上 下
473 / 2,840

虎曜日にコショコショ。

しおりを挟む
 月曜日。
 俺はいつものように、一江からの報告を聞いた。

 「以上です」
 「おう、ご苦労!」

 「みなさーん! ネコは好きですかぁー?」
 部下たちは戸惑っていたが、すぐに「おー」と言う。
 今日も反抗勢力がないので安心した。

 「部長、なんでネコ?」
 「ああ、うちネコ飼ったからな」
 「え?」
 俺はロボの話をした。
 たまに出入りする一江や大森も慣れさせなければならない。

 「そうなんですか。ついに獣姦まで」
 一江の頭を殴った。

 「これだけ女はべらせて、その上メス猫なんて!」
 「なんでメス猫だって言い切るんだよ」
 「違うんですか!」
 「いや、メスだけど」
 俺の頭を叩こうとするので、引っぱたいた。

 「部長、なんかお祓いとかした方がいいですって」
 「うるせぇ! ああ、あとな、先週話した通り、蓮花に会いに行ったぞ」
 「その女ともやったんですか?」
 「うん!」
 頭をひっぱたかれた。

 「部長!」
 「お前! 上司に向かってぇ!」
 ちょっと掴み合いをした。
 部下たちが見ているので、肩を組んで笑った。





 俺は会議室に連れ出し、一江と大森に蓮花の「家」の話をした。

 「そりゃ、とんでもないですね」
 「一部は削ってあるが、ほとんどの「資料」を渡したぞ」
 「信頼されたんですね」
 「ああ」

 「やった女だから」
 俺は一江の頭を殴る。

 「とにかく、今後は共同戦線だ。よろしく頼むぞ」
 「「はい!」」

 顕さんの部屋へ行った。
 響子がジグソーパズルをやっている。
 俺は響子の両足を持って逆さ吊りにしてやった。
 響子が喜ぶ。

 「顕さん、絵の額装が出来ました」
 「お! そうかぁ!」
 「すぐにお見せしたいんですが、しばらくは小学校で飾るようで」
 「うん、しょうがないな。楽しみにしてるよ」
 しばらく話し、俺は響子の膝を肩にかけて片手で逆さ吊りにし、片手でセグウェイを抱えて響子の部屋へ行った。
 途中で響子がみんなに「どーもー」と挨拶する。
 みんな笑っていた。

 部屋には六花がいた。
 
 「石神先生、乱暴ですよ」
 六花がちょっと怒っている。
 こいつは俺には逆らわないが、響子のことに関してだけは別だ。
 俺は笑って響子をベッドに寝かせる。
 ボサボサになった髪を、六花がブラッシングする。

 「おい、響子。うちにネコが来たんだ」
 「えー! 見たいよー」
 ロボという白いネコだと話した。
 経緯は簡単に、『猫三昧』から譲ってもらったとだけ話す。

 「おう、見に来いよ。今度家に連れてくからな」
 「必ずね!」
 俺は笑って響子の頭を撫で、髪の毛をぐしゃぐしゃにする。
 六花が怒る。
 前にゴールドの時は二人が拒否されたが、ロボならば大丈夫だろう。
 俺は六花に昼食を一緒に食べようと言い、部屋へ戻った。

 桃花林の個室を予約した。
 六花に北京ダックを食べさせたかったので、「龍珠」のコースを頼む。
 店の人間が俺のことを分かっているので、どんどん料理が運ばれる。
 短い時間で食べられるようにだ。

 俺は蓮花のこととロボのことを詳しく話した。

 「そうですか。分かりました」
 まあ、こいつはこんなものでいい。
 ちょっと聖を思い出した。

 ニコニコと嬉しそうな顔で食べてくれる。
 俺も嬉しくなる。

 「おい、ちょっと北京ダック追加しようか?」
 「ほんとですか!」
 その笑顔を見たかった。
 俺は追加を頼んだ。

 大満足で食事を終えた。

 「北京ダック、最高ですね!」
 「そうだな!」
 俺たちは一層絆が深まった。
 杏仁豆腐を食べている間に、コーヒーを頼んだ。

 「そういえば石神先生」
 「あんだよ」
 「新しい方は、何曜日にいたしますか?」
 「あ?」
 「いえ、お休み中に増えた方」
 「なんでお前が知ってんだよ」

 「先ほど一江さんからメールで。私は曜日担当係ですので」
 「お前らなぁ」
 「それで」
 「蓮花はお前らとは違うよ。うーん、フリースペースに入れといてくれ」
 「曜日のフリースペース、ええと。じゃあ「虎曜日」ということで!」
 「なんだ?」

 「虎の自由で設定できる曜日ですね。ああ、こうすれば幾らでも石神先生の女は!」
 「おいおい」
 「石神先生! 頭いいですね!」
 「お前もな!」
 よく分からんが、解決したらしい。




 「あー! 美味いもの喰ったし、午後の仕事も頑張るか!」
 「はい!」
 「響子の可愛い寝顔を見てからな!」
 「はい! ちょっと起こしちゃいましょうか」
 「カワイソウなことするな!」
 二人で笑った。

 「でも寝てる時になぁ、耳元で「コショコショ」って言うと笑うんだぞ、あいつ」
 「それは知りませんでした! 石神先生、頭いいですね!」
 「お前もな!」

 俺は実際に響子の耳元でやってみせた。

 「コショコショ」

 「エヘヘヘヘ」




 二人で口を押えて笑った。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

こずえと梢

気奇一星
キャラ文芸
時は1900年代後期。まだ、全国をレディースたちが駆けていた頃。 いつもと同じ時間に起き、同じ時間に学校に行き、同じ時間に帰宅して、同じ時間に寝る。そんな日々を退屈に感じていた、高校生のこずえ。 『大阪 龍斬院』に所属して、喧嘩に明け暮れている、レディースで17歳の梢。 ある日、オートバイに乗っていた梢がこずえに衝突して、事故を起こしてしまう。 幸いにも軽傷で済んだ二人は、病院で目を覚ます。だが、妙なことに、お互いの中身が入れ替わっていた。 ※レディース・・・女性の暴走族 ※この物語はフィクションです。

~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、無実の罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました

深水えいな
キャラ文芸
無実の罪で巫女の座を奪われ処刑された明琳。死の淵で、このままだと国が乱れると謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女としてのやり直しはまたしてもうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは怪事件の数々で――。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...