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【リーナ視点】ただいま戻りました。
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メイド長のリーナを含めた53人のメイド達は食材の買い出しを終え、城へ戻る途中だった。
城の門をくぐり抜け、城まであと100メートルほどというところで、それは聞こえてきた。
「「「敵襲だーーーーーーーー!! 急げーーーーーー!」」」
大勢の兵士達が慌ただしく武器をとり、走って行くのが遠目でもわかった。
走る兵士の行く先を視線で辿れば、城の一箇所が灰色の粉を吹きながらゴロゴロと崩れているのが見えた。
「あそこは──────」
あの客間。
ということは………お嬢様⁉︎
「ごめんなさい。先に行くわ! これお願いね!」
「リーナさん⁉︎ どちらへ───」
その問いに答える余裕もなく、リーナは買い占めた食材を他のメイドに押し付け、走って行く兵士に続いた。
「一体、何があったのですか⁉︎」
最後尾に続く兵士達と並走しながら、問う。
「わからねぇ!」
「だが、あそこから爆発音がしたのは間違いねぇ!」
「城の一箇所が崩壊してる。襲撃を受けたんだ! きっと敵にちげーねぇ」
敵、ですって?
お嬢様……。
リーナは額から一筋の汗を流し、ゴクリと唾を飲み込んだ。
並走している途中で、異変に気付きリーナは足を止めた。
リーナと並走していた兵士もそれを感じ取ったようで、リーナの数歩先で足を止める。
「なん……でしょう?」
一番前を走っていたと思われる兵士達が戻ってきた。
何か恐ろしいものでも見てしまったような顔で、全力疾走して。
「おまえらぁ! 持ち場に戻れえぇぇえぇえぇ!」
そう叫んだ一人の兵士は恐怖で? なのか鼻水を垂らしに垂らしまくっているではありませんか。
陛下にお仕えする兵士とあろうものが、全く情けない。
「何があったんだよ! 敵はどうする!」
リーナと同様に足を止めていた兵士が走り戻ってくる兵士に問う。
「敵なんかいねぇーよ! つーか敵よりもヤベェーんだって!」
「敵よりもって相手は誰ですか⁉︎」
敵よりも、ということはこの城の関係者の誰かということでしょうか?
「陛下だよ! 陛下!」
陛下?
陛下………貴方、一体、何をされたのですか?
いえ、まだ勝手に陛下の所為だと決めつけてはいけませんね。
事情を聞こうと、私は兵士の皆様にお声をかけたのですが、皆、逃げるのに必死なようで結局は誰も足を止めて下さいませんでした。
共に足を止め、呆然としていた兵士達も何がなんだかわからないといった感じでした。
しかし、襲撃でなかったことに安心して各自、持ち場に戻られました。
お嬢様に何もなければいいのですが………。
お嬢様の安否を確認すべく、私一人で現場へ走って戻ることに致しました。
すると、客間の前についてみれば、瓦礫の山。
メイド服のスカートをたくし上げ、それを一つずつまたいで客間のドアを開くと、
「そのまえに、何か余に言うことはないのかな? 人の子よ。うん?」
中から陛下の声が聞こえてきた。
客間も瓦礫の山で、陛下の姿を捉えることができなかった。
陛下のお相手している方は誰でしょうか?
邪魔をしていた瓦礫を全てよけて、見てみれば、そこには─────
とてもいい笑顔で魔王覇気をダラダラ漏らしながらお嬢様の頭蓋骨をわしづかみしている陛下の姿がありました。
お嬢様は、床に足がつかず、プラプラ揺れていらっしゃいます。
お嬢様は助けてほしそうに陛下の側近であるガルシアに視線を向けているが、ガルシアは気づかないふりをするようにお嬢様とは反対の方向へ顔を背けています。
この状況は一体……。
私はどうするのが正解なのでしょうか?
リーナは解決策を見つけるべく、早急に思考を巡らせるのだった。
城の門をくぐり抜け、城まであと100メートルほどというところで、それは聞こえてきた。
「「「敵襲だーーーーーーーー!! 急げーーーーーー!」」」
大勢の兵士達が慌ただしく武器をとり、走って行くのが遠目でもわかった。
走る兵士の行く先を視線で辿れば、城の一箇所が灰色の粉を吹きながらゴロゴロと崩れているのが見えた。
「あそこは──────」
あの客間。
ということは………お嬢様⁉︎
「ごめんなさい。先に行くわ! これお願いね!」
「リーナさん⁉︎ どちらへ───」
その問いに答える余裕もなく、リーナは買い占めた食材を他のメイドに押し付け、走って行く兵士に続いた。
「一体、何があったのですか⁉︎」
最後尾に続く兵士達と並走しながら、問う。
「わからねぇ!」
「だが、あそこから爆発音がしたのは間違いねぇ!」
「城の一箇所が崩壊してる。襲撃を受けたんだ! きっと敵にちげーねぇ」
敵、ですって?
お嬢様……。
リーナは額から一筋の汗を流し、ゴクリと唾を飲み込んだ。
並走している途中で、異変に気付きリーナは足を止めた。
リーナと並走していた兵士もそれを感じ取ったようで、リーナの数歩先で足を止める。
「なん……でしょう?」
一番前を走っていたと思われる兵士達が戻ってきた。
何か恐ろしいものでも見てしまったような顔で、全力疾走して。
「おまえらぁ! 持ち場に戻れえぇぇえぇえぇ!」
そう叫んだ一人の兵士は恐怖で? なのか鼻水を垂らしに垂らしまくっているではありませんか。
陛下にお仕えする兵士とあろうものが、全く情けない。
「何があったんだよ! 敵はどうする!」
リーナと同様に足を止めていた兵士が走り戻ってくる兵士に問う。
「敵なんかいねぇーよ! つーか敵よりもヤベェーんだって!」
「敵よりもって相手は誰ですか⁉︎」
敵よりも、ということはこの城の関係者の誰かということでしょうか?
「陛下だよ! 陛下!」
陛下?
陛下………貴方、一体、何をされたのですか?
いえ、まだ勝手に陛下の所為だと決めつけてはいけませんね。
事情を聞こうと、私は兵士の皆様にお声をかけたのですが、皆、逃げるのに必死なようで結局は誰も足を止めて下さいませんでした。
共に足を止め、呆然としていた兵士達も何がなんだかわからないといった感じでした。
しかし、襲撃でなかったことに安心して各自、持ち場に戻られました。
お嬢様に何もなければいいのですが………。
お嬢様の安否を確認すべく、私一人で現場へ走って戻ることに致しました。
すると、客間の前についてみれば、瓦礫の山。
メイド服のスカートをたくし上げ、それを一つずつまたいで客間のドアを開くと、
「そのまえに、何か余に言うことはないのかな? 人の子よ。うん?」
中から陛下の声が聞こえてきた。
客間も瓦礫の山で、陛下の姿を捉えることができなかった。
陛下のお相手している方は誰でしょうか?
邪魔をしていた瓦礫を全てよけて、見てみれば、そこには─────
とてもいい笑顔で魔王覇気をダラダラ漏らしながらお嬢様の頭蓋骨をわしづかみしている陛下の姿がありました。
お嬢様は、床に足がつかず、プラプラ揺れていらっしゃいます。
お嬢様は助けてほしそうに陛下の側近であるガルシアに視線を向けているが、ガルシアは気づかないふりをするようにお嬢様とは反対の方向へ顔を背けています。
この状況は一体……。
私はどうするのが正解なのでしょうか?
リーナは解決策を見つけるべく、早急に思考を巡らせるのだった。
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