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第一章
序節 異世界召喚はビキニと共に(中編)
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瘴気に満ちた盾浜で、少年は大きな運命の歯車が回る音を聞いた。
胸が高鳴るのがわかる。自分が夢見ることしかできなかった舞台に足を踏み入れる瞬間。様々な思いが頭のなかを激しくかき回していく…………と思っていた。
「このような荒んだ街にも良心を持つものがいて助かったよ」
そういうビキニの手には細剣が握られていた。そう、彼女は最初から殺意を一時も押さえてなどいなかったのだ。
「助けてやった相手に剣を向けるのが嬢ちゃんの矜持ってやつなのか?」
「助ける?あやつらを、だろ?」
空気が凍る。徐々に形を帯びていく殺気は霧のように、路地内をくまなく埋めていく。
「はぁ。なんでそんなに殺気立ってるんだよ?」
「諸事情があってな、私はこの世界で人を探しているのだ」
「人?」
「ああ、そうだ。至極単純な人探しだ」
「まて、せっかくめんこい服きてんだからよ、そう殺伐とした空気やめろよ!俺はほら、こんなに戦う意思なくしてンだから!話し合いをしようよだぜ!」
「ここはこの世界でも類いまれなる戦場都市と聞く」
「あああ!もう聞くきすらねーってかよ!」
はかない希望とともにラノベのようなゆるふわ展開は瓦解した。
「探してる人間とは誰でもない……」
「世界最強の人間だ!」
それが合図となった。
建を正面に構えると、周囲に漂う空気が炸裂する錯覚を覚える。
そう、それはまるでファンタジー特有の概念『魔力』の奔流。
見えざる力が少女を中心に溢れ帰る。
「一応聞くが、それがなんで俺への殺意に変換されるわけなん?」
そう語りかける少年の体は臨戦態勢に整えられる。もはや話す意味などないとわかっていても、彼はなお語ることを止めない。
「俺どう見たって世界最強の人間ちゃいますけど!?」
「茶番はよせ。私が気づかぬとでも思うたか?」
少女も応じる。まるで前口上を唱うがごとく。
「なんとも奇怪なことだ。手を握り走るだけで剣を抜くことがかなわなんだ。貴様、私の体勢をうまく操作していたな?」
「ハハハ、ナンノコトダロウナ?」
盾浜の人間は嘘が下手だった。
「そして相手を巻くだけで、こんな『人気のない』細路に来る必要があるか?」
「いや、この街は人いる場所即ち戦場だからな。ひとまず落ち着けるスペースに案内するのが紳士のたしなみであって決して変な気があったとかじゃないぞ?」
「ふ、こんなちんちくりんにはもったいない言葉だな。痛み入る」
「いやごめん、お前何歳だよ!?」
今の年期の入った返しは流石に冷や汗でるってもんだ。
だが、問答もこれで終わった。
「殺す気ではある。だが願わくば許してほしい。貴様には全身全霊で手合わせ願うのが、私にできる唯一の敬意なのだ」
たなびく銀髪は肩口で踊る。まるで美術品を想起させる整った容姿に似つかわしくない殺気も、不純な想いの入る余地の無い精錬された強さを持つ。
「……わかったよ。だがさっきも言ったが、俺はこの街で最強なんてもんじゃないぞ?」
「わかっている。だが、その人間性は本物だ。是非貴様が欲しい!」
(ようは腕試しか……)
正直8割くらい雰囲気で会話返してたから、やっと目的が理解できた。
『異世界に連れていくために強い人間を探してる』
これでほぼ間違いないな。なぜかまではわならないが、少女は強い人間を求めてこの街へやって来た。
こんな血生臭い展開は正直ごめんだが、彼女も生半可な覚悟ではないことはわかる。ならば、やることはひとつだけだ。
「はぁ……気乗りしないが、こっちも下手な容赦はしないぞ?」
半歩下がり拳を突き出し構える。彼我の差は約7メートル。剣の射程を考えても少し間が空いている。相手が武器持ちであっても怯みはしない。この街では刃物も飛道具も珍しくないからだ。
しかし、やはり彼はどこか油断をしていたのであろう。彼女は……かの少女は、異世界からきたのだ。
『湖畔の聖霊アクエラ・エリスよ、我が剣に静寂と静謐、水面の揺蕩う光鱗の加護を』
溢れた魔力は剣に収束する。胸前に持ち、刃を天に掲げ少女は祈りの言葉を紡ぐ。
瞬間、少女の周囲の空間が歪む。少女の姿が多重にぶれて映る。
「っ、魔法……!?」
彼女に起こる異常を感知した瞬間である。
スパッ……
重心を移動させる素振りを見るより先に彼女の剣が少年を袈裟がたに切り裂いていた。
「……っっっ!!!」
「なっ!?」
その一瞬が過ぎた瞬間、二人は同時に驚愕しを覚えた。
(ぐっ、なんだよ今の動きは!?初速から最高速度で移動してきやがった!)
少年は冷や汗が頬を伝うのを感じた。たなびく学ランをきれいに両断し、胸の薄皮が切られていた。ギリギリで避けられたと思っていたにも関わらずだ。
彼女が動いたと思った瞬間、そのときには既に数メートルを駆けていた。それも自身の残像を数秒残しながらである。
まるでコマ送りの映像を見るかのように進み、重力を無視し、空気抵抗すら度外視した速度の動きに対応が追い付かなかった。
(所見であるにも関わらず私の『水晶石の霊剣』をかわしただと!?)
異世界で魔力供給がままならないことを差し引いても完璧に決まっていた初撃決殺の一撃を避けたことに一瞬の逡巡が生まれた。
「くっ!」
即時相手の射程外まで滑るように離脱する。まるで氷上を滑るように、相手の意識外へと移動する動きは少年の予測を的確にはずしていく。
常識では考えられない移動方向へと瞬時に動く様は蝿や蜻蛉の動きを彷彿とさせる。
剣を構え直したビキニは苦い顔を隠せずにいた。
(私の初撃をここまで無傷で躱した者は今までで三人……その内加護や魔術を用いなかったものは一人もいない)
緊張が走る。今までに体験したことのない異質な悪寒に身震いがした。
(この街の人間とはこんな芸当が揚々とできる者がざらにいるのか……?)
いや、彼は例外だろう。結論は早くについた。
少年の纏う空気が変化したからだ。
先程までとは違う。エリスの加護とは別の、凍りつくような緊張が辺りに一瞬で立ち込める。
「……忠告しておく。俺に『二度目』は通用しねえ」
胸が高鳴るのがわかる。自分が夢見ることしかできなかった舞台に足を踏み入れる瞬間。様々な思いが頭のなかを激しくかき回していく…………と思っていた。
「このような荒んだ街にも良心を持つものがいて助かったよ」
そういうビキニの手には細剣が握られていた。そう、彼女は最初から殺意を一時も押さえてなどいなかったのだ。
「助けてやった相手に剣を向けるのが嬢ちゃんの矜持ってやつなのか?」
「助ける?あやつらを、だろ?」
空気が凍る。徐々に形を帯びていく殺気は霧のように、路地内をくまなく埋めていく。
「はぁ。なんでそんなに殺気立ってるんだよ?」
「諸事情があってな、私はこの世界で人を探しているのだ」
「人?」
「ああ、そうだ。至極単純な人探しだ」
「まて、せっかくめんこい服きてんだからよ、そう殺伐とした空気やめろよ!俺はほら、こんなに戦う意思なくしてンだから!話し合いをしようよだぜ!」
「ここはこの世界でも類いまれなる戦場都市と聞く」
「あああ!もう聞くきすらねーってかよ!」
はかない希望とともにラノベのようなゆるふわ展開は瓦解した。
「探してる人間とは誰でもない……」
「世界最強の人間だ!」
それが合図となった。
建を正面に構えると、周囲に漂う空気が炸裂する錯覚を覚える。
そう、それはまるでファンタジー特有の概念『魔力』の奔流。
見えざる力が少女を中心に溢れ帰る。
「一応聞くが、それがなんで俺への殺意に変換されるわけなん?」
そう語りかける少年の体は臨戦態勢に整えられる。もはや話す意味などないとわかっていても、彼はなお語ることを止めない。
「俺どう見たって世界最強の人間ちゃいますけど!?」
「茶番はよせ。私が気づかぬとでも思うたか?」
少女も応じる。まるで前口上を唱うがごとく。
「なんとも奇怪なことだ。手を握り走るだけで剣を抜くことがかなわなんだ。貴様、私の体勢をうまく操作していたな?」
「ハハハ、ナンノコトダロウナ?」
盾浜の人間は嘘が下手だった。
「そして相手を巻くだけで、こんな『人気のない』細路に来る必要があるか?」
「いや、この街は人いる場所即ち戦場だからな。ひとまず落ち着けるスペースに案内するのが紳士のたしなみであって決して変な気があったとかじゃないぞ?」
「ふ、こんなちんちくりんにはもったいない言葉だな。痛み入る」
「いやごめん、お前何歳だよ!?」
今の年期の入った返しは流石に冷や汗でるってもんだ。
だが、問答もこれで終わった。
「殺す気ではある。だが願わくば許してほしい。貴様には全身全霊で手合わせ願うのが、私にできる唯一の敬意なのだ」
たなびく銀髪は肩口で踊る。まるで美術品を想起させる整った容姿に似つかわしくない殺気も、不純な想いの入る余地の無い精錬された強さを持つ。
「……わかったよ。だがさっきも言ったが、俺はこの街で最強なんてもんじゃないぞ?」
「わかっている。だが、その人間性は本物だ。是非貴様が欲しい!」
(ようは腕試しか……)
正直8割くらい雰囲気で会話返してたから、やっと目的が理解できた。
『異世界に連れていくために強い人間を探してる』
これでほぼ間違いないな。なぜかまではわならないが、少女は強い人間を求めてこの街へやって来た。
こんな血生臭い展開は正直ごめんだが、彼女も生半可な覚悟ではないことはわかる。ならば、やることはひとつだけだ。
「はぁ……気乗りしないが、こっちも下手な容赦はしないぞ?」
半歩下がり拳を突き出し構える。彼我の差は約7メートル。剣の射程を考えても少し間が空いている。相手が武器持ちであっても怯みはしない。この街では刃物も飛道具も珍しくないからだ。
しかし、やはり彼はどこか油断をしていたのであろう。彼女は……かの少女は、異世界からきたのだ。
『湖畔の聖霊アクエラ・エリスよ、我が剣に静寂と静謐、水面の揺蕩う光鱗の加護を』
溢れた魔力は剣に収束する。胸前に持ち、刃を天に掲げ少女は祈りの言葉を紡ぐ。
瞬間、少女の周囲の空間が歪む。少女の姿が多重にぶれて映る。
「っ、魔法……!?」
彼女に起こる異常を感知した瞬間である。
スパッ……
重心を移動させる素振りを見るより先に彼女の剣が少年を袈裟がたに切り裂いていた。
「……っっっ!!!」
「なっ!?」
その一瞬が過ぎた瞬間、二人は同時に驚愕しを覚えた。
(ぐっ、なんだよ今の動きは!?初速から最高速度で移動してきやがった!)
少年は冷や汗が頬を伝うのを感じた。たなびく学ランをきれいに両断し、胸の薄皮が切られていた。ギリギリで避けられたと思っていたにも関わらずだ。
彼女が動いたと思った瞬間、そのときには既に数メートルを駆けていた。それも自身の残像を数秒残しながらである。
まるでコマ送りの映像を見るかのように進み、重力を無視し、空気抵抗すら度外視した速度の動きに対応が追い付かなかった。
(所見であるにも関わらず私の『水晶石の霊剣』をかわしただと!?)
異世界で魔力供給がままならないことを差し引いても完璧に決まっていた初撃決殺の一撃を避けたことに一瞬の逡巡が生まれた。
「くっ!」
即時相手の射程外まで滑るように離脱する。まるで氷上を滑るように、相手の意識外へと移動する動きは少年の予測を的確にはずしていく。
常識では考えられない移動方向へと瞬時に動く様は蝿や蜻蛉の動きを彷彿とさせる。
剣を構え直したビキニは苦い顔を隠せずにいた。
(私の初撃をここまで無傷で躱した者は今までで三人……その内加護や魔術を用いなかったものは一人もいない)
緊張が走る。今までに体験したことのない異質な悪寒に身震いがした。
(この街の人間とはこんな芸当が揚々とできる者がざらにいるのか……?)
いや、彼は例外だろう。結論は早くについた。
少年の纏う空気が変化したからだ。
先程までとは違う。エリスの加護とは別の、凍りつくような緊張が辺りに一瞬で立ち込める。
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