416 / 2,859
Headlock with headlock
しおりを挟む
響子の病室から帰ると、亜紀ちゃんに出迎えられた。
「さー、待ってましたよー!」
俺は思わず笑った。
俺は着替えを持って脱衣所に入った。
亜紀ちゃんの背中を洗いながら、俺が言う。
「亜紀ちゃん、ちょっとオッパイが大きくなったか?」
「ほんとですか!」
「いや、気のせいだった」
亜紀ちゃんが振り向いて俺の腹に拳を入れる。
「もう!」
俺は笑って、響子が段々騙されなくなったと話した。
それが成長なのだが、ちょっと寂しいと。
「亜紀ちゃんはまだ大丈夫そうだな!」
「アハハハ!」
二人で湯船に浸かる。
「そういえば夕方に女子プロの方々から宅急便が届きましたよ」
「へぇ」
「私宛だったんで開けさせていただきました」
「なんだった?」
「それが皆さんのサイン色紙で」
「わーい」
亜紀ちゃんが笑った。
「それと契約書が」
「なんだよ、そりゃ」
「初任給が30万円ですって」
「安いなぁ」
まあ、弱小団体の精一杯なのだろう。
「手紙もあって、いつでも挑戦に来い、ですって」
笑った。
「サイン色紙、どうしましょう」
「ああ、庭の物置でいいんじゃねぇか?」
「それってゴミ置き場じゃないですか!」
「アハハハ」
双子に任せよう、ということになった。
亜紀ちゃんは相変わらず隠さない。
胸ばかりか、時々身体を冷ますために湯船に腰かけると、黒いものも見えてしまう。
まあ、俺もまったく隠さないが。
「その後斎藤誠二はどうよ?」
亜紀ちゃんが笑った。
「急に来ましたね! まあ、普通というか、何もありませんよ」
「なんだ、つまらん」
「だって、タカさんにああ言われたんですから、仕方ありませんよ」
「俺に言われて引っ込むなんてなぁ」
「普通はそうなりますって」
「双子なんて、全然引っ込まないじゃねぇか」
亜紀ちゃんが笑う。
「こないだガレージ開けて、アヴェンタドールを見てましたよ」
「なんだと!」
俺が思わず立ち上がり、こっちを見ていた亜紀ちゃんの顔の前に「俺」がぶら下がっていた。
「す、座ってください」
俺は湯船に入る。
「何もしてないだろうなぁ!」
「私が悪戯しちゃダメだと言いましたけど、まあ見ていただけみたいですね」
「なんだろう?」
「乗せて欲しいんじゃないですか?」
「あー」
確かにそうなんだろう。
二人乗りの車でドライブに行くので、必然的に双子の機会がない。
少し考えてみるか。
「片方ずつ乗せてみるか」
「それがいいですかねぇ」
「でもなぁ」
「なんですか?」
「あいつらって、二人揃っての可愛さがあるじゃない」
「あーたしかに」
「考えてみれば、あいつらが別々の時間ってねぇよなぁ」
「学校でもずっと一緒のクラスですしね」
「支配してるからなぁ」
「はぁー」
「逆にいい機会か?」
「そういう見方もありかも」
俺は寛いで足を伸ばす。
「そろそろプルプルタイムですか?」
「ばかやろー」
「タカさん」
「あんだよ」
「六花さんがいなくて寂しいですか?」
「なんでだよ」
「私がここにいますよ」
「見えてるよ」
「乗って来ませんね」
亜紀ちゃんが俺の片に頭を預けた。
「みんながいなくなっても、ちゃんと私がいます」
「そうかよ」
俺は笑いながら亜紀ちゃんの頭に手を回した。
亜紀ちゃんがうっとりとし、更に重みをかけてきた。
「ヘッドロック!」
「イタイイタイ!」
俺は笑って、油断するなと言った。
「だって今お風呂で寛いでるんじゃないですかぁ!」
俺は亜紀ちゃんのオッパイを触る。
亜紀ちゃんは不意打ちに驚いた。
「亜紀ちゃんを痛がらせるのも、オッパイに触れるのも、もう俺くらいになったな」
俺を見ている。
「これからも、ずっと宜しく!」
差し出した俺の手を亜紀ちゃんが握った。
「宜しくお願いします」
俺は脱衣所で亜紀ちゃんの髪を乾かしてやった。
「初めてですね」
「そうか」
「嬉しい」
「響子のついでだ」
亜紀ちゃんが怒った顔をした。
風呂から上がり、亜紀ちゃんが「七面鳥会」をしましょうと言った。
俺は笑って、ワイルドターキーを用意した。
亜紀ちゃんがまた双子のたこ焼きを出す。
「山中ともよく酒を飲んだけどな」
「はい」
「まさか娘と裸を見せ合った後でこうやって飲むとはなぁ」
「アハハ」
「そういえば、あいつはよく酔っぱらってたなぁ」
「嬉しかったそうですよ」
「え?」
「タカさんと飲むのがいつも嬉しくて、つい飲み過ぎるんだって母が言ってました」
「そうなのか?」
ウフフ、と亜紀ちゃんが笑った。
「よく送ってくれてたじゃないですか」
「ああ、放ってはおけねぇ酔っ払いだったからなぁ」
「一度、私が寝床へ連れて言ったら、「ありがとう、石神ぃ」って言ってました。カワイかったなぁ」
「そうかよ」
「父が酔っぱらって帰るのは、必ずタカさんと飲んだ時だけでした」
「そうか」
「分かりますよ。私だって今、嬉しいですもん」
「酔うほど飲むなよ!」
亜紀ちゃんが笑った。
「タカさん、大好きです」
「さて、お肉でも焼くか」
「もう!」
「山中ってさ、いつも奥さんとお前たちの話しかしなかったよ」
「そうなんですか」
「もう、毎回それだけ。あいつの話題ってそれしかねぇのな」
「……」
「それでさ、俺が遊びに行くのは止めるくせに、あいつを送る時だけは嫌がらないのな」
俺はグラスを煽った。
「本心では見せたかったのかもな」
「私たちをですか?」
「ああ。お前たちだけがあいつの自慢だったからな」
「そうですね」
「まあ、お前らがうちに来てくれたから分かるけどな」
「ありがとうございます」
「とんでもねぇこともしてくれるけどなぁ!」
「アハハハハ!」
「亜紀ちゃんや双子が嫁に行くなんて、きっと泣くだろうなぁ」
「アハハハ」
「タカさん、お世話になりました、なんて、もうダメだよ!」
亜紀ちゃんが笑いながら俺の頭を抱いた。
「ヘッドロック!」
亜紀ちゃんは「油断するな」と言った。
俺たちは笑った。
「さー、待ってましたよー!」
俺は思わず笑った。
俺は着替えを持って脱衣所に入った。
亜紀ちゃんの背中を洗いながら、俺が言う。
「亜紀ちゃん、ちょっとオッパイが大きくなったか?」
「ほんとですか!」
「いや、気のせいだった」
亜紀ちゃんが振り向いて俺の腹に拳を入れる。
「もう!」
俺は笑って、響子が段々騙されなくなったと話した。
それが成長なのだが、ちょっと寂しいと。
「亜紀ちゃんはまだ大丈夫そうだな!」
「アハハハ!」
二人で湯船に浸かる。
「そういえば夕方に女子プロの方々から宅急便が届きましたよ」
「へぇ」
「私宛だったんで開けさせていただきました」
「なんだった?」
「それが皆さんのサイン色紙で」
「わーい」
亜紀ちゃんが笑った。
「それと契約書が」
「なんだよ、そりゃ」
「初任給が30万円ですって」
「安いなぁ」
まあ、弱小団体の精一杯なのだろう。
「手紙もあって、いつでも挑戦に来い、ですって」
笑った。
「サイン色紙、どうしましょう」
「ああ、庭の物置でいいんじゃねぇか?」
「それってゴミ置き場じゃないですか!」
「アハハハ」
双子に任せよう、ということになった。
亜紀ちゃんは相変わらず隠さない。
胸ばかりか、時々身体を冷ますために湯船に腰かけると、黒いものも見えてしまう。
まあ、俺もまったく隠さないが。
「その後斎藤誠二はどうよ?」
亜紀ちゃんが笑った。
「急に来ましたね! まあ、普通というか、何もありませんよ」
「なんだ、つまらん」
「だって、タカさんにああ言われたんですから、仕方ありませんよ」
「俺に言われて引っ込むなんてなぁ」
「普通はそうなりますって」
「双子なんて、全然引っ込まないじゃねぇか」
亜紀ちゃんが笑う。
「こないだガレージ開けて、アヴェンタドールを見てましたよ」
「なんだと!」
俺が思わず立ち上がり、こっちを見ていた亜紀ちゃんの顔の前に「俺」がぶら下がっていた。
「す、座ってください」
俺は湯船に入る。
「何もしてないだろうなぁ!」
「私が悪戯しちゃダメだと言いましたけど、まあ見ていただけみたいですね」
「なんだろう?」
「乗せて欲しいんじゃないですか?」
「あー」
確かにそうなんだろう。
二人乗りの車でドライブに行くので、必然的に双子の機会がない。
少し考えてみるか。
「片方ずつ乗せてみるか」
「それがいいですかねぇ」
「でもなぁ」
「なんですか?」
「あいつらって、二人揃っての可愛さがあるじゃない」
「あーたしかに」
「考えてみれば、あいつらが別々の時間ってねぇよなぁ」
「学校でもずっと一緒のクラスですしね」
「支配してるからなぁ」
「はぁー」
「逆にいい機会か?」
「そういう見方もありかも」
俺は寛いで足を伸ばす。
「そろそろプルプルタイムですか?」
「ばかやろー」
「タカさん」
「あんだよ」
「六花さんがいなくて寂しいですか?」
「なんでだよ」
「私がここにいますよ」
「見えてるよ」
「乗って来ませんね」
亜紀ちゃんが俺の片に頭を預けた。
「みんながいなくなっても、ちゃんと私がいます」
「そうかよ」
俺は笑いながら亜紀ちゃんの頭に手を回した。
亜紀ちゃんがうっとりとし、更に重みをかけてきた。
「ヘッドロック!」
「イタイイタイ!」
俺は笑って、油断するなと言った。
「だって今お風呂で寛いでるんじゃないですかぁ!」
俺は亜紀ちゃんのオッパイを触る。
亜紀ちゃんは不意打ちに驚いた。
「亜紀ちゃんを痛がらせるのも、オッパイに触れるのも、もう俺くらいになったな」
俺を見ている。
「これからも、ずっと宜しく!」
差し出した俺の手を亜紀ちゃんが握った。
「宜しくお願いします」
俺は脱衣所で亜紀ちゃんの髪を乾かしてやった。
「初めてですね」
「そうか」
「嬉しい」
「響子のついでだ」
亜紀ちゃんが怒った顔をした。
風呂から上がり、亜紀ちゃんが「七面鳥会」をしましょうと言った。
俺は笑って、ワイルドターキーを用意した。
亜紀ちゃんがまた双子のたこ焼きを出す。
「山中ともよく酒を飲んだけどな」
「はい」
「まさか娘と裸を見せ合った後でこうやって飲むとはなぁ」
「アハハ」
「そういえば、あいつはよく酔っぱらってたなぁ」
「嬉しかったそうですよ」
「え?」
「タカさんと飲むのがいつも嬉しくて、つい飲み過ぎるんだって母が言ってました」
「そうなのか?」
ウフフ、と亜紀ちゃんが笑った。
「よく送ってくれてたじゃないですか」
「ああ、放ってはおけねぇ酔っ払いだったからなぁ」
「一度、私が寝床へ連れて言ったら、「ありがとう、石神ぃ」って言ってました。カワイかったなぁ」
「そうかよ」
「父が酔っぱらって帰るのは、必ずタカさんと飲んだ時だけでした」
「そうか」
「分かりますよ。私だって今、嬉しいですもん」
「酔うほど飲むなよ!」
亜紀ちゃんが笑った。
「タカさん、大好きです」
「さて、お肉でも焼くか」
「もう!」
「山中ってさ、いつも奥さんとお前たちの話しかしなかったよ」
「そうなんですか」
「もう、毎回それだけ。あいつの話題ってそれしかねぇのな」
「……」
「それでさ、俺が遊びに行くのは止めるくせに、あいつを送る時だけは嫌がらないのな」
俺はグラスを煽った。
「本心では見せたかったのかもな」
「私たちをですか?」
「ああ。お前たちだけがあいつの自慢だったからな」
「そうですね」
「まあ、お前らがうちに来てくれたから分かるけどな」
「ありがとうございます」
「とんでもねぇこともしてくれるけどなぁ!」
「アハハハハ!」
「亜紀ちゃんや双子が嫁に行くなんて、きっと泣くだろうなぁ」
「アハハハ」
「タカさん、お世話になりました、なんて、もうダメだよ!」
亜紀ちゃんが笑いながら俺の頭を抱いた。
「ヘッドロック!」
亜紀ちゃんは「油断するな」と言った。
俺たちは笑った。
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる