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《愛する婚約者を守るために頑張る公爵令嬢は、未来に絶望しない》
世界に絶望しないで(2)
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私の頬には涙が伝い、まさに夢の通りだった。
「ルイズ様、しっかりと説明して下さい。お願いです、どうか……」
「これ以上、予知夢の通りには絶対になりたくない……!」
ポロポロと涙を流し、震えた声で話す私を、ルイズ様はただただいつもの優しい顔で見つめていた。
「リーシア……いや、リーシア・ヴァルトール。ヴァルトール家の予知夢には秘密があるんだ」
「秘密……?」
「元々、ヴァルトール家の予知夢は確実ではなかった。そして、【今も】。起きる可能性が高い未来の夢を見るんだ」
「ヴァルトール家の初代は初めこそ、予知夢を防ぐために全力を尽くした。しかし、【予知夢は起きなければ、予知夢ではないんだよ】」
「どういうことですか……?」
「誰も、【王家すらも】、予知夢を防いでしまえば、その未来が本当に起こる可能性があったのかすら分からない。それでは、【ヴァルトール家は褒賞を貰えない】。【ヴァルトール家は地位を確立出来ない】」
「だから、ヴァルトール家の先代は、予知夢を【わざと】起こすことにしたんだ。【防ぐ】のではなく、【備える】ことしか出来ないことにして。そうして、【起こりやすい未来】を【絶対に起こる未来】に変えた」
「元は起こる確率の高い未来だ。わざと起こすことも簡単だっただろう。防ぐよりずっとね。そして、自身がわざと起こすことの出来ない未来は、始めから王家に申告しないことにしたんだ」
「そして、そのやり方を次の世代にも踏襲させていった」
「そんな……!」
「そして、王家はそれに気づいた。なぜなら、このやり方では【一度でも申告した予知夢を起こせなければ、嘘だとバレる】。君の両親はミスをした。王家はヴァルトール公爵家の人間【全て】を処罰するつもりだ。もちろん、リーシアも」
「だから、俺は証拠の書類をまとめ上げた。この証拠書類と引き換えに、何も知らなかった【リーシアの減罰を求める】」
「しかし……!」
「君も殺されるかもしれないんだぞ!俺は、それだけは絶対に……!」
「リーシアは俺を殺した後の夢も見た。つまり、先ほど俺を殺していた可能性だって高かった。しかし、君は俺を殺さなかった」
「この証拠書類を出せば、君の両親の処刑は確実になる。しかし、出さなくても処刑されるだろう」
「リーシア、分かってくれ」
ルイズ様の目に涙が浮かぶ。
私のナイフを持つ手は震えていた。
「リーシア、つまり君の予知夢は【防ぐことも出来るはずなんだ】」
「だから、リーシア。どうか未来に絶望しないで。未来を諦めないで」
その言葉で私は握っていたナイフを床に落とした。
カンッという金属の音が部屋に響き渡る。
ルイズ様が私の頬に伝う涙を手でそっと拭う。
「俺のことを恨んでくれればいい。それでも、ずっと愛しているよ、リーシア」
ルイズ様が優しく微笑む。
「ねぇ、リーシア。これが最後になるかもしれないから、口付けさせて」
涙が溢れ、私は返答出来ない。
ルイズ様は私の頬に手を当て、そっと私に口付けた。
「本当に愛しているよ、リーシア」
ルイズ様は最後にそう仰った後、立ち上がり、調査書類を持って執務室を出て行った。
私の頬にはただただ涙が伝った。
私はしばらく涙を流し続けた。
どれくらい経っただろう。
涙も枯れ果ててきた頃、私はついに叫んだ。
「うわぁああああああああああ!!」
世界は残酷すぎた。
窓の外の快晴が、憎たらしいほどに。
「ルイズ様、しっかりと説明して下さい。お願いです、どうか……」
「これ以上、予知夢の通りには絶対になりたくない……!」
ポロポロと涙を流し、震えた声で話す私を、ルイズ様はただただいつもの優しい顔で見つめていた。
「リーシア……いや、リーシア・ヴァルトール。ヴァルトール家の予知夢には秘密があるんだ」
「秘密……?」
「元々、ヴァルトール家の予知夢は確実ではなかった。そして、【今も】。起きる可能性が高い未来の夢を見るんだ」
「ヴァルトール家の初代は初めこそ、予知夢を防ぐために全力を尽くした。しかし、【予知夢は起きなければ、予知夢ではないんだよ】」
「どういうことですか……?」
「誰も、【王家すらも】、予知夢を防いでしまえば、その未来が本当に起こる可能性があったのかすら分からない。それでは、【ヴァルトール家は褒賞を貰えない】。【ヴァルトール家は地位を確立出来ない】」
「だから、ヴァルトール家の先代は、予知夢を【わざと】起こすことにしたんだ。【防ぐ】のではなく、【備える】ことしか出来ないことにして。そうして、【起こりやすい未来】を【絶対に起こる未来】に変えた」
「元は起こる確率の高い未来だ。わざと起こすことも簡単だっただろう。防ぐよりずっとね。そして、自身がわざと起こすことの出来ない未来は、始めから王家に申告しないことにしたんだ」
「そして、そのやり方を次の世代にも踏襲させていった」
「そんな……!」
「そして、王家はそれに気づいた。なぜなら、このやり方では【一度でも申告した予知夢を起こせなければ、嘘だとバレる】。君の両親はミスをした。王家はヴァルトール公爵家の人間【全て】を処罰するつもりだ。もちろん、リーシアも」
「だから、俺は証拠の書類をまとめ上げた。この証拠書類と引き換えに、何も知らなかった【リーシアの減罰を求める】」
「しかし……!」
「君も殺されるかもしれないんだぞ!俺は、それだけは絶対に……!」
「リーシアは俺を殺した後の夢も見た。つまり、先ほど俺を殺していた可能性だって高かった。しかし、君は俺を殺さなかった」
「この証拠書類を出せば、君の両親の処刑は確実になる。しかし、出さなくても処刑されるだろう」
「リーシア、分かってくれ」
ルイズ様の目に涙が浮かぶ。
私のナイフを持つ手は震えていた。
「リーシア、つまり君の予知夢は【防ぐことも出来るはずなんだ】」
「だから、リーシア。どうか未来に絶望しないで。未来を諦めないで」
その言葉で私は握っていたナイフを床に落とした。
カンッという金属の音が部屋に響き渡る。
ルイズ様が私の頬に伝う涙を手でそっと拭う。
「俺のことを恨んでくれればいい。それでも、ずっと愛しているよ、リーシア」
ルイズ様が優しく微笑む。
「ねぇ、リーシア。これが最後になるかもしれないから、口付けさせて」
涙が溢れ、私は返答出来ない。
ルイズ様は私の頬に手を当て、そっと私に口付けた。
「本当に愛しているよ、リーシア」
ルイズ様は最後にそう仰った後、立ち上がり、調査書類を持って執務室を出て行った。
私の頬にはただただ涙が伝った。
私はしばらく涙を流し続けた。
どれくらい経っただろう。
涙も枯れ果ててきた頃、私はついに叫んだ。
「うわぁああああああああああ!!」
世界は残酷すぎた。
窓の外の快晴が、憎たらしいほどに。
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