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切り株座りのフレア様
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『では、参りましょう』
フレア様の隣に並んで森に入っていく。
「……」
草を踏んで進む音しか聞こえない。
たまに生き物のさえずる声が聞こえる。
「この辺で、採取をします」
「はい」
「守って欲しいです」
「分かりました」
しゃがんで木の近くで何かをするフレア様。
俺はいつものように右手で剣を持つ。
いつもと違う動きをすることが怖いと感じた。
「もう少しですので」
ただ待つだけなのに、手汗で剣が錆びてしまう気がして。
「はい」
不意にカサカサと草が揺れ――
『キシャア!』
飛び出してきた獣の悪魔を俺から過ぎ去る前に剣で貫く。
『ギッ!?』
それでも死なない悪魔には首根っこを掴んで脳天から剣で仕留める。
ピクピク震えて動かなくなった悪魔は剣に刺さったまま黒い粒子となって空気に溶けていった。
「……さすが、父上が選んだ方です」
「小さな悪魔でした、大悪魔が来る前に採取を」
「集中します!」
時々現れる悪魔からフレア様を守り通し、満足して貰えるまでの採取を待った。
「もう戻ります!」
「分かりました」
周囲を見ながら確かな足取りで拠点に戻った。
『帰ってきましたか』
大剣使いが迎えてくれる。
「はい、彼はとても頼もしいです」
「明日も頼ませましょうか」
「お願いします」
な、なんだと!
「お願いしますね、騎士さん」
フレア様がニカリと笑えば。
「……はい」
俺の反論は笑顔に吸われていた。
「フレア様、食事の方は如何しましょう、肉のみですが……」
「新鮮なお野菜は馬車にあります、皆さんと一緒に」
「はっ」
大剣使いはその場を去ると騎士を集めていた。
「これより食事の時間を迎える、準備だ!」
「おー!」
俺はフレア様と馬車にあるという野菜を持ってきた。
赤緑白。カラフルな野菜達。
これを騎士達と仲良く分けるというのだから、フレア様は優しい。
「精一杯の準備をさせました」
切り株で作られた椅子はフレア様の為に作られた。
俺達は草の下で足を組んで食えたらそれでいい。
「これ、フレア様の野菜だ」
「なるほど、料理が得意な騎士に頼んでおこう」
大剣使いのおかげで楽ができた。
それから焼いた肉と野菜を切り分け、俺達は村に残っていた木の皿を軽く拭いて使うことにした。
フレア様にはこのような事をして欲しくない。
『いえ、このままでも……』
野菜をカットした騎士の提案で野菜で皿を作ればいいということになり。
食べれる野菜の皮を綺麗に重ねて即席の皿を作ることに成功。
「あ、ありがとうございます……」
「いえいえ」
切り株に座るフレア様を守るように胡座を組んで飯を頂く。
「いただきます」
静かに手を合わせて右手で頂く。
フォークやナイフなんて贅沢な物はフレア様にも出せなかった。
「申し訳ありません、フレア様」
誰かの言葉に『良いのです』と深く許した。
フレア様の隣に並んで森に入っていく。
「……」
草を踏んで進む音しか聞こえない。
たまに生き物のさえずる声が聞こえる。
「この辺で、採取をします」
「はい」
「守って欲しいです」
「分かりました」
しゃがんで木の近くで何かをするフレア様。
俺はいつものように右手で剣を持つ。
いつもと違う動きをすることが怖いと感じた。
「もう少しですので」
ただ待つだけなのに、手汗で剣が錆びてしまう気がして。
「はい」
不意にカサカサと草が揺れ――
『キシャア!』
飛び出してきた獣の悪魔を俺から過ぎ去る前に剣で貫く。
『ギッ!?』
それでも死なない悪魔には首根っこを掴んで脳天から剣で仕留める。
ピクピク震えて動かなくなった悪魔は剣に刺さったまま黒い粒子となって空気に溶けていった。
「……さすが、父上が選んだ方です」
「小さな悪魔でした、大悪魔が来る前に採取を」
「集中します!」
時々現れる悪魔からフレア様を守り通し、満足して貰えるまでの採取を待った。
「もう戻ります!」
「分かりました」
周囲を見ながら確かな足取りで拠点に戻った。
『帰ってきましたか』
大剣使いが迎えてくれる。
「はい、彼はとても頼もしいです」
「明日も頼ませましょうか」
「お願いします」
な、なんだと!
「お願いしますね、騎士さん」
フレア様がニカリと笑えば。
「……はい」
俺の反論は笑顔に吸われていた。
「フレア様、食事の方は如何しましょう、肉のみですが……」
「新鮮なお野菜は馬車にあります、皆さんと一緒に」
「はっ」
大剣使いはその場を去ると騎士を集めていた。
「これより食事の時間を迎える、準備だ!」
「おー!」
俺はフレア様と馬車にあるという野菜を持ってきた。
赤緑白。カラフルな野菜達。
これを騎士達と仲良く分けるというのだから、フレア様は優しい。
「精一杯の準備をさせました」
切り株で作られた椅子はフレア様の為に作られた。
俺達は草の下で足を組んで食えたらそれでいい。
「これ、フレア様の野菜だ」
「なるほど、料理が得意な騎士に頼んでおこう」
大剣使いのおかげで楽ができた。
それから焼いた肉と野菜を切り分け、俺達は村に残っていた木の皿を軽く拭いて使うことにした。
フレア様にはこのような事をして欲しくない。
『いえ、このままでも……』
野菜をカットした騎士の提案で野菜で皿を作ればいいということになり。
食べれる野菜の皮を綺麗に重ねて即席の皿を作ることに成功。
「あ、ありがとうございます……」
「いえいえ」
切り株に座るフレア様を守るように胡座を組んで飯を頂く。
「いただきます」
静かに手を合わせて右手で頂く。
フォークやナイフなんて贅沢な物はフレア様にも出せなかった。
「申し訳ありません、フレア様」
誰かの言葉に『良いのです』と深く許した。
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