物置小屋

１人向け・看病系

明日のぬくもり(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。
もしやり残したことがあるなら…質問？僕に答えられることならどうぞ。
迎えに行く相手はどうやって決めているのか？…お迎えリストみたいなものがあるから、その順番。
大半の人間は僕を見たら怖がるけど、極稀に君みたいな者がいる。
僕をただの人として扱ってくれる人間が、ね。
全ての生きてきた人に敬意を払いたいと思っているんだ。
だから、罰則すれすれの方法をとってでも願いを叶えたいと思っている。
ここまで頑張ったんだから、さいごくらいご褒美があってもいいはずだ。
少なくとも、僕はそう思ってる。やりたいことはないの？
外に出てみたい、か。…手、しっかり掴んでて。


流石に病院の外へ行くのは危険だから、中庭にしておいた。
ほとんど部屋から出られなかったのは知ってる。
だからこそ、外の世界に憧れ続けたことも。
…息、苦しくない？疲れた？僕にもたれかかってて。
嫌かもしれないけど、何もないより楽なはずだから。
お礼を言われるほどのことはしてない。だけど、嫌な気はしない。
もうひとつ質問？…それは勿論だ。
もう痛くないし、苦しくもない。
あの扉の先がどんな世界なのか僕は知らないけど、君はその先を望むことができる。
ここで頑張ったんだって胸をはってほしい。
少なくとも、僕にとっては称賛に値する。
寒いでしょ？これ羽織ってて。あまり寒さとか感じないから平気だし、少しでも長く君の望みを叶えたい。
…今日までお疲れ様でした。願わくば、ぬくもりたっぷりの明日を。
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優しい死神シリーズにしました。