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ゴリラ族 ノリオ
しおりを挟む獣人達が暮らす国ドウブツエーン
大小様々な獣人達が共存しながら暮らしている
タエを保護したノリオはゴリラ族である。
彼らは森の奥で暮らしており、
体は男性が身長170センチ前後、女性は140センチほどで、この世界のヒト族とあまり差異はないが、それは身長に限ってであり、体重に関してはほぼ2倍にあたり、体格には大きな差がある。
ゴリラ族は見た目も中身も脳筋だが、穏やかで争い事を嫌う種族だ
ノリオはゴリラ族の中でも体は大きく逞しい体つきであったが、女性にはモテなかった。
ゴリラ族は頭頂部の突起の盛り上がりが高く、顔が長く大きいほど魅力的だとされているのだが、ノリオは小顔で、頭に突起が無く丸みを帯びているからだ。
18歳までには家庭を持つのが一般的なゴリラ族の中で、ノリオは22歳の今も相手がおらず独り身であった。
子供好きでもあり、家庭を持ちたい気持ちはあるのだが、相手がいないのでは仕方がない。ノリオは一人寂しく暮らしていた。
その孤独な生活を送るノリオにとって、ある日将来を左右する出来事が発生する。
いつもと違う森の奥へと足を進めていると、ふと小さな声が聞こえる
……ウッホ…ウッホサマ…
同族か?
不思議に思い、声のするほうへ歩いてみれば小さな子供が倒れていた
その子供は体に毛がなく、ヒト族のようだ
ヒト族の子供……が一人?
親はどこだ?
森の奥深くにあるこの場所は獣が多く生息している。そんな場所に足を踏み入れるのは獣人の中でも、ごく僅かな者だけだ。
ヒト族の、それも子供が一人でいる場所では決してない。
ヒト族はとてもか弱い種族だ。
ゴリラ族とは違う細い体が震えているのを見て思わず近づくと、子供はギュッと固く目を瞑る
ーー恐がらせたか?
ノリオは子供が落ち着くまで身動きせずに、様子を伺う
子供の服はボロ切れで濡れており、足も裸足同然のような靴だった
しばらくすると、ゆっくりと閉じていた瞼が開き、黒い瞳が現れる。
話しかけると驚いた表情をして、小さな声で答える
そのヒト族の言うゴリウッホサマは分からなかったが、この子が迷子だという事は判明した。
とりあえず詳しい話は場所を移動してからしようと告げると、子供はそのまま意識を失ってしまった……
仕方ない、ノリオは子供を抱き抱えーー気づく。
子供が女の子だということに。
ヒト族が顔を見ただけでゴリラ族の性別を区別出来ぬように、ゴリラ族にとっても顔だけでヒト族の性別を見抜くのは難しい。
立っていれば身長なり、服装なりで気づくが、
小さな子供で倒れていれば尚更のこと判別はつかない。
だが獣人はヒト族には無い判別方法がある。
匂いだ。種族は違えど、異性の匂いは甘く香る。
しかも抱えて気づいたが、体が細い分小さく見えたが、身長は成人女性に近いものがある。
もしかして、子供ではない…?
そう気づいたと同時に細い体から伝わる体温と、甘い香りが鼻先をくすぐる。
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