洋艦などの被害と遺族への補償は折半で、そちらは2兆円ほどかと」
「へ、へぇ」
「もろもろで3兆円くらいじゃないですかね?」
「全然平気だな!」
双子が金持ちで良かった。
日曜日。
三人が帰って来た。
皇紀と成田空港まで迎えに行く。
「「「タカさーん!」」」
「おう!」
「お帰りなさい!」
俺たちはロビーで抱き合った。
「あ! またタカさんが泣いてる!」
「うるせぇ!」
亜紀ちゃんがからかい、双子が尻をポンポンする。
俺は声を上げて泣いた。
行きかう人々が何事かと見て行った。
五人でベンチに座る。
「さあ、帰りましょう。タカさん!」
「ああ!」
俺たちはずっと歌いながら帰った。
歌わないと、涙が溢れそうだった。
どこにも寄らずに家に帰った。
昼はウナギをとった。
好きなだけ喰わせてやる。
アビゲイルが来た。
三人の健闘を称え、礼を述べた。
「今回君たちが負った負債は、すべてロックハートで支払うよ」
「いや、大丈夫だ。俺たちに支払わせて欲しい」
「なぜだ? 我々のために負った負債だろう」
「俺たちが必要でやったことだ。防衛システムのためではない。こいつらの命のためだ」
アビゲイルは微笑んで言った。
「君たちは本当に素晴らしい家族だな」
「ああ!」
俺たちは5兆円を支払った。
その代わり、海軍とマリーンたちが撮影した映像とデータをすべて譲ってもらった。
「巨獣」のサンプルもだ。
もちろん、通常はそんなことは出来ない。
ロックハートの力を借りた。
「軍もあの生物には驚愕している。今後対策のために、大きな動きがあるだろう」
「そうか」
「そちらの動きも、分かり次第に知らせる」
「頼む」
亜紀ちゃんがアビゲイルにウナギを渡した。
アビゲイルは喜んで掻き込んだ。
「ジェイは何か言ってきているか?」
「早急にイシガミと会いたいと言っていた」
「分かった。都合を聞いてくれ」
アビゲイルは、礼はまた別途にと言って帰った。
その夜。
レイから電話が来た。
「レイ!」
「石神さん!」
レイは無事にロックハートの屋敷にシステムを運んだと言った。
これから設置作業に入る。
「お子さんたちのお陰です!」
「レイもハーを守ってくれたんだよな?」
「いいえ。私などは何の役にも立ちませんでした」
「全部聞いているよ。ありがとう。どんなに感謝しても足りない」
「こちらこそ! でも、三人は本当に頑張ってくれました」
「そうか」
「あ、石神さんからいただいたウォッカやシャンプーも無事でした!」
「そうか、良かったよ」
「何しろ、絶対に安全な場所に入れましたからね」
「そうなのか?」
「皇紀さんに頼んで、溶接した特別区画に厳重に」
「なに!」
「お陰で無事でした。怪我が治ったらいただきます!」
「このやろう」
俺たちは笑った。
「作業が一段落したら、またお会いしたいです」
「いつでも待ってるよ。大歓迎だ」
「ありがとうございます」
「怪我はどうだ?」
「はい! 医者も驚いています。あんなに重症だったのに、もう元気で」
「そうか」
電話を切り、子どもたちにレイが物凄く元気だと伝えた。
「タカさん、許可してくれてありがとう!」
ハーが言った。
「お前を守ってくれた人だ。当然だよ」
「うん!」
レイには、「α」の粉末と「オロチ」の皮を食べさせた。
俺が万一の場合に備えて、子どもたちに持って行かせていた。
「レイも私たちの仲間になってくれるかな?」
ルーが言う。
「もう仲間だ。まあ、一緒にいるわけじゃないけどな」
「そうね」
子どもたちと一緒に風呂に入った。
皇紀は遠慮した。
俺が三人の背中と髪を洗った。
亜紀ちゃんと酒を飲んだ。
「亜紀ちゃん、本当にありがとう」
「タカさん、また無茶しそうになったんですって?」
「そんなことはないぞ」
「ダメですよ! 皇紀に聞きましたから。今回は皇紀に本当に感謝してます」
「そうだな」
亜紀ちゃんがいきなり抱き着いて来た。
「もーう! タカさんは今後傷ついちゃダメです」
「バカを言うな」
「私たちがタカさんのために戦うんです。タカさんは守られなきゃ」
「そうはいかん」
「手足切っちゃおうかな」
「オチンチンは残してくれ」
二人で笑った。
「でも、みんな生きててよかった」
「まったくだな」
亜紀ちゃんが俺にキスをし、座り直した。
「でも、とんでもないのが出てきましたね」
「ああ。亜紀ちゃんと俺にしか対応できないな」
「「トールハンマー」と「ブリューナク」を使いました」
「構わない。お前たちが無事なことだけが重要だ」
「ハワイの基地でも、「花岡」を使いました」
「全然構わない。そのお陰でギリギリ間に合ったんだからな。よくやってくれた」
亜紀ちゃんが嬉しそうに笑った。
「今後も必要だと思ったら、どんどん使え。迷うなよ?」
「はい、分かりました」
亜紀ちゃんは、海上での出来事や、サンフランシスコでの大宴会の話を聞かせてくれた。
「私、マリーンと海軍で人気抜群になりました!」
「そうか」
名前も何も公開されてはいない。
ただ、その驚異的な存在だけは知られた。
「でも、亜紀ちゃんは俺のものだぞ」
「はい!」
俺は亜紀ちゃんたちと電話で話した。
「無事に防衛システムは引き渡しました」
「そうか、三人ともよくやったな!」
「はい!」
亜紀ちゃんは元気そうだった。
「三人とも、怪我はないか?」
「はい! ルーとハーがちょっと甲板の破片を喰らってますが、大したことないです」
「レイはどうだ?」
「重症だったんですが、陸路の運送にも同行するようですよ」
「タフだな!」
俺たちは笑った。
「レイから伝言です」
「おう、なんだ?」
「「戦うことを諦めませんでした」って!」
「そうか」
双子の声が聞こえる。
「二人と変わってくれ」
「「タカさーん」」
「お前たち! よく頑張ったな!」
「「うん!」」
「早く帰って来い。俺はもう待ちきれんぞ!」
「うん、でもね、今日はマリーンの人たちとパーティなの」
「一杯ご馳走してくれるんだって!」
「しょうがねぇ。お前らの本領を見せてやって来い!」
「「うん!」」
電話を切った。
また元気な顔を見ながら話そう。
「皇紀」
「はい!」
「ハワイ基地での弁償費用は幾らだって?」
「はい! F15イーグルは40億円ですね」
「まあ、そうだろうな」
「それに加えて、お姉ちゃんが撃った「虚震花」のとばっちりで、「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」の電子システムが全損です。これが250億円」
「お、おう」
「基地の破壊で20億円。パイロットへの賠償費用が10億円、基地へのテロ行為の慰謝料的示談金が300億円、巡洋艦などの被害と遺族への補償は折半で、そちらは2兆円ほどかと」
「へ、へぇ」
「もろもろで3兆円くらいじゃないですかね?」
「全然平気だな!」
双子が金持ちで良かった。
日曜日。
三人が帰って来た。
皇紀と成田空港まで迎えに行く。
「「「タカさーん!」」」
「おう!」
「お帰りなさい!」
俺たちはロビーで抱き合った。
「あ! またタカさんが泣いてる!」
「うるせぇ!」
亜紀ちゃんがからかい、双子が尻をポンポンする。
俺は声を上げて泣いた。
行きかう人々が何事かと見て行った。
五人でベンチに座る。
「さあ、帰りましょう。タカさん!」
「ああ!」
俺たちはずっと歌いながら帰った。
歌わないと、涙が溢れそうだった。
どこにも寄らずに家に帰った。
昼はウナギをとった。
好きなだけ喰わせてやる。
アビゲイルが来た。
三人の健闘を称え、礼を述べた。
「今回君たちが負った負債は、すべてロックハートで支払うよ」
「いや、大丈夫だ。俺たちに支払わせて欲しい」
「なぜだ? 我々のために負った負債だろう」
「俺たちが必要でやったことだ。防衛システムのためではない。こいつらの命のためだ」
アビゲイルは微笑んで言った。
「君たちは本当に素晴らしい家族だな」
「ああ!」
俺たちは5兆円を支払った。
その代わり、海軍とマリーンたちが撮影した映像とデータをすべて譲ってもらった。
「巨獣」のサンプルもだ。
もちろん、通常はそんなことは出来ない。
ロックハートの力を借りた。
「軍もあの生物には驚愕している。今後対策のために、大きな動きがあるだろう」
「そうか」
「そちらの動きも、分かり次第に知らせる」
「頼む」
亜紀ちゃんがアビゲイルにウナギを渡した。
アビゲイルは喜んで掻き込んだ。
「ジェイは何か言ってきているか?」
「早急にイシガミと会いたいと言っていた」
「分かった。都合を聞いてくれ」
アビゲイルは、礼はまた別途にと言って帰った。
その夜。
レイから電話が来た。
「レイ!」
「石神さん!」
レイは無事にロックハートの屋敷にシステムを運んだと言った。
これから設置作業に入る。
「お子さんたちのお陰です!」
「レイもハーを守ってくれたんだよな?」
「いいえ。私などは何の役にも立ちませんでした」
「全部聞いているよ。ありがとう。どんなに感謝しても足りない」
「こちらこそ! でも、三人は本当に頑張ってくれました」
「そうか」
「あ、石神さんからいただいたウォッカやシャンプーも無事でした!」
「そうか、良かったよ」
「何しろ、絶対に安全な場所に入れましたからね」
「そうなのか?」
「皇紀さんに頼んで、溶接した特別区画に厳重に」
「なに!」
「お陰で無事でした。怪我が治ったらいただきます!」
「このやろう」
俺たちは笑った。
「作業が一段落したら、またお会いしたいです」
「いつでも待ってるよ。大歓迎だ」
「ありがとうございます」
「怪我はどうだ?」
「はい! 医者も驚いています。あんなに重症だったのに、もう元気で」
「そうか」
電話を切り、子どもたちにレイが物凄く元気だと伝えた。
「タカさん、許可してくれてありがとう!」
ハーが言った。
「お前を守ってくれた人だ。当然だよ」
「うん!」
レイには、「α」の粉末と「オロチ」の皮を食べさせた。
俺が万一の場合に備えて、子どもたちに持って行かせていた。
「レイも私たちの仲間になってくれるかな?」
ルーが言う。
「もう仲間だ。まあ、一緒にいるわけじゃないけどな」
「そうね」
子どもたちと一緒に風呂に入った。
皇紀は遠慮した。
俺が三人の背中と髪を洗った。
亜紀ちゃんと酒を飲んだ。
「亜紀ちゃん、本当にありがとう」
「タカさん、また無茶しそうになったんですって?」
「そんなことはないぞ」
「ダメですよ! 皇紀に聞きましたから。今回は皇紀に本当に感謝してます」
「そうだな」
亜紀ちゃんがいきなり抱き着いて来た。
「もーう! タカさんは今後傷ついちゃダメです」
「バカを言うな」
「私たちがタカさんのために戦うんです。タカさんは守られなきゃ」
「そうはいかん」
「手足切っちゃおうかな」
「オチンチンは残してくれ」
二人で笑った。
「でも、みんな生きててよかった」
「まったくだな」
亜紀ちゃんが俺にキスをし、座り直した。
「でも、とんでもないのが出てきましたね」
「ああ。亜紀ちゃんと俺にしか対応できないな」
「「トールハンマー」と「ブリューナク」を使いました」
「構わない。お前たちが無事なことだけが重要だ」
「ハワイの基地でも、「花岡」を使いました」
「全然構わない。そのお陰でギリギリ間に合ったんだからな。よくやってくれた」
亜紀ちゃんが嬉しそうに笑った。
「今後も必要だと思ったら、どんどん使え。迷うなよ?」
「はい、分かりました」
亜紀ちゃんは、海上での出来事や、サンフランシスコでの大宴会の話を聞かせてくれた。
「私、マリーンと海軍で人気抜群になりました!」
「そうか」
名前も何も公開されてはいない。
ただ、その驚異的な存在だけは知られた。
「でも、亜紀ちゃんは俺のものだぞ」
「はい!」
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