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期末試験編

33話 赤点ですが脈ありでしょうか?

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「じゃあ、小テスト返すわよ」

 心臓の鼓動が早まる。
 大丈夫だ、まず、赤点では無いと思う。
 自信は、そこそこにある。
 ただ桔梗が、どれくらい点数を伸ばすのか結構未知数だから勝てるかどうか。

「まず、桔梗から返すわよ」

「はい!」

 元気よく返事をして、立ち上がり楓ちゃんの目の前に移動する。

「桔梗は49点、赤点よ」

「なっ......なんだと!自信満々だったのに!」

 桔梗は、膝から崩れ落ちた。
 そのまま、上半身を倒して、床に拳を打ち付けている。

「全体的に酷いけど、特に英語のスペルミスが酷いわ、もっとしっかり覚えなさい」

「......まじかよ」

 桔梗は、うつろな目で力なく席に戻った。
 私は、静かに桔梗の肩に手を当てる。

「......どんまい」

「あら紫陽花、そんな余裕あるの?」

「......え?」

 ......なんだって?
 いや、大丈夫だ。
 英語は、私の得意分野だし、スペルミスもないか完璧に見直しもした......はず。

「じゃあ、紫陽花取りに来て」

「......はい」

 席から立ち、楓ちゃんの元まで行く。
 私は、テスト用紙を受け取り、それを見た。
 そこには、しっかりと正解した問いの数々が並び、私は勝利を確信する。

「よしっ!」

「よく見なさい」

「え?」

 いや、確かに間違えている問いもあるけど、6割くらいは正解している何も問題はな......。
 私は、楓ちゃんが親指で隠していた点数を見てしまい、驚愕した。
 そこには、大きく書かれた0点の文字があった。

「なんで!一体なんで!」

「あんた、名前書いてないでしょ」

「え?」

 再びテスト用紙を確かめる。
 確かに、名前欄に何も書かれていない。
 私は、ゆっくりと膝から崩れ落ちた。

「名前が書いてあったら、普通に60点だったのに残念だわ」

「くそ!くそぉ!」

 すると、背後から肩に手の感触を感じる。
 私が振り返ると、そこに桔梗が居た。
 桔梗は、なんとも言えない表情で静かに手を差し出す。

「今は、この地獄を乗り切ろう友よ」

「......ありがとう」

 私と桔梗の友情が、またさらに深まった気がする小テストだった。

「まさか、開幕から赤点とは思わなかったわ」

「「誠に申し訳ない」」

「じゃあ次は、俺達か」

「そうね」 

「俺達?」

「言ってたでしょ?向日葵ちゃんに作ってもらうって」

「はい、採点も出来ましたよ!」

 向日葵が、ニコニコと笑いながら二枚のテスト用紙を取り出す。

「じゃあ返していきますよ!まず、楓さん」

「はい」

「95点です、流石ですね」

「やばいなぁ、絶対勝てない」

 楓ちゃんは、ふふんと誇らしげな表情をしている。可愛いけどムカつくので、近づいてほっぺをむにむにした。

「次に、......蓮華様」

「はーい」

「86点です、細かいミスが目立ちます、気を付けましょう」

「それくらいか~まぁ及第点だな」

 向日葵は、明後日の方向を向きながら、蓮華にテスト用紙を渡した。この頃、向日葵が蓮華に対して距離を取ってるように見えるけど、気のせいかな?

「じゃあ、なんでも券は私がもらうわね」

「げっ!お前らも同じルールかよ!絶対赤点取らねぇだろ!」

「そこは、一応私達の赤点のラインを80点にしてるから大丈夫よ」

「......80だと?なんだこいつら化物じゃん」

「オール100点取れる向日葵ちゃんに比べたら普通よ」

 私と桔梗は、静かにお互いの顔を見て頷く。
 楓ちゃんと向日葵は、別次元の住人だと言うことがわかりました。

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