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どうやら困らなさそうだな

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「だい.........の.........か?...。」

...遠くから誰かの優しい声が聞こえる。それでいて凛とした声が。
でも、誰だろう?こんな知り合いはいなかったはずだぞ?

「あ......はこ............しり............か?」

誰だこの人は?あぁでも、こっちの人の声は聞き覚えがある。

「いえ。わ...はとお.........もの...す。」

段々と意識が浮上してくるのが分かる。
聞こえる部分が増えているから。

「そうです...。こういう時は...か知り合いに声を.........方がよいのですが。」

ほとんどの言葉が聞こえるようになり、それの文章としての理解ができるようになった時、水中から浮かび上がる時のようにオレの意識は浮上した。
そしてオレは話しかけた。

「だ......?」

いや、正確には話しかけようとした。

だれ?と。

だがオレの発した掠れた声では言葉は通じない。
仕方がない。
よくよく自分の意識を確認してみると意識が朦朧としているのが分かる。

そういえばオレは事故に遭ったんだったな。
衝撃的な前世の記憶があったことを思い出したのと、まぁ、一番はあれだな。記憶喪失っぽい衝撃で忘れてた。
やべえな。オレもいよいよ。
まだ二十歳いってねえけど。

あぁそうだな。

こっちでの記憶はそのままある。

今頃気付いた訳だけど。
困らねえじゃねえか。
そんなことも考えられねえようになってんのか。

そんなことを考えているうちにオレの意識は覚醒していく。

よく見れば俺が寝ているベッドのわきで知らない女性が立っていてもう一人の女性とこちらを凝視している。
あぁあれはオレが世話になってるミラ先生じゃねえか。

どうして?ここに?

ここはオレの家っぽいのに。ミラ先生は医者だよな?
そう、ミラ先生はオレがケガしたときとかによく世話になったおばあちゃんの先生だ。
もうすでに真っ白になった髪に、若いころは随分と美人だったことを匂わせ、理知的な鋭さを持った薄紫の透明感のある瞳。

あぁ、オレ事故ったんだった。
また忘れてた。やべえ。
それにしても、もう一人の女性がわからないな。
茶色いビターチョコレートのような髪色にこれまた髪の毛と同じ色をしている凛とした瞳。
もう立ち姿だけでその生き様が表されているようだ。
決して美少女でも美人でもない。
でもオレはその女性のことをキレイだ。と思った。
なんでだろう?
うん、でも、そんなことはいったんおいておいて。

あれこの女性どなた?

まぁ知らん奴ってことは起きる前から分かってたような気もするが。
まぁオレ、ちょっと今意識がやばいからな。

そんなことを思っていると隣の固まっているミラ先生を見てこれは自分が話しかけるしかないと思ったのだろう。
その茶髪の女性が恐る恐ると言った感じに話しかけてきた。
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