こわれて

九丸(ひさまる)

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第十一章

捌く2

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 結局男はホームセンターで、ノコギリ、鉈、厚手の包丁、大きな桶、ビニールシート、寸胴等を買い帰路についた。
「まあ、こんなもんかな。俺頑張るよ」
 道々男は女の眼に話しかけながら歩いていた。
 部屋に帰り、男は先ず台所のテーブルをずらしてスペースを作り、ビニールシートを広げた。浴室も考えたがあまりに狭く、そこは血抜きに使うことにした。メインとなるのはこの台所と決めた。
 男は女の前に行き、毛布をめくり、そして女を見る。部屋を出た時と何も変わらない。冷たく固くなった女がそこにはあった。
「始めるね」
 女に言うと服を脱いで裸になる。
 女を抱えて浴室に向かい、浴槽に寝かせる。当然入りきらないので、固くなった体を何とか折り曲げ、膝を抱えて座ってるようにする。中々上手くいかずに、男は四苦八苦してようやく浴槽に納める。
 これから血抜きだが、何処を切って血を抜いたらいいか考える。
 テレビや映画のシーンを思いだし、取り敢えず手首に包丁で切り込みを入れてみる。 
 さっき買ってきた厚手の包丁の刃を女の細い手首に当てて、一気に引いた。刃は勢い良く肌に切り込み、女の手首の骨に達する。ゴリ。骨と刃の擦れる音の後に、切り口からゆっくりと血が滲み、それが段々広がっていく。
 流石にテレビや映画のようには飛び散らないんだなと、男は思った。女の身体がまだ生きていたら違ったかなと考える。
 これだけでは時間がかかると思った男は、次にこれも良くある首の横に刃を当てて、手首と同じように一気に引いた。刃は音もなく皮膚を裂いた。かなり深く切りつけたが、なんの抵抗もなく刃は滑る。骨には達しなかったが、主要な血管は十分に切れているはずである。これも飛び散ることはなく、手首同様最初は滲み出るように、そしてすぐ後に溢れ出てきた。首は手首よりも多量に出血した。
 あらかじめ詮をしておいた浴槽に、女の血がゆっくりと溜まっていく。
 男はさらに、腹と太股の内側に切り込みを入れる。
「血ってこんなに赤黒いんだね」
 男は先ほどから作業を眺めている女の眼に話しかけた。
 一旦台所に戻り、携帯の電源を入れる。二人の時間を邪魔されたくなかったので、電源を切っていた。電源を入れたのは、これから始める解体について調べるためだった。
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