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特別鑑賞会『パラノーマル・アクティビティ:東京ナイト』

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 翌日の日曜日。
 俺は栞に電話をした。
 双子の凄まじい生き様を話し、どう思うかと相談した。

 「待ってて、すぐ行くから!」

 電話を切られ、俺は朝からリヴィングで勉強している三人を見ていた。

 1時間ほどで、栞が来た。


 俺たちは、地下の音響ルームに移動する。
 完全防音だからだ。


 「ちょっと、とんでもないことになってるよね?」
 「そう思いますか」

 「石神くんの知らないところで、どんどん大きくなっちゃって」
 「そうなんですよねぇ」

 困ったことに、今更訂正が効かないという事態だ。
 

 「ねぇ、考えたんだけど」
 「なんですか?」

 「結局怖いものを知らないから、好き放題やってるってことでしょ?」
 「まあ、そうですかね」

 「しかも石神くんの英才教育のせいで」
 「実際、そうなっちゃってますよね」



 「ほら、前にブルーレイを貸してくれたじゃない」
 「どれでしょうか」


 「『アブノーマル・アクティビティ』」
 「???」
 ちょっと分からなかった。
 
 「ああ、『パラノーマル・アクティビティ:東京ナイト』!」
 「そうそう」




 栞は夕方にまた来ると言い、帰っていった。
 俺は昼食の席で、今日は特別映画鑑賞を行なうと宣言する。
 亜紀ちゃんも帰っていて、みんな大喜びだ。
 栞が来ることも告げ、亜紀ちゃんは特に喜んだ。



 ルー、ハー、笑っていられるのも今のうちだぜ!



 夕飯はカレーにする。
 鍋とカレーは子どもたちが鬼のように食べる。
 去年のうちに、10合炊きの炊飯器を買い足し、うちでは20合まで米が炊ける。
 今日は16合炊いた。直にマックスになるのかもしれない。
 カレーは寸胴で二つ。

 栞も一緒に食べたが、相変わらずの子どもたちの食欲にびっくりする。
 双子も同じ辛さのカレーが食べられるようになった。
 まあ、ちょっと甘めの中辛にしているが。



 食事も終わり、勉強は昼間に済ませてある。
 みんな風呂に入り、地下に集合した。




 「今日は特別鑑賞会ということで、ちょっと今までとは違うものを用意した。怖い映画だ」

 子どもたちは一斉に喜んだ。
 
 「『パラノーマル・アクティビティ』という作品で、何作か作られている。その中で、日本人の姉弟が主人公になっているものを、今日は選んだ。『東京ナイト』という作品だな」

 「どういうお話なんですか?」
 亜紀ちゃんが聞いてくるが。

 「まあ、今日は何の準備もなく見てくれ。最初に言っておくことは一つだけ」
 「「「「!」」」」

 「これは実話だ」





 俺はブルーレイをスタートさせる。
 
 姉が弟に相談している。
 寝ている間に、ちょっとおかしなことが起きる、と。
 弟は、姉の部屋にビデオカメラを設置した。



 何も起きない。


 「なんだ、何もないじゃん」(ル)


 ちょっと、ドアが動く。



 「あ、ドアがちょっと動いたよ!」(ハ)



 塩山が潰れる。


 「ちょっと怖いかも」(ル)
 「あたし、ダメかも」(ハ)
 「タカさん、私もう帰っていいですか?」(ア)
 ここがお前の家だぞ。
 「……」(コ)






 そしてラストシーン。


 「「「「「ギャッーーーーーー」」」」」




 みんなが俺に飛びついてしがみつく。
 栞も一緒だ。
 何やってんだよ、お前は。



 灯を点けたいが、動けねぇ。
 俺たちは、しばらく暗い中にいた。

 「あ、ドアが開いたぞ」
 「「「「「ぎゃぁーーーーー」」」」」




 やっと子どもたちが離れた。
 栞はまだくっついている。

 俺は栞を抱き上げて、灯を点けた。



 「いいか、この話は実話なわけだけど(嘘)、世の中には人間がどうにもならない現象がある、ということだ」

 俺が立って話しているので、みんな固まって抱き合っている。
 栞は首にしがみついたままだ。


 「要は、人間はできるだけ、他人の恨みなどを買わないことよな。どうしようもないことも多いけど、できればそうしろ。あとは、あんまりやり過ぎないことよなぁ」

 「「「「はい!」」」」

 これで双子も少しは他人を思い遣るかもしれない。

 「じゃあ、今日はこれで解散! 寝ろ!」

 「タカさーん、一緒に寝てくださいー」
 
 ルーとハーがしがみついてくる。
 
 「タカさん、私もどうか!」
 亜紀ちゃんが言う。

 「僕もお願いします」
 皇紀が一番怖がっていた。
 お前に罪はねぇんだが、悪かったな。

 「分かったよ、じゃあみんなで寝るか!」



 




 俺のベッドはキングサイズだから、子ども四人が一緒でも大丈夫だ。


 でも、栞、なんでお前が俺の横にいるんだ?




 栞はガタガタと震えていた。

 なんでだよ?
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