上 下
9 / 43

9 死罪の話

しおりを挟む
公爵邸は、恐ろしく豪華だった。

リリアージュは同じ貴族でも、こうも違うのか…と思い知った。

使用人がぞろりと出迎え、庭には噴水まである。

広い公爵邸の中を通り抜け、レオルドの自室にたどり着くまでに使用人が制服から私服へと着替えさせ、部屋に入る頃にはレオルドは少しゆったりとした楽な服へと替わっていた。

レオルドの部屋は、リリアージュの屋敷の一番立派な応接間よりも、広く豪華だった。

「死罪の話だけど、16歳にもなっていない少女を手籠めにしたとあらば、そうなるぜ」

部屋に着いてすぐ、単刀直入にレオルドは言った。

「手籠めでは……」
「──とにかく、18歳まで法的には結婚も出来ないんだし、それまでの間にばれたら、死罪はまぬがれても社会的信用なんて消し飛んじまうぜ?」

神妙な顔でうつむくリリアージュにレオルドは聞いた。
「大体、あんなに冷静そうなあいつとどうしてそんな事に…?」

「……髪を切ったお金でプレゼントを渡したら動揺されて…そこを私が誘惑した…」

一瞬、呼吸を止めて話を聞いていたレオルドは言った。

「…まぁ、お前の努力は認めるよ。どう見ても、お前はあの男にずっと夢中だったからな。ただ、それ、世間にばれたらあの男はかなりやばい立場になる…。例えば、伝聞力のある俺が漏らそうものなら」

リリアージュは無意識に、レオルドの口に両手を当てた。
「絶対、言わないで。お願い」

口を塞がれたレオルドは、その手を取って言った。

「では、俺と付き合う…というのはどうだ?万一、あの男との関係を疑われた時のカモフラージュにもなるし」
「……えっ?付き合う…?」

リリアージュは突然言われた言葉にびっくりし、おどおどする…。

「自分の事、どう思ってるかは知らないが、お前は初等部の頃から中等部の今までずっと男子の憧れの的で高嶺の花だった」

リリアージュは、思いがけない事を言われ驚いた。

男子に避けられているのは知っていたから、冷たく見られがちな容姿のせいでてっきり嫌われているのだと思っていた。

「珍しい紫の瞳…長い白銀色の髪…。もちろん俺もお前の事、ずっと綺麗だなって見てたよ。まぁ、俺の存在を今日初めて知ってもらったわけだけど…。お前が処女じゃないと分かった上で、それでも結婚してやってもいいと思うぐらい魅力的だと思ってる。没落子爵家から裕福な公爵家に嫁げるんだから親も喜ぶぜ」

いつも、幼いとアエルにため息をつかれていたリリアージュは、初めて男性に魅力的だと言われ顔を赤らめ、うつむいた。

「お前の付き人の男…アエル…。最難関の王立医学部入学試験で最高点を取り、全額免除の特待生に選ばれていたのに辞退した男として割と有名だぜ。特待生は数年に一度、出るか出ないかの存在だし」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵家のご令嬢は婚約者に裏切られて~愛と溺愛のrequiem~

一ノ瀬 彩音
恋愛
婚約者に裏切られた貴族令嬢。 貴族令嬢はどうするのか? ※この物語はフィクションです。 本文内の事は決してマネしてはいけません。 「公爵家のご令嬢は婚約者に裏切られて~愛と復讐のrequiem~」のタイトルを変更いたしました。 この作品はHOTランキング9位をお取りしたのですが、 作者(著者)が未熟なのに誠に有難う御座います。

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

引きこもり令嬢が完全無欠の氷の王太子に愛されるただひとつの花となるまでの、その顛末

藤原ライラ
恋愛
 夜会が苦手で家に引きこもっている侯爵令嬢 リリアーナは、王太子妃候補が駆け落ちしてしまったことで突如その席に収まってしまう。  氷の王太子の呼び名をほしいままにするシルヴィオ。  取り付く島もなく冷徹だと思っていた彼のやさしさに触れていくうちに、リリアーナは心惹かれていく。けれど、同時に自分なんかでは釣り合わないという気持ちに苛まれてしまい……。  堅物王太子×引きこもり令嬢  「君はまだ、君を知らないだけだ」 ☆「素直になれない高飛車王女様は~」にも出てくるシルヴィオのお話です。そちらを未読でも問題なく読めます。時系列的にはこちらのお話が2年ほど前になります。 ※こちら同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※

【完結】 嘘と後悔、そして愛

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢ソニアは15歳。親に勝手に決められて、一度も会ったことのない10歳離れた侯爵リカルドに嫁ぐために辺境の地に一人でやってきた。新婚初夜、ソニアは夫に「夜のお務めが怖いのです」と言って涙をこぼす。その言葉を信じたリカルドは妻の気持ちを尊重し、寝室を別にすることを提案する。しかしソニアのその言葉には「嘘」が隠れていた……

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

【完結】私、噂の令息に嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私は、子爵令嬢。 うちは貴族ではあるけれど、かなり貧しい。 お父様が、ハンカチ片手に『幸せになるんだよ』と言って送り出してくれた嫁ぎ先は、貴族社会でちょっとした噂になっている方だった。 噂通りなのかしら…。 でもそれで、弟の学費が賄えるのなら安いものだわ。 たとえ、旦那様に会いたくても、仕事が忙しいとなかなか会えない時期があったとしても…。 ☆★ 虫、の話も少しだけ出てきます。 作者は虫が苦手ですので、あまり生々しくはしていませんが、読んでくれたら嬉しいです。 ☆★☆★ 全25話です。 もう出来上がってますので、随時更新していきます。

婚約者が最凶すぎて困っています

白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。 そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。 最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。 *幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。 *不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。 *作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。 *カクヨム。小説家になろうにも投稿。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

処理中です...