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一人お参りです.2.
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「…なあ。黒音子。」
手紙事件の次の日、俺はいつもより早めに家を出て学校にきた。そして、席に鞄を降ろしながらまあまあ仲がいい隣の席の子に話しかける。
何時から学校に来てたのか、初めの授業の用意をすでに机の上に出しており、本人は本を読んでる。
「あ、朱希さん、おはようです~。なんですか?」
「…お前って異世界ってあると思うか?いや、変な事聞いてるのは分かってるんだけどさ…。」
そう。昨日の夜も、今日の朝も、この事が頭を占領しているのだ。そのせいで朝ごはんの目玉焼きを焦がしてしまった。
「…ウーン。あるんじゃ…ないですか?」
黒音子は少し首を傾げながらも、キッパリ言った。
「な…何で?」
「火のないところに煙はでないってヤツですよ~。」
「そ…そうか。ありがとう。」
「いえいえ~。」黒音子はさっさと視線を本に戻した。…ホント本好きだなこいつ。
「……。」
俺は男子トイレへ向かった。ポケットにはお守りがある。
「……まさかね。」
便座に浅く腰掛け、ポケットからお守りを取りだし睨む。
「誰も来ないよな…?……よ…よし。」
「あ…『朱希』」…シーン…。あ…あれ?自身の名前がキーワードじゃないのか…。
まあまあ、い…異世界に行けるかもわ…分かんないし?
…とりあえず色々試すだけ試してみるか…。
「『舞桜』」…シーン…。だよなぁ。
「『異世界』」…シーン…。さすがに違うか。
「……『楓』?」あはは、母さん自身の名前をキーワードにしてたりして。そんな浅はかな事しないかさすがに。うんうん。さて次の単語は…
ーーーお守りが震えた。
「ぅえっ!?ちょっ嘘だろっっ!!」
震えがどんどん激しくなっていく。待って。怖えぇんだけど!え、これガチなヤツだよ!浅はかに怒ったのか?!疑ってたのが悪かったのか!?信じるから!ごめんって!信じるから!!謝るから!だから1回止めてくださいお願いします!絶対これ異世界コースだよな!待って心の準備がーー…
そこで俺の意識は暗転した。
手紙事件の次の日、俺はいつもより早めに家を出て学校にきた。そして、席に鞄を降ろしながらまあまあ仲がいい隣の席の子に話しかける。
何時から学校に来てたのか、初めの授業の用意をすでに机の上に出しており、本人は本を読んでる。
「あ、朱希さん、おはようです~。なんですか?」
「…お前って異世界ってあると思うか?いや、変な事聞いてるのは分かってるんだけどさ…。」
そう。昨日の夜も、今日の朝も、この事が頭を占領しているのだ。そのせいで朝ごはんの目玉焼きを焦がしてしまった。
「…ウーン。あるんじゃ…ないですか?」
黒音子は少し首を傾げながらも、キッパリ言った。
「な…何で?」
「火のないところに煙はでないってヤツですよ~。」
「そ…そうか。ありがとう。」
「いえいえ~。」黒音子はさっさと視線を本に戻した。…ホント本好きだなこいつ。
「……。」
俺は男子トイレへ向かった。ポケットにはお守りがある。
「……まさかね。」
便座に浅く腰掛け、ポケットからお守りを取りだし睨む。
「誰も来ないよな…?……よ…よし。」
「あ…『朱希』」…シーン…。あ…あれ?自身の名前がキーワードじゃないのか…。
まあまあ、い…異世界に行けるかもわ…分かんないし?
…とりあえず色々試すだけ試してみるか…。
「『舞桜』」…シーン…。だよなぁ。
「『異世界』」…シーン…。さすがに違うか。
「……『楓』?」あはは、母さん自身の名前をキーワードにしてたりして。そんな浅はかな事しないかさすがに。うんうん。さて次の単語は…
ーーーお守りが震えた。
「ぅえっ!?ちょっ嘘だろっっ!!」
震えがどんどん激しくなっていく。待って。怖えぇんだけど!え、これガチなヤツだよ!浅はかに怒ったのか?!疑ってたのが悪かったのか!?信じるから!ごめんって!信じるから!!謝るから!だから1回止めてくださいお願いします!絶対これ異世界コースだよな!待って心の準備がーー…
そこで俺の意識は暗転した。
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