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七人の騎士団

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 王の佇む一室で膝を寝かせて報告する。

「草原に潜んでいた悪魔は一匹残らず対処しました」

 ブラッドの報告に俺は心の中で頷く。

 黒と暗い色の小さき残党、俺達は確実に貫いた。

『よくやってくれた』

 王の言葉は続く。

『この活躍を見込み、次はある集落の守護を数日頼みたい』

「失礼ですが、理由を聞いても?」

「その地域の周辺にしか生えない植物があるという、娘が採取したいと言うのでな」

 王は「二人だけではなく、複数の精鋭もつける」と言った。

「分かりました」

「翌日、またここを訪ねよ」

「はい」

 静かな空間を後にした。


 カーペットが敷かれた通路を歩きながら次の仕事に身構える。

「面倒だ、はっきり言って」

「危ない目に合うとは限らないぞ」

「他にも何人か居るなら、サボってもいいかな」

「それはダメだろ」

「なんで?」

「俺だけダルくなるのはごめんだ」

「……善処する」

 その日はブラッドと酒を交わして一日を終えた。





 次の日、王の一室に二人で入ると静かに膝を着いて待つ男が五人居た。

『ようやく来たか』

 王の声に急いで最後尾でしゃがむ。

「本来なら娘の為に千人ほど投入したいところだが、娘は大人数を嫌っていてな、この数だけで対処してもらう」

 誰も反論はないみたいだった。

「一日は自由に過ごしてくれて構わない、二日目、三日目は剣を抜く準備をしてくれ」

「どの場所に向かえばいいのか、まだ聞かされていません」

「ヒリエドの小さな村跡だ」

「なっ……」

 誰かが声を漏らす。

『不満か?』

 驚くのは無理もない。


 ヒリエドは魔王のオーラに侵されている地域のすぐ近く。

 それが原因で村から人が消えた危険地帯に、俺達は七人で向かわされる。


「人数が、足りないと思われます」

 誰もが実力に自信があるわけじゃない。

 俺も、ブラッドも。

「我もそう思います」

 こいつも。


「とはいえ、娘のために快適な旅をさせてやりたい」

「しかし……」
 
「聖職者の儀式はさせる、最高の武具と共に娘を守ってくれぬか」

 王の頼みを断ることはできなかった。

 王に対する感謝はここに居る全員が感じている。

「御意」

「御意」

 この国も地位も役割も、元は王がくれた宝の一部。

 しっかり成し遂げたら問題ないこと。

「儀式の後、武器庫で装備を新調した上で向かうように」

 御意。


 それからしばらくして、聖職者の女性が入ってきた。

『騎士に加護を、騎士は結果を』

 左手に溜まった光がキラキラと俺達に注がれていく。

『ヴァエル・フリート』

 国の加護はキラキラと光りながら俺に近づく。

 握りしめると幻想的な強い輝きを残した。

「強くなった気がするぞ!」

「我らならやれる!」

「うおおお!」

 なんでもできる。俺もそんな気がしてきた。
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