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それぞれの明日。
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日曜日の朝。
響子に鼻をつままれて起きる。
「俺の鼻をつまむってことは、パンツを脱がされたいってことだな!」
女はいつでもパンツを脱がされたがっていると、エロ小説の大家・川上某が言っていた。
「いやー!」
女が嫌だと言うのは、「もっとやれ」という意味だと、縄師・某紫光が言っていた。
俺が先人の言葉に従おうとすると、六花が響子の向こうでパンツを脱いでいた。
俺にここを触れと指さしている。
俺は響子の額にキスをして起きた。
六花が指さしている。
ニコニコしている。
「顔を洗って来い!」
俺は二人を追い出した。
ロボの頭を撫でて、ゴロゴロさせた。
顔を洗い、ロボと下に降りると、子どもたちが待っていた。
「おはよう」
「「「「おはようございます!」」」」
「今日は二人多いが、うちの食費にダメージはないな!」
「「「「はい!」」」」
「では、いただきます」
「「「「いただきます!」」」」
今日は卵かけご飯の日だ。
子どもたちは厚切りベーコンを好きなだけ取り、卵かけご飯を満喫している。
六花も同様だ。
響子は六花に卵を割ってもらい、黄身だけ納豆の上にかけた。
美味そうに食べている。
俺はコーヒーだけを飲み、響子にスフレを作ってやろうとした。
子どもたちがじっと見ているので、子どもたちの分も作る。
六花もじっと見ているので、頷く。
六花がニコニコした。
ロボには、亜紀ちゃんがササミを焼いたものとカリカリを出している。
ロボはそれに夢中だ。
「おいしー!」
食後にみんなが喜んでくれた。
六花が響子をタクシーに乗せ、バイクで並走して一緒に帰った。
俺は栞に電話し、家に遊びに行った。
「待ってたよー!」
栞は玄関で抱き着いて来た。
俺は苦笑して抱き締めてやり、組み手をしようと誘った。
道着に着替えて道場でやる。
続いて木刀でやり合った。
栞は一通りの武器に精通している。
銃火器も含めてだ。
「あー、石神くんについに剣でも勝てなくなったー」
「やっと刃渡りの長いものの感覚が掴めたよ」
「なんでそんなに強いの?」
「戦うのが好きだからだろうな」
栞は上がった息を息吹で鎮める。
シャワーを浴びて着替えた。
リヴィングでコーヒーを飲む。
「石神くんはスポーツ万能だよね?」
「いや。球技とかは全然だよ」
「そうなの!」
「ああ。バレーとかもう全然ダメ。バスケットとかもな。野球も打つのと投げるスピードだけだな」
「意外ね?」
「そうか? 俺ば別に運動神経がいいわけじゃないよ。相手をぶちのめすことだけよな」
「ふーん」
栞が昼食を食べて行って欲しいというので、甘えた。
家に電話して、俺の分はいらないと言う。
「何が食べたい?」
「今朝は喰わなかったから、重ためのものがいいな」
「カツ丼とか!」
「いいな!」
俺が手伝おうとすると、座っててくれと言われた。
栞が上機嫌で作る。
俺が脂身が好きではないのを知っているので、ヒレ肉を使ってくれる。
その代わり、揚げるのはラードだ。
「お替りするよね?」
「ああ、頼む」
その分のカツを用意する。
食べながら、俺は栞に聞いた。
「最近鷹と仲がいいじゃないか」
「うん」
「悪いことじゃないけど、何かあったのか?」
「うん、まあね」
「なんだよ」
俺は笑った。
恥ずかしがることでもないだろうに。
「まあ、あったと言えばそうなんだけど。ちょっと鷹の悩みを聞いてるって感じかな」
「悩み?」
「うん。もっと強くなりたいって」
「なってるだろう」
「そうなんだけど。まあ、人によって悩みは違うよ」
「そうだなぁ」
栞が二杯目のカツ丼を作り始めた。
俺は茶を飲みながらしばし待った。
「じゃあ、今度鷹に聞いてみるか」
「待って! 今私がいろいろ聞いているから」
「そうか?」
「うん。女同士がいいこともあるよ」
「そういうものかな。じゃあ宜しく頼む」
「うん!」
俺はこの時にもっと突っ込むべきだった。
後になって、俺は激しく後悔することになる。
俺は鷹の深い悩みと決意を推し量ることができなかった。
コーヒーを飲んで、俺は栞の家を出た。
久しぶりに、と思っていたが、栞はその気はないようだった。
最初の玄関での情熱との変化に、俺は思い至れなかった。
栞も悩んでいたのだと、後に俺にも分かった。
月曜日。
一江の報告を聞きながら、俺は終始ニコニコしていた。
「以上です、気味が悪い上司」
「え? ああ、終わったか。今日も一江はカワイイな!」
「は?」
「今日は道端の石ころにも声をかけたい気分だ」
「ちょっと、ひどくないですか?」
「ああ、もちろんお前は石ころ以上だ。自信を持っていいぞ!」
「……」
俺は部下たちに向かって言った。
「みなさーん! 御堂は大好きですかぁー!」
「はーい!」
全員が右手を上げて返事した。
俺は大満足だった。
やっぱ、みんな御堂が好きなんだ。
そりゃそうだ。
「部長、上機嫌の理由は分かりましたけど、御堂さんがいらっしゃるんですか?」
「どうして分かった! お前はやっぱり天才か!」
「褒めなくていいです。いつです?」
「来週の金曜からだ。二日も泊まってくんだぞ!」
「おめでとうございます」
「ああ、ここにも来るからな。響子とか六花、まあ院長にも紹介しよう。お前も会いたい?」
「はい、お願いします」
「しょーがねぇーなー! よし、俺に任せろ!」
「……」
一江が部下たちに、何か失敗の報告やお願い事は今だと言っている。
聞こえているが、気にしない。
その通りだからだ。
一江が「山里」で食事がしたいと言うので、大森と一緒に行った。
大森が美味い美味いと感動して食べた。
「大森、お前はそろそろ斬の所へ行くか」
「はい?」
「大分仕上がって来ただろう。一江を守れるようにはなってきたよな」
「そうですか!」
「だから、斬の所で基本を学んで来い。それにあいつなら、お前に合った鍛え方を教えてくれるだろう」
「分かりました!」
「一江、お前も一度蓮花の研究所へ行って来い」
「はい。よろしいんですか?」
「お前もいろいろ知っておいた方がいいだろう」
「是非!」
「AIが本格稼働しているからな。そっち方面で話を詰めて来い」
「分かりました!」
「二人とも、来週は休暇をとってもいいからな。何泊か行って来い」
「「はい!」」
帰り道で、俺は歌いながら坂を下った。
♪ もーいくつねーるーとー みどうくんー ♪
一江と大森がじとっとした目で俺を見ていた。
響子に鼻をつままれて起きる。
「俺の鼻をつまむってことは、パンツを脱がされたいってことだな!」
女はいつでもパンツを脱がされたがっていると、エロ小説の大家・川上某が言っていた。
「いやー!」
女が嫌だと言うのは、「もっとやれ」という意味だと、縄師・某紫光が言っていた。
俺が先人の言葉に従おうとすると、六花が響子の向こうでパンツを脱いでいた。
俺にここを触れと指さしている。
俺は響子の額にキスをして起きた。
六花が指さしている。
ニコニコしている。
「顔を洗って来い!」
俺は二人を追い出した。
ロボの頭を撫でて、ゴロゴロさせた。
顔を洗い、ロボと下に降りると、子どもたちが待っていた。
「おはよう」
「「「「おはようございます!」」」」
「今日は二人多いが、うちの食費にダメージはないな!」
「「「「はい!」」」」
「では、いただきます」
「「「「いただきます!」」」」
今日は卵かけご飯の日だ。
子どもたちは厚切りベーコンを好きなだけ取り、卵かけご飯を満喫している。
六花も同様だ。
響子は六花に卵を割ってもらい、黄身だけ納豆の上にかけた。
美味そうに食べている。
俺はコーヒーだけを飲み、響子にスフレを作ってやろうとした。
子どもたちがじっと見ているので、子どもたちの分も作る。
六花もじっと見ているので、頷く。
六花がニコニコした。
ロボには、亜紀ちゃんがササミを焼いたものとカリカリを出している。
ロボはそれに夢中だ。
「おいしー!」
食後にみんなが喜んでくれた。
六花が響子をタクシーに乗せ、バイクで並走して一緒に帰った。
俺は栞に電話し、家に遊びに行った。
「待ってたよー!」
栞は玄関で抱き着いて来た。
俺は苦笑して抱き締めてやり、組み手をしようと誘った。
道着に着替えて道場でやる。
続いて木刀でやり合った。
栞は一通りの武器に精通している。
銃火器も含めてだ。
「あー、石神くんについに剣でも勝てなくなったー」
「やっと刃渡りの長いものの感覚が掴めたよ」
「なんでそんなに強いの?」
「戦うのが好きだからだろうな」
栞は上がった息を息吹で鎮める。
シャワーを浴びて着替えた。
リヴィングでコーヒーを飲む。
「石神くんはスポーツ万能だよね?」
「いや。球技とかは全然だよ」
「そうなの!」
「ああ。バレーとかもう全然ダメ。バスケットとかもな。野球も打つのと投げるスピードだけだな」
「意外ね?」
「そうか? 俺ば別に運動神経がいいわけじゃないよ。相手をぶちのめすことだけよな」
「ふーん」
栞が昼食を食べて行って欲しいというので、甘えた。
家に電話して、俺の分はいらないと言う。
「何が食べたい?」
「今朝は喰わなかったから、重ためのものがいいな」
「カツ丼とか!」
「いいな!」
俺が手伝おうとすると、座っててくれと言われた。
栞が上機嫌で作る。
俺が脂身が好きではないのを知っているので、ヒレ肉を使ってくれる。
その代わり、揚げるのはラードだ。
「お替りするよね?」
「ああ、頼む」
その分のカツを用意する。
食べながら、俺は栞に聞いた。
「最近鷹と仲がいいじゃないか」
「うん」
「悪いことじゃないけど、何かあったのか?」
「うん、まあね」
「なんだよ」
俺は笑った。
恥ずかしがることでもないだろうに。
「まあ、あったと言えばそうなんだけど。ちょっと鷹の悩みを聞いてるって感じかな」
「悩み?」
「うん。もっと強くなりたいって」
「なってるだろう」
「そうなんだけど。まあ、人によって悩みは違うよ」
「そうだなぁ」
栞が二杯目のカツ丼を作り始めた。
俺は茶を飲みながらしばし待った。
「じゃあ、今度鷹に聞いてみるか」
「待って! 今私がいろいろ聞いているから」
「そうか?」
「うん。女同士がいいこともあるよ」
「そういうものかな。じゃあ宜しく頼む」
「うん!」
俺はこの時にもっと突っ込むべきだった。
後になって、俺は激しく後悔することになる。
俺は鷹の深い悩みと決意を推し量ることができなかった。
コーヒーを飲んで、俺は栞の家を出た。
久しぶりに、と思っていたが、栞はその気はないようだった。
最初の玄関での情熱との変化に、俺は思い至れなかった。
栞も悩んでいたのだと、後に俺にも分かった。
月曜日。
一江の報告を聞きながら、俺は終始ニコニコしていた。
「以上です、気味が悪い上司」
「え? ああ、終わったか。今日も一江はカワイイな!」
「は?」
「今日は道端の石ころにも声をかけたい気分だ」
「ちょっと、ひどくないですか?」
「ああ、もちろんお前は石ころ以上だ。自信を持っていいぞ!」
「……」
俺は部下たちに向かって言った。
「みなさーん! 御堂は大好きですかぁー!」
「はーい!」
全員が右手を上げて返事した。
俺は大満足だった。
やっぱ、みんな御堂が好きなんだ。
そりゃそうだ。
「部長、上機嫌の理由は分かりましたけど、御堂さんがいらっしゃるんですか?」
「どうして分かった! お前はやっぱり天才か!」
「褒めなくていいです。いつです?」
「来週の金曜からだ。二日も泊まってくんだぞ!」
「おめでとうございます」
「ああ、ここにも来るからな。響子とか六花、まあ院長にも紹介しよう。お前も会いたい?」
「はい、お願いします」
「しょーがねぇーなー! よし、俺に任せろ!」
「……」
一江が部下たちに、何か失敗の報告やお願い事は今だと言っている。
聞こえているが、気にしない。
その通りだからだ。
一江が「山里」で食事がしたいと言うので、大森と一緒に行った。
大森が美味い美味いと感動して食べた。
「大森、お前はそろそろ斬の所へ行くか」
「はい?」
「大分仕上がって来ただろう。一江を守れるようにはなってきたよな」
「そうですか!」
「だから、斬の所で基本を学んで来い。それにあいつなら、お前に合った鍛え方を教えてくれるだろう」
「分かりました!」
「一江、お前も一度蓮花の研究所へ行って来い」
「はい。よろしいんですか?」
「お前もいろいろ知っておいた方がいいだろう」
「是非!」
「AIが本格稼働しているからな。そっち方面で話を詰めて来い」
「分かりました!」
「二人とも、来週は休暇をとってもいいからな。何泊か行って来い」
「「はい!」」
帰り道で、俺は歌いながら坂を下った。
♪ もーいくつねーるーとー みどうくんー ♪
一江と大森がじとっとした目で俺を見ていた。
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