484 / 2,840
一緒に寝よう!
しおりを挟む
俺は子どもたちを集め、千両のことを話した。
「俺の靴を舐めて泣いて頼むんで、仕方なく受け入れた」
亜紀ちゃんが笑う。
「でも、俺はヤクザの親分じゃねぇからな!」
「「「「はい!」」」」
「ここは大事なとこだ。試験に出るからな!」
子どもたちが笑う。
「本当に何でもないことだ。あいつらが勝手に下に置いてくれと言うんで、そうするだけだ。別に特に関わるつもりはねぇ」
「「「「はい!」」」」
午後の予定はない。
俺は中断した六花とのツーリングも考えたが、結局やめた。
来週は鷹と別荘に行く。
だからこの休みは子どもたちといよう。
俺は双子を連れて散歩に出た。
手を繋いで歩く。
俺は誰かと手を繋ぐのは嫌いだ。
腕を組むのはいい。
先端を自由にしていないと、落ち着かないのだ。
しかし、双子だけは違う。
両手を繋ぐと気分が良くなる。
不思議だ。
「お前らってやっぱり、「気持ちいい光線」とか出してるよな。
双子が喜ぶ。
「私たちもタカさんと一緒にいるのがいい!」
ルーが言い、ハーも頷いている。
「今日はどこへ行こうか」
「タカさんの行きたいとこでいいよー」
「いつものコースでいいじゃん!」
「お前ら、カワイイなぁ!」
「「アハハハ!」」
俺たちはいつもの公園へ行った。
いつものベンチに座る。
ルーが缶コーヒーを買ってくる。
自分たちは好きなジュースだ。
大金持ちのくせに、俺にねだる。
カワイイ。
まったりした。
「ああ、千両がな」
「「うん」」
「「虚震花」を刀で斬ったらしいぞ」
「「エエッーー!!」」
「それで斬と仲良くなったらしい」
「ありえないよー!」
ルーが言った。
「反物質をどうやって斬るの!」
「「斬る」っていうのは、概念的なものもあるからな」
「どういうこと?」
「信じる力だよ。刀がただの鋼だと思ってる奴には、そういうものでしかない」
「ええ?」
「岩を斬ると信じた奴だけが斬れる」
「そんなことってあるの?」
「予定調和的なものだな」
「ライプニッツ?」
「そうだな。人間の信ずる力というのは決して侮れない。量子力学の「観測者」と同じことだな」
「なるほど!」
双子の理解は早い。
「千両さんは信じたってことですか?」
「そうだな。あれは極めた人間だからなぁ。「斬る」ということに関しては化け物だ。俺たちだって危ういかもしれん」
「でも、タカさんだって信じる力はあるでしょ?」
「そういうことだ。その力でもって、物事のすべての勝敗が決まると言っても過言ではない」
双子がジュースを飲み干した。
もう一本とねだるので、金を渡した。
「じゃあ、信じたら何でもできるの?」
「理論的にはな。でも、人間はやっぱり信ずる限界が自ずとしてあるからな」
俺はナポレオンの話をした。
「昔は戦争は貴族と傭兵のものだった。その時代にナポレオンは平民として軍隊に入った。ナポレオンのスゴイ所は、その時点で自分が元帥になると信じたことなんだよ」
「へぇー」
「普通は絶対に信じられない。貴族以外は士官には絶対になれない時代なんだからな。無理なんだよ。でも、ナポレオンは本当に信じたから元帥になり、ついには皇帝になった」
「すごいね」
「でも、ナポレオンの信ずる力も、そこまでだった。後は凋落する自分を信じてしまった」
「それも信じるということなんですね」
「そうだ。負けを信じてしまえば負ける。それが人間の限界なんだよ。まあ、それでいいんだけどな」
「どこまでも上る自分は信じられないんですね」
「そういうことだ」
俺たちはJR中野駅の近くの『猫三昧』に顔を出した。
ロボが元気なことと、いただいたオモチャの礼を言いに行った。
「猫神様!」
「石神だぁ! お前ら絶対わざと言ってるだろう」
店長とタマが笑った。
わざわざ来てくれてと言い、中へ案内されそうになったが、散歩の途中で寄っただけだと言った。
「猫神様たちは、いつでも無料ですから!」
「ロボに浮気を咎められたくねぇ」
「なるほど!」
俺たちはいつもの店でソフトクリームを買った。
双子が店員に「根性入れて盛れ!」と言っていた。
「俺はこういういつもの日常でいいんだけどなぁ」
「そうですねー」
「でも、毎日楽しいよ?」
ルーが言った。
「そうか?」
「うん。だって、タカさんと一緒だもん!」
「そうだそうだ」
俺は二人を抱き締めた。
勢いよく抱いたので、二人のソフトクリームがこぼれた。
「「ギャーーーー!!!」」
俺は慌てて二本買った。
根性入れろと凄んだ。
店員が笑っていた。
帰り道。
俺たちはロボのどこがカワイイのかを話した。
「目が薄い緑じゃん」
「ああ、そうだな」
「キレイだよねー」
「真っ白の毛もいい」
「長いしっぽも?」
「スラっとした体形」
「ああ、前はデブだったよな」
「あと、あんまり鳴かないね」
「そうだなぁ。おとなしいよな」
「タカさんが何か言うと鳴くよね」
「返事するよな」
「口をあけたり」
「ちっちゃい牙がまたカワイイよな」
「寝てるときは?」
「ああ、俺も寝てるから知らねぇ」
三人で笑った。
「私たちも一緒に寝たいな」
「お前ら寝相が悪いからなぁ」
「そんなことないよ!」
「じゃあ、今度頼んでみろよ」
「「うん!」」
家に帰って、双子がロボに一緒に寝てくれと言った。
ロボが後ろ足で床をこすった。
絶対嫌らしい。
「俺の靴を舐めて泣いて頼むんで、仕方なく受け入れた」
亜紀ちゃんが笑う。
「でも、俺はヤクザの親分じゃねぇからな!」
「「「「はい!」」」」
「ここは大事なとこだ。試験に出るからな!」
子どもたちが笑う。
「本当に何でもないことだ。あいつらが勝手に下に置いてくれと言うんで、そうするだけだ。別に特に関わるつもりはねぇ」
「「「「はい!」」」」
午後の予定はない。
俺は中断した六花とのツーリングも考えたが、結局やめた。
来週は鷹と別荘に行く。
だからこの休みは子どもたちといよう。
俺は双子を連れて散歩に出た。
手を繋いで歩く。
俺は誰かと手を繋ぐのは嫌いだ。
腕を組むのはいい。
先端を自由にしていないと、落ち着かないのだ。
しかし、双子だけは違う。
両手を繋ぐと気分が良くなる。
不思議だ。
「お前らってやっぱり、「気持ちいい光線」とか出してるよな。
双子が喜ぶ。
「私たちもタカさんと一緒にいるのがいい!」
ルーが言い、ハーも頷いている。
「今日はどこへ行こうか」
「タカさんの行きたいとこでいいよー」
「いつものコースでいいじゃん!」
「お前ら、カワイイなぁ!」
「「アハハハ!」」
俺たちはいつもの公園へ行った。
いつものベンチに座る。
ルーが缶コーヒーを買ってくる。
自分たちは好きなジュースだ。
大金持ちのくせに、俺にねだる。
カワイイ。
まったりした。
「ああ、千両がな」
「「うん」」
「「虚震花」を刀で斬ったらしいぞ」
「「エエッーー!!」」
「それで斬と仲良くなったらしい」
「ありえないよー!」
ルーが言った。
「反物質をどうやって斬るの!」
「「斬る」っていうのは、概念的なものもあるからな」
「どういうこと?」
「信じる力だよ。刀がただの鋼だと思ってる奴には、そういうものでしかない」
「ええ?」
「岩を斬ると信じた奴だけが斬れる」
「そんなことってあるの?」
「予定調和的なものだな」
「ライプニッツ?」
「そうだな。人間の信ずる力というのは決して侮れない。量子力学の「観測者」と同じことだな」
「なるほど!」
双子の理解は早い。
「千両さんは信じたってことですか?」
「そうだな。あれは極めた人間だからなぁ。「斬る」ということに関しては化け物だ。俺たちだって危ういかもしれん」
「でも、タカさんだって信じる力はあるでしょ?」
「そういうことだ。その力でもって、物事のすべての勝敗が決まると言っても過言ではない」
双子がジュースを飲み干した。
もう一本とねだるので、金を渡した。
「じゃあ、信じたら何でもできるの?」
「理論的にはな。でも、人間はやっぱり信ずる限界が自ずとしてあるからな」
俺はナポレオンの話をした。
「昔は戦争は貴族と傭兵のものだった。その時代にナポレオンは平民として軍隊に入った。ナポレオンのスゴイ所は、その時点で自分が元帥になると信じたことなんだよ」
「へぇー」
「普通は絶対に信じられない。貴族以外は士官には絶対になれない時代なんだからな。無理なんだよ。でも、ナポレオンは本当に信じたから元帥になり、ついには皇帝になった」
「すごいね」
「でも、ナポレオンの信ずる力も、そこまでだった。後は凋落する自分を信じてしまった」
「それも信じるということなんですね」
「そうだ。負けを信じてしまえば負ける。それが人間の限界なんだよ。まあ、それでいいんだけどな」
「どこまでも上る自分は信じられないんですね」
「そういうことだ」
俺たちはJR中野駅の近くの『猫三昧』に顔を出した。
ロボが元気なことと、いただいたオモチャの礼を言いに行った。
「猫神様!」
「石神だぁ! お前ら絶対わざと言ってるだろう」
店長とタマが笑った。
わざわざ来てくれてと言い、中へ案内されそうになったが、散歩の途中で寄っただけだと言った。
「猫神様たちは、いつでも無料ですから!」
「ロボに浮気を咎められたくねぇ」
「なるほど!」
俺たちはいつもの店でソフトクリームを買った。
双子が店員に「根性入れて盛れ!」と言っていた。
「俺はこういういつもの日常でいいんだけどなぁ」
「そうですねー」
「でも、毎日楽しいよ?」
ルーが言った。
「そうか?」
「うん。だって、タカさんと一緒だもん!」
「そうだそうだ」
俺は二人を抱き締めた。
勢いよく抱いたので、二人のソフトクリームがこぼれた。
「「ギャーーーー!!!」」
俺は慌てて二本買った。
根性入れろと凄んだ。
店員が笑っていた。
帰り道。
俺たちはロボのどこがカワイイのかを話した。
「目が薄い緑じゃん」
「ああ、そうだな」
「キレイだよねー」
「真っ白の毛もいい」
「長いしっぽも?」
「スラっとした体形」
「ああ、前はデブだったよな」
「あと、あんまり鳴かないね」
「そうだなぁ。おとなしいよな」
「タカさんが何か言うと鳴くよね」
「返事するよな」
「口をあけたり」
「ちっちゃい牙がまたカワイイよな」
「寝てるときは?」
「ああ、俺も寝てるから知らねぇ」
三人で笑った。
「私たちも一緒に寝たいな」
「お前ら寝相が悪いからなぁ」
「そんなことないよ!」
「じゃあ、今度頼んでみろよ」
「「うん!」」
家に帰って、双子がロボに一緒に寝てくれと言った。
ロボが後ろ足で床をこすった。
絶対嫌らしい。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、無実の罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました
深水えいな
キャラ文芸
無実の罪で巫女の座を奪われ処刑された明琳。死の淵で、このままだと国が乱れると謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女としてのやり直しはまたしてもうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは怪事件の数々で――。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる