上 下
29 / 43
転校生襲来編

29話 雑魚ですが脈ありでしょうか?

しおりを挟む
 俺は、せっかくの休みなので桔梗の家に遊びに来ていた。いつも通り、スマブラをだらだらとしていた。

「どら食らえ!スマッシュ!」

「はい、かも」

「あっ、ちょやめ、やめて!」

「やめません」

「ぎゃあ!!」

 テレビの画面に『GAME SET』の文字が映る。

「くっそ、また負けたわ」

「俺にかかればこんなもんよ」

「もう一回だ!もう一回!」

 突然、俺のケータイが着信音がなった。
 ケータイの画面には、弟の風鈴の名前が出ていた。

「すまん、風鈴から電話きた」

「へーい」

 一旦、廊下で電話出る。

「もしもし、どした?」

「兄貴、助けてくれ」

「なんだ?また喧嘩でもしたんか?」

「いや逆だよ、喧嘩をふっかけられた」

「どういう事?」

「あんまり時間が無いんだ、俺達をかばって、金髪のお姉さんがそいつの相手をしてるんだ、お願いだ助けてくれ」

 金髪のお姉さん。
 その言葉を聞いて、嫌な予感がした。

「場所は、桔梗の親父さんの倉庫だな?」

「うん」

「わかった、丁度桔梗の家にいるから、一緒に来る」

「ありがとう」

「任せとけ!」


 そして、倉庫に全力疾走でたどり着きて、今。
 予想通り、向日葵の事だった。
 可愛い服が、伸び伸びになっている。
 少し離れた場所に向日葵を寝かした。

「気をつけてください、あいつ全然パンチが効ききません」

「どういう事だ?」

「私が、鳩尾にパンチを入れてもびくともしませんでした」

「……なるほどわかった、向日葵は、ここで休んどけ」

「ありがとう」

 俺は振り向き、竹中を睨み付ける。

「相変わらず、卑怯な事ばっかりしてるみたいじゃねぇか?」

「卑怯?なんのことだい?」

「とぼけても無駄だ、その服の下になんか着てるんだろてるんだろ?通りで向日葵のパンチも効かない訳だ」

「はっは、知ったところでどうする?俺から脱がすか?」

「そんなの決まってる」

 俺は、竹中の懐に潜り込む。
 そして、右脚で思いっきり股間を蹴り上げる。

「ぎゃああああ!!!」

 竹中は、痛みで股間を押さえながら転がり回る。

「防具が無いところを攻めるだけだ」

 転げ回る竹中を止め、馬乗りになって顔面を殴打する。

「やめ、やめて!、やめ」

「どうせお前の事だ、向日葵の話も聞かずにここに連れてきたんだろう?それとな、ここの倉庫は、俺たちの溜まり場を後輩にも使わせてやってるだけに過ぎない、てめぇらの場所じゃねーんだよ!」

 竹中の顔面が、ボロボロになった辺りでパトカーのサイレンが聞こえてきた。
 パトカーが2台ほど来て、中から警察官が出てきた。

「こんなことやったんだ、お前は、もう終わりだよ」

「ずみませぇ~ん!!この人にいじめられまぁぁす!!」

 竹中が、ボロボロの状態で叫ぶ。
 こんなになってもニヤニヤと笑っている。
 まじかよ、勘違いされるかもしれない。

「そこの少年、両手を上げなさい」

 警察官が、拳銃をこちらに向けて近づいて来る。
 仕方ない、俺は両手を上げ立ち上がる。
 すると、竹中がひょいと起き上がり、警察官の懐に潜り込む。

「あの人に暴行されましたぁ!!助けてくださぁい!!」

 警察官が、竹中の手首に手錠をかける。
 竹中が、驚いた表情をする。

「なんで、俺に手錠をかけるんだ!」

 すると、警察官の横から楓さんが現れる。
 楓さんは、竹中の目の前に黒い棒状の電子機器を見せた。

「これ?なんだと思う?」

「……ま、まさか」

 楓さんが、電子機器を操作すると音声が流れ始めた。

(無免許運転なんてしていいと思ってるの?)

(バレなきゃいいんだよ)

 その電子機器から楓さんと竹中の会話が流れる。
 竹中は、顔から血の気がひいていく。

「あんたみたいな馬鹿は、すぐに自分から証拠を用意してくれるから助かるわ」

「お前、お前!」

「その顔、蓮華君にやられたんだ、ボッコボコにやられてるわね」

 神奈月さんが、ニヤリと笑う。

「ざっこぉ」

「くそがあぁぁぁ!!」

「大人しくしろ!君もあんまり刺激しない!」

「はーい」

 竹中は、そのまま拘束されパトカーで運ばれた。
 俺達も事情聴取として、別のパトカーで警察署に行くことになった。
 同じパトカーに神奈月と紫陽花が乗っていた。

「神奈月さんありがとう、勘違いされたら面倒なことになる所だったよ」

「いえいえ、こちらこそ、君が桔梗を連れてきてくれたお陰で、こっちも早く呼べたわ」

 紫陽花が、急に俺に抱きついてきた。

「おいおい、どうした?」

「……向日葵を、向日葵を助けてくれてありがとう、来てくれなかったら間に合わなかったよ」

 紫陽花は、泣きじゃくって、顔がぐしゃぐしゃになりながらそう言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?

すず。
恋愛
体調を崩してしまった私 社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね) 診察室にいた医師は2つ年上の 幼馴染だった!? 診察室に居た医師(鈴音と幼馴染) 内科医 28歳 桐生慶太(けいた) ※お話に出てくるものは全て空想です 現実世界とは何も関係ないです ※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

処理中です...