1 / 2
0章
魔法
しおりを挟む
私の最も古い記憶は、飢えだ。
覚えているのはただひたすらに飢えていたことだけ。
恐らくそれが私の初めての死の記憶なのだろう。
この世界は私という生き物に退屈という感情を抱かせることはなかった。人類と定義できる生き物たちが、何度も栄光の時代を気づいては滅びていった。栄光の時代は私にとっても実に楽しい日々であり、滅びの時は栄光の輝きに反比例するかの如く、より醜悪な絶望を私に叩き付けた。
そんな栄光と滅びを繰り返して行くうちに段々と人類の栄光の時代が長くなり、滅びを迎えるまでに掛かる時間が伸びていった。あれは何度目の時であったのか私にはわからないが、世界に変革時が訪れた。
魔法。
その時代の人類はこの世界の構造、真実、その全てを理解するべく、科学の研究をひたすらに繰り返し、この世界の外へと飛び出していく者達すらいた。そんな中で人類はついに存在しない概念すら生み出すことに成功した。
だが、私にとって最も驚くべき変化は、魔法という概念を見つけてから今日に至るまで、人類は滅びの時を迎えていないという点であった。
魔法のおかげで世界が平和に保たれていたわけでは決してなく、人類は幾度も戦争を繰り返し、国が何度も滅んでいった。しかし人類という種が滅びることはなかった。
とある時代に、疫病が流行り滅びの危機が訪れると魔法がそれに答えるかのように、一部の人類が進化し病に掛かることがなくなり、彼らの強力な治癒の力で人類は滅びから救われた。
また、別の時代では、人類が魔神と呼んだ神に等しい存在に対応するため、魔法は人類に神を殺す力を与え、魔神の脅威を打消した。
さらに、別の時代には、この世界と別の世界の衝突の時には、久しく見ていない完全な生命の滅びを見ることになるかと思えば、魔法は人類の選ばれし者達に、運命に抗うために神の力を与えた。
それから数々の滅びの脅威が人類を襲ったがその全てが魔法により解決されていった。
私は魔法とは一体何なのか、その存在、概念に非常に興味が沸いた。科学では人類は滅び、魔法では滅びない。一体何が違うのか、なぜそれほどまでに魔法が万能なのか、もしかしたら私という存在すら完全かつ不可逆的に消し去れるものなのではないのか。
そう思い私は行動に移すことにした。
あれは、そう忘れもしない区切りの時。その時代の人類は、神や天使と言われる人類が何故か天に暮らし、それを同じ人類が讃え、そして魔王、魔物、魔人呼ばれる人類と戦争を繰り返していた時代。
魔法は願えばこの私にすら力を与えた。そして人類が残り僅かになり最果ての地まで追い込んだ時、その時は訪れた。私はかつての魔神と比較され魔神王として世界を滅ぼすものとして人類に滅びの時を与える寸前までいった。
そして、やはり魔法は人類を滅びの時から救うため、人類に私に対抗するため大いなる力を与えた。何十億という生を歩んできた私ですら見たことのない異次元の力。その力に私は飲み込まれ、私という存在は消滅した。
しかし、魔法はついに私の願いを叶えることはなかった。
だが、私は魔法に絶望することはなかった何故なら、私が消滅してから復活した時には新たな世界の概念が出来上がっていたからだ。
魔法は私という存在をその時初めて認識したのだろうか?。それとも誕生したあの時から既に私を認識していたのだろうか、私を消滅させたことで魔法は世界に新たな概念を与えた。
それが転生であった。
覚えているのはただひたすらに飢えていたことだけ。
恐らくそれが私の初めての死の記憶なのだろう。
この世界は私という生き物に退屈という感情を抱かせることはなかった。人類と定義できる生き物たちが、何度も栄光の時代を気づいては滅びていった。栄光の時代は私にとっても実に楽しい日々であり、滅びの時は栄光の輝きに反比例するかの如く、より醜悪な絶望を私に叩き付けた。
そんな栄光と滅びを繰り返して行くうちに段々と人類の栄光の時代が長くなり、滅びを迎えるまでに掛かる時間が伸びていった。あれは何度目の時であったのか私にはわからないが、世界に変革時が訪れた。
魔法。
その時代の人類はこの世界の構造、真実、その全てを理解するべく、科学の研究をひたすらに繰り返し、この世界の外へと飛び出していく者達すらいた。そんな中で人類はついに存在しない概念すら生み出すことに成功した。
だが、私にとって最も驚くべき変化は、魔法という概念を見つけてから今日に至るまで、人類は滅びの時を迎えていないという点であった。
魔法のおかげで世界が平和に保たれていたわけでは決してなく、人類は幾度も戦争を繰り返し、国が何度も滅んでいった。しかし人類という種が滅びることはなかった。
とある時代に、疫病が流行り滅びの危機が訪れると魔法がそれに答えるかのように、一部の人類が進化し病に掛かることがなくなり、彼らの強力な治癒の力で人類は滅びから救われた。
また、別の時代では、人類が魔神と呼んだ神に等しい存在に対応するため、魔法は人類に神を殺す力を与え、魔神の脅威を打消した。
さらに、別の時代には、この世界と別の世界の衝突の時には、久しく見ていない完全な生命の滅びを見ることになるかと思えば、魔法は人類の選ばれし者達に、運命に抗うために神の力を与えた。
それから数々の滅びの脅威が人類を襲ったがその全てが魔法により解決されていった。
私は魔法とは一体何なのか、その存在、概念に非常に興味が沸いた。科学では人類は滅び、魔法では滅びない。一体何が違うのか、なぜそれほどまでに魔法が万能なのか、もしかしたら私という存在すら完全かつ不可逆的に消し去れるものなのではないのか。
そう思い私は行動に移すことにした。
あれは、そう忘れもしない区切りの時。その時代の人類は、神や天使と言われる人類が何故か天に暮らし、それを同じ人類が讃え、そして魔王、魔物、魔人呼ばれる人類と戦争を繰り返していた時代。
魔法は願えばこの私にすら力を与えた。そして人類が残り僅かになり最果ての地まで追い込んだ時、その時は訪れた。私はかつての魔神と比較され魔神王として世界を滅ぼすものとして人類に滅びの時を与える寸前までいった。
そして、やはり魔法は人類を滅びの時から救うため、人類に私に対抗するため大いなる力を与えた。何十億という生を歩んできた私ですら見たことのない異次元の力。その力に私は飲み込まれ、私という存在は消滅した。
しかし、魔法はついに私の願いを叶えることはなかった。
だが、私は魔法に絶望することはなかった何故なら、私が消滅してから復活した時には新たな世界の概念が出来上がっていたからだ。
魔法は私という存在をその時初めて認識したのだろうか?。それとも誕生したあの時から既に私を認識していたのだろうか、私を消滅させたことで魔法は世界に新たな概念を与えた。
それが転生であった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
どこにでもある異世界転移~第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
ダメ人間共同体
ファンタジー
第三部 今最後の戦いが始る!!・・・・と思う。 すべてのなぞが解決される・・・・・と思う。 碧たちは現代に帰ることが出来るのか? 茜は碧に会うことが出来るのか? 適当な物語の最終章が今始る。
第二部完結 お兄ちゃんが異世界転移へ巻き込まれてしまった!! なら、私が助けに行くしか無いじゃ無い!! 女神様にお願いして究極の力を手に入れた妹の雑な英雄譚。今ここに始る。
第一部完結 修学旅行中、事故に合ったところを女神様に救われクラスメイトと異世界へ転移することになった。優しい女神様は俺たちにチート?を授けてくれた。ある者は職業を選択。ある者はアイテムを選択。俺が選んだのは『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』 魔王やモンスター、悪人のいる異世界で生き残ることは出来るのか?現代に戻ることは出来るのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる