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第22章『水底にて』
第126話
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《ありがとう。気遣い上手なのね》
「いえ、そんなことは…。あ、あの、アトリエについて、もう少し話を伺ってもよろしいでしょうか?」
《勿論。…あの人は絵に対する執着がすごくて、ちょっと苦手なタイプだった》
情熱ではなく、執着?
どうしてそんな表現をしたんだろう。
女性はホットチョコレートを飲みながら話を続ける、
《アトリエ自体は素敵な絵が沢山飾られていて、とても素晴らしい場所だったと思う。
でも、あの画家はとにかく怖かった。…そんな人だって知らずに仕事を引き受けてしまったんです》
「それは大変でしたね」
《私たち以外にモデルはいなくて、いつも飲み物を持参していたわ。でも、俺の家族を汚すなって怒鳴られた。
禁止されていない場所で、ただ水を飲んでいただけなのに…不思議でしょう?作品ひとつないのに、何が気に入らなかったんだろうって疑問に思っていて…》
そこまで話したところで、女性ははっとしたように顔をあげる。
《そうだ、ヴィーナスの彫刻の造りかけがあった…。いい場所があれば完成だって話してた》
女性は顔を真っ青にして言葉を続ける。
《それがなくなっていて、完成したのか尋ねたら睨みつけられて…。真珠の耳飾りが作業台の上にありました》
やっぱりアトリエにいた人が犯人ということになるのだろうか。
それとも、その人を犯人と見せかけて…どっちだろう。
《友人は、自分が独自に調査してみるって言ってたんです。だから私はその日あの子を追いかけたの》
「そうだったんですか…」
《たしか、アトリエを訪ねて…どうしてこんな大切なことを忘れていたんだろう》
「どうかされましたか?」
女性はフォークを置いて、自分が見た景色を教えてくれた。
《友人はハーフだったから、地毛が綺麗な金髪だったの。その髪をよく触られるって困ってた。
それで、携帯を拾って中に入ったの。鍵が開いてて…。小窓から作業場をのぞいたら、あの子が…》
悲惨なものを見たのか、思い出したくないと言いたげに頭を押さえる。
「お、落ち着いてください。言いたくないことは言わなくて大丈夫ですから」
《ごめんなさい。はっきり友人だったとは言い切れないの。顔をよく見ていなくて…。
だけど、バッグについていたキーホルダーはこれと同じものだった。忘れていったのかもしれないけど、似たような金髪の人が何人もいるとは思えない》
やっぱりこの人は犯人が誰なのか確信しているみたいだ。
《その後、アトリエから出てきた絵描きさんと話していて…目が覚めたときには船の上だった》
「いえ、そんなことは…。あ、あの、アトリエについて、もう少し話を伺ってもよろしいでしょうか?」
《勿論。…あの人は絵に対する執着がすごくて、ちょっと苦手なタイプだった》
情熱ではなく、執着?
どうしてそんな表現をしたんだろう。
女性はホットチョコレートを飲みながら話を続ける、
《アトリエ自体は素敵な絵が沢山飾られていて、とても素晴らしい場所だったと思う。
でも、あの画家はとにかく怖かった。…そんな人だって知らずに仕事を引き受けてしまったんです》
「それは大変でしたね」
《私たち以外にモデルはいなくて、いつも飲み物を持参していたわ。でも、俺の家族を汚すなって怒鳴られた。
禁止されていない場所で、ただ水を飲んでいただけなのに…不思議でしょう?作品ひとつないのに、何が気に入らなかったんだろうって疑問に思っていて…》
そこまで話したところで、女性ははっとしたように顔をあげる。
《そうだ、ヴィーナスの彫刻の造りかけがあった…。いい場所があれば完成だって話してた》
女性は顔を真っ青にして言葉を続ける。
《それがなくなっていて、完成したのか尋ねたら睨みつけられて…。真珠の耳飾りが作業台の上にありました》
やっぱりアトリエにいた人が犯人ということになるのだろうか。
それとも、その人を犯人と見せかけて…どっちだろう。
《友人は、自分が独自に調査してみるって言ってたんです。だから私はその日あの子を追いかけたの》
「そうだったんですか…」
《たしか、アトリエを訪ねて…どうしてこんな大切なことを忘れていたんだろう》
「どうかされましたか?」
女性はフォークを置いて、自分が見た景色を教えてくれた。
《友人はハーフだったから、地毛が綺麗な金髪だったの。その髪をよく触られるって困ってた。
それで、携帯を拾って中に入ったの。鍵が開いてて…。小窓から作業場をのぞいたら、あの子が…》
悲惨なものを見たのか、思い出したくないと言いたげに頭を押さえる。
「お、落ち着いてください。言いたくないことは言わなくて大丈夫ですから」
《ごめんなさい。はっきり友人だったとは言い切れないの。顔をよく見ていなくて…。
だけど、バッグについていたキーホルダーはこれと同じものだった。忘れていったのかもしれないけど、似たような金髪の人が何人もいるとは思えない》
やっぱりこの人は犯人が誰なのか確信しているみたいだ。
《その後、アトリエから出てきた絵描きさんと話していて…目が覚めたときには船の上だった》
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