虫好き令嬢と虫嫌いな求婚者

karu

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お茶会(カオルside)

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僕がどうしても理由を聞きたいと言うと、マリー様がお茶会を開いてくれた。

今日こそ!聞き出す!

僕はそう意気込んでマリー様の部屋に入る。
もちろん侍女も一緒だが。

その瞬間、僕は卒倒しそうになった。

マリー様の部屋中に虫かごが置いてあり、その全てに色の鮮やかなイモムシや、毛虫みたいな塊が存在していた。

そして、マリー様は、そのイモムシ達を外に出そうとしていたのだ。

「カオル様も来て下さい。」

その声に黙ってうなずいた僕は、お茶会を庭園でするために、マリー様の後ろを付いて行った。

現在位置、庭園。

マリー様がイモムシや毛虫たちを逃がして逃がして逃がしまくる。

その姿に恐怖を感じた僕は、思わず「う゛っ」と声を上げてしまった。

「虫が怖いですか?」

「あ、あぁ。」

「では、彼らの特性を知っているのでしょうか。」

「は?」

「彼らは懸命に生きています。わたくし達のように休む暇も、なく。
 あなたは、何をもって気持ち悪いと言うのです?」

「そ、それは...見た目が......」

「その見た目が気持ち悪いという判断は誰がなさったのですか?」

「み、み、みん、な。」

「つくづくわたくしは思うのです。最近、わたくしに妹ができました。その時、思ったのです。命は尊いものだと。
 その日から、わたくしは、生き物は生きていることこそが奇跡だと感じます。
 それは、虫たちにも当てはまります。他のすべての生き物にも。
 奇跡は奇跡でできているのです。パズルのように。」

彼女の瞳は凛とした光が溢れていた。

きれいだな。

僕は虫のことなど忘れて、思わず見入ってしまった。
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