皓皓、天翔ける

黒蝶

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プロローグ

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身に纏うのは、星屑を散りばめたようなマントに真っ白な手袋。
車掌である彼は、私を見てとても驚いた表情をしていたのをよく覚えている。
訳も分からず呆然と立ち尽くす私に、その人は手を差し伸べてくれた。
「お客様、こちらへどうぞ」
紳士のようなふるまいと、儚げな瞳。
いつも見る彼とは違う姿に戸惑いながら、差し伸べられた手をとる。
それが全てのはじまりだった。

──ピピピピ
「あれ、またあの夢…」
車掌の顔はぼんやりして覚えていない。
だけど、とても大切にされたことだけは分かる。
どうしていつもこんな中途半端に覚えているんだろう。
首を傾げながら、いつもどおり学校へ向かう準備をすませた。



1日に何百何千もの命が失われていくこの世界で、死と関わるのが俺の仕事だ。
今宵もきっと忙しくなるだろう。
「…そろそろ乗らないと遅れるな」
電車に乗り、普通の人間たちと同じように過ごす。
楽しそうに話す人間たちに安堵しつつ、近くで立っていたおばあさんに声をかける。
「ありがとう」
「礼を言われるほどのことはしていません」
すぐにその場を離れ、着慣れたカッターシャツの襟を正す。
学校なんてものに興味はないが仕方ない。
気分転換にはなるだろうか。
……こんなことをしても俺が赦される日はこないのに。
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