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三日目の朝
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翌朝目が覚めると、先輩の部屋で目を覚ました。
前日のあの後の出来事の記憶の詳細はなぜかほとんどなかった。
おそらく一日の中の出来事が濃密すぎたせいで、一つ一つのエピソードの詳細が飛んでしまったのだと思う。
・あの後、交代交代に湯船に浸かった
・先輩が作った夕食を二人で食べた
・それからソファーを使って雫に言葉で辱めた
・雫が見たことがないというので、アダルトビデオを見ながら途中でその映像と同じように口で奉仕させ。
そして、僕はそのままソファーに倒れ込んで寝てしまったようだ。
左手の指輪を確認すると五〇/二〇〇となっていた。
今日を含めて後五日ある。
このままいけば大丈夫そうか。
僕がそんなことを考えていると、
「あら、起きたのかしら。川上くん」
「はい。おはようございます」
キッチンの方から先輩がエプロン姿で現れた。
どうやら朝食の準備に取りかかっているようだ。
「すみません、あのまま眠ってしまったみたいで。結局泊まることになってしまって」
「ううん。気にしないで。私の都合に付き合ってもらっているんだし」
朝のニュースを見ながら、先輩が手作りのイチゴジャムの載ったフレンチトーストを一緒に食べる。
こうしているとまるで恋人みたいだ。
そんなことを考えていると、
「恋人っていうのがいるとしたらこんな感じなのかしら」
「どうでしょうね」
「川上くんは女の子と付き合ったことってある?」
「いえ」
「じゃあ、今は好きな人とかいないかしら?」
まさか昨日や一昨日あんなことをしておいて、先輩です、と答えるわけにもいかない。
あくまでも契約の関係だから、あんなことができるんだし、こうして一緒に食事もできるのだ。
それがなかったら僕たちの関係は。
そうわかっているから僕は先輩に質問を跳ね返す。
「先輩はどうなんですか?」
「私も……その誰かと付き合ったことはないわよ」
先輩は僕が聞きたかった方と違う質問に答える。
「自慢じゃないけどね。友達だってほとんどいないの。冷たいって思われてるのはわかっているけれど、自分じゃうまくなおせなくて。人と距離を近づけるのが苦手でね」
先輩は僕の手を取って握りしめてくる。
「ほんとはこういうことだってしたいって思うし」
もう片方の手でフレンチトーストの切れ端を僕の口に持ってくる。
僕はそれに口を持っていく。
「こういうのだってしたいと思ってのよ。……見えないでしょ」
先輩が自嘲的に笑ったかと思うと、
「暗い話じゃないからね。川上くんには迷惑だろうけれど、こうして仲良くできて嬉しいって話よ」
そう言って微笑んだ先輩の表情は、柔らかくて温かくて、氷の花なんて呼ばれる人のそれではなかった。
「ねえ、川上くん……」
先輩はそう言って僕の顔をその手で柔らかく包んだ。
そうして先輩は顔を近づけてくる。
その意味がわからないわけはなくて、僕も先輩に倣う。
それはあえて昨日も、一昨日も避けていたことだった。
好きな者同士でする行為だと思っていたからだ。
先輩が瞳を閉じて、僕の顔をその手で近づける。
その唇が僕の唇に重なる。
ジャムの甘い匂いと、心地よい感触が喜びを伝える。
唇の触れ合う快楽は、これまで経験したどの快楽とも違っていて、幸福な気持ちになる。
離れると触れあった感触が唇に残り熱くなる。
「今のはお礼ってことにさせて」
はっきりとそう言葉にして、恥ずかしくなったのか、安城院先輩は朝から鮮やかに絶頂した。
前日のあの後の出来事の記憶の詳細はなぜかほとんどなかった。
おそらく一日の中の出来事が濃密すぎたせいで、一つ一つのエピソードの詳細が飛んでしまったのだと思う。
・あの後、交代交代に湯船に浸かった
・先輩が作った夕食を二人で食べた
・それからソファーを使って雫に言葉で辱めた
・雫が見たことがないというので、アダルトビデオを見ながら途中でその映像と同じように口で奉仕させ。
そして、僕はそのままソファーに倒れ込んで寝てしまったようだ。
左手の指輪を確認すると五〇/二〇〇となっていた。
今日を含めて後五日ある。
このままいけば大丈夫そうか。
僕がそんなことを考えていると、
「あら、起きたのかしら。川上くん」
「はい。おはようございます」
キッチンの方から先輩がエプロン姿で現れた。
どうやら朝食の準備に取りかかっているようだ。
「すみません、あのまま眠ってしまったみたいで。結局泊まることになってしまって」
「ううん。気にしないで。私の都合に付き合ってもらっているんだし」
朝のニュースを見ながら、先輩が手作りのイチゴジャムの載ったフレンチトーストを一緒に食べる。
こうしているとまるで恋人みたいだ。
そんなことを考えていると、
「恋人っていうのがいるとしたらこんな感じなのかしら」
「どうでしょうね」
「川上くんは女の子と付き合ったことってある?」
「いえ」
「じゃあ、今は好きな人とかいないかしら?」
まさか昨日や一昨日あんなことをしておいて、先輩です、と答えるわけにもいかない。
あくまでも契約の関係だから、あんなことができるんだし、こうして一緒に食事もできるのだ。
それがなかったら僕たちの関係は。
そうわかっているから僕は先輩に質問を跳ね返す。
「先輩はどうなんですか?」
「私も……その誰かと付き合ったことはないわよ」
先輩は僕が聞きたかった方と違う質問に答える。
「自慢じゃないけどね。友達だってほとんどいないの。冷たいって思われてるのはわかっているけれど、自分じゃうまくなおせなくて。人と距離を近づけるのが苦手でね」
先輩は僕の手を取って握りしめてくる。
「ほんとはこういうことだってしたいって思うし」
もう片方の手でフレンチトーストの切れ端を僕の口に持ってくる。
僕はそれに口を持っていく。
「こういうのだってしたいと思ってのよ。……見えないでしょ」
先輩が自嘲的に笑ったかと思うと、
「暗い話じゃないからね。川上くんには迷惑だろうけれど、こうして仲良くできて嬉しいって話よ」
そう言って微笑んだ先輩の表情は、柔らかくて温かくて、氷の花なんて呼ばれる人のそれではなかった。
「ねえ、川上くん……」
先輩はそう言って僕の顔をその手で柔らかく包んだ。
そうして先輩は顔を近づけてくる。
その意味がわからないわけはなくて、僕も先輩に倣う。
それはあえて昨日も、一昨日も避けていたことだった。
好きな者同士でする行為だと思っていたからだ。
先輩が瞳を閉じて、僕の顔をその手で近づける。
その唇が僕の唇に重なる。
ジャムの甘い匂いと、心地よい感触が喜びを伝える。
唇の触れ合う快楽は、これまで経験したどの快楽とも違っていて、幸福な気持ちになる。
離れると触れあった感触が唇に残り熱くなる。
「今のはお礼ってことにさせて」
はっきりとそう言葉にして、恥ずかしくなったのか、安城院先輩は朝から鮮やかに絶頂した。
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