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フランス外人部隊
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俺は年に一度の「誕生日会」の準備をしていた。
昨年、栞に無理矢理やらされたが、まあ悪くはない。
子どもにとって、こういう行事はいいものなのだろう。
まあ、めんどくさいが。
洋品店の武市に電話した。
「あ、トラさん!」
「よう、元気かよ」
「はい! あ、井上さんからもよく電話いただきます」
「そうか」
「トラさんのお陰で毎日楽しいって。あ、一応俺にも礼を言われちゃって」
「だって、全部お前のお陰だろうよ」
「何言ってんすか!」
「ああ、今日はまたお前のとこに頼みたくてさ」
「はい! なんでもおっしゃって下さい!」
「一つはトレーナーなんだけどな。背中に」
「はい! 「六根清浄」ですね!」
俺は笑った。
「いや、今回は「石神一家」って刺繍を入れて欲しいんだ」
「はい! ついに組を起こしますか!」
「アハハ、そうじゃねぇけどな。そっちは20枚ほど。サイズは全部変えられるか?」
「はい、問題ありません」
「それとTシャツにも同じ文言を。こっちはプリントでいい。数は800くらいだなぁ」
「え! そんなにですか!」
「ああ、組員が増えちゃってなぁ」
「アハハハ」
「ワハハハハ」
後でメールでサイズを送ると言って、電話を切った。
まだ三週間ある。
武市なら間に合わせてくれるだろう。
まあ、Tシャツは遅れても問題ない。
俺が食堂で昼食を食べていると、千両から連絡が来た。
「石神さん、新たな動きが」
「なんだ!」
「規模が分かりました。4分隊構成の総勢50人です。もしかすると、その倍」
「そうか」
「外人部隊でも精鋭らしいです」
「分かった」
「申し訳ありません。今後は少しばかり情報が遅れるかもしれません」
「どうかしたのか?」
「フランス外人部隊に潜入させていた奴が殺されまして」
「そうだったか」
「今、奴らが使いそうな輸送路を当たって調べてます。ですので後手に回ってしまうかと」
「構わない。その男のお陰でこちらも準備が出来た。感謝している」
「ありがとうございます」
三日後。
襲撃を受けた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「人生研究会」の幹部会を終え、双子は近所のラーメン屋に向かおうとしていた。
幹部たちも連れて行くつもりだ。
「ルー!」
「うん!」
唐突に迫って来る気配を感じた。
「あんたたちは、急いで校舎に戻って!」
「はい!」
前方から強烈な「嫌な雰囲気」が迫っている。
「タカさんが言ってた連中だよね」
「間違いない」
二人は走った。
走りながら電話で皇紀を呼び出す。
「皇紀ちゃん! 敵襲だよ! みんなに知らせて!」
「分かった!」
その直後、ハーが吹っ飛んだ。
「ハー!」
ルーが駆け寄ると、ハーは苦しそうに立ち上がった。
口から鮮血を吐く。
「ハー!」
ハーが手を振った。
急速に迫る「嫌な雰囲気」が消えたことに気付いた。
二発目のライフル弾を消したのだ。
ルーはハーを抱えて移動する。
「ルー、まずいよ。あたしたちの気配感知が鈍る武器だ」
「え!」
「今狙撃された。相当な腕だよ。身体に当たるまで気付かなかった」
「大丈夫?」
「うん! ちょっとアバラが折れたみたい。でも戦えるよ」
二トントラックが迫って来る。
恐らく、敵が乗っている。
ルーはハーを降ろし、その前に立った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
俺は皇紀から連絡を受けて、すぐに響子の病室へ向かった。
「石神先生!」
「六花! 聞いているな!」
「はい!」
六花が響子を抱き、俺たちはアメリカ大使館へ急いだ。
響子は泣いていない。
真剣な顔をして前方を見つめている。
大使館からも迎えのリムジン車が来た。
恐らく防弾仕様の特別車だ。
他に数人のSPの男たちが後ろから走って来る。
リムジンが突然吹っ飛んだ。
RPGだ。
後ろの男たちが、RPGが発射されただろう右方向を向く。
「反対だぁー!」
俺は左から迫りくる集団に「虚震花」を放った。
なぎ倒される。
「!」
腰の後ろから、クザン・オダの大型ナイフを取り出し、集団へ突っ込む。
六花が「轟雷」を周辺に放った。
俺は起き上がりかけた男たちの首に次々とナイフを振るう。
何発か銃を撃たれるが、難なくかわす。
7人の男たちを斃し、残る一人の手足の腱をナイフを突き刺して切る。
転がっている一人の手を切り落とし、男の口に突っ込んだ。
自決防止だ。
大使館のSPの男が無線で話している。
次の迎えの車がすぐに来た。
「Put him to torture!(自白させろ!)」
SPは頷いて、俺が処理した男をトランクに放り込んだ。
響子と六花を乗せ、行かせた。
RPGを撃った奴は、早々に離脱していた。
俺は病院へ戻り、ドゥカティに跨った。
インカムに皇紀から連絡が来た。
「良かった! やっと通じました」
「こっちも襲われた。奴ら、「花岡」に耐える装備だぞ!」
「はい! ハーがそれで撃たれました」
「なに!!」
「大丈夫です。お姉ちゃんが向かってます。もう交戦しているはずですから」
「お前はどこだ!」
「今家に向かってます」
「俺がすぐに行く! あいつらは俺たちのルートを把握しているぞ!」
「分かりました。気を付けます!」
俺たちの「拠点」に強固な防衛システムがあるのを知っている。
だから移動中を襲撃するのだ。
まあ、想定内だ。
よくもハーを!
あいつを殴っていいのは俺と兄弟とあいつの将来の旦那だけだ!
返り討ちにしてやる。
昨年、栞に無理矢理やらされたが、まあ悪くはない。
子どもにとって、こういう行事はいいものなのだろう。
まあ、めんどくさいが。
洋品店の武市に電話した。
「あ、トラさん!」
「よう、元気かよ」
「はい! あ、井上さんからもよく電話いただきます」
「そうか」
「トラさんのお陰で毎日楽しいって。あ、一応俺にも礼を言われちゃって」
「だって、全部お前のお陰だろうよ」
「何言ってんすか!」
「ああ、今日はまたお前のとこに頼みたくてさ」
「はい! なんでもおっしゃって下さい!」
「一つはトレーナーなんだけどな。背中に」
「はい! 「六根清浄」ですね!」
俺は笑った。
「いや、今回は「石神一家」って刺繍を入れて欲しいんだ」
「はい! ついに組を起こしますか!」
「アハハ、そうじゃねぇけどな。そっちは20枚ほど。サイズは全部変えられるか?」
「はい、問題ありません」
「それとTシャツにも同じ文言を。こっちはプリントでいい。数は800くらいだなぁ」
「え! そんなにですか!」
「ああ、組員が増えちゃってなぁ」
「アハハハ」
「ワハハハハ」
後でメールでサイズを送ると言って、電話を切った。
まだ三週間ある。
武市なら間に合わせてくれるだろう。
まあ、Tシャツは遅れても問題ない。
俺が食堂で昼食を食べていると、千両から連絡が来た。
「石神さん、新たな動きが」
「なんだ!」
「規模が分かりました。4分隊構成の総勢50人です。もしかすると、その倍」
「そうか」
「外人部隊でも精鋭らしいです」
「分かった」
「申し訳ありません。今後は少しばかり情報が遅れるかもしれません」
「どうかしたのか?」
「フランス外人部隊に潜入させていた奴が殺されまして」
「そうだったか」
「今、奴らが使いそうな輸送路を当たって調べてます。ですので後手に回ってしまうかと」
「構わない。その男のお陰でこちらも準備が出来た。感謝している」
「ありがとうございます」
三日後。
襲撃を受けた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「人生研究会」の幹部会を終え、双子は近所のラーメン屋に向かおうとしていた。
幹部たちも連れて行くつもりだ。
「ルー!」
「うん!」
唐突に迫って来る気配を感じた。
「あんたたちは、急いで校舎に戻って!」
「はい!」
前方から強烈な「嫌な雰囲気」が迫っている。
「タカさんが言ってた連中だよね」
「間違いない」
二人は走った。
走りながら電話で皇紀を呼び出す。
「皇紀ちゃん! 敵襲だよ! みんなに知らせて!」
「分かった!」
その直後、ハーが吹っ飛んだ。
「ハー!」
ルーが駆け寄ると、ハーは苦しそうに立ち上がった。
口から鮮血を吐く。
「ハー!」
ハーが手を振った。
急速に迫る「嫌な雰囲気」が消えたことに気付いた。
二発目のライフル弾を消したのだ。
ルーはハーを抱えて移動する。
「ルー、まずいよ。あたしたちの気配感知が鈍る武器だ」
「え!」
「今狙撃された。相当な腕だよ。身体に当たるまで気付かなかった」
「大丈夫?」
「うん! ちょっとアバラが折れたみたい。でも戦えるよ」
二トントラックが迫って来る。
恐らく、敵が乗っている。
ルーはハーを降ろし、その前に立った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
俺は皇紀から連絡を受けて、すぐに響子の病室へ向かった。
「石神先生!」
「六花! 聞いているな!」
「はい!」
六花が響子を抱き、俺たちはアメリカ大使館へ急いだ。
響子は泣いていない。
真剣な顔をして前方を見つめている。
大使館からも迎えのリムジン車が来た。
恐らく防弾仕様の特別車だ。
他に数人のSPの男たちが後ろから走って来る。
リムジンが突然吹っ飛んだ。
RPGだ。
後ろの男たちが、RPGが発射されただろう右方向を向く。
「反対だぁー!」
俺は左から迫りくる集団に「虚震花」を放った。
なぎ倒される。
「!」
腰の後ろから、クザン・オダの大型ナイフを取り出し、集団へ突っ込む。
六花が「轟雷」を周辺に放った。
俺は起き上がりかけた男たちの首に次々とナイフを振るう。
何発か銃を撃たれるが、難なくかわす。
7人の男たちを斃し、残る一人の手足の腱をナイフを突き刺して切る。
転がっている一人の手を切り落とし、男の口に突っ込んだ。
自決防止だ。
大使館のSPの男が無線で話している。
次の迎えの車がすぐに来た。
「Put him to torture!(自白させろ!)」
SPは頷いて、俺が処理した男をトランクに放り込んだ。
響子と六花を乗せ、行かせた。
RPGを撃った奴は、早々に離脱していた。
俺は病院へ戻り、ドゥカティに跨った。
インカムに皇紀から連絡が来た。
「良かった! やっと通じました」
「こっちも襲われた。奴ら、「花岡」に耐える装備だぞ!」
「はい! ハーがそれで撃たれました」
「なに!!」
「大丈夫です。お姉ちゃんが向かってます。もう交戦しているはずですから」
「お前はどこだ!」
「今家に向かってます」
「俺がすぐに行く! あいつらは俺たちのルートを把握しているぞ!」
「分かりました。気を付けます!」
俺たちの「拠点」に強固な防衛システムがあるのを知っている。
だから移動中を襲撃するのだ。
まあ、想定内だ。
よくもハーを!
あいつを殴っていいのは俺と兄弟とあいつの将来の旦那だけだ!
返り討ちにしてやる。
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