物置小屋

１人向け・other

優しく溶けていく(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。
もしやり残したことがあるなら、後悔のないように早めにすませておくことをおすすめする。
…雪？死神の僕には、天変地異を操る力なんてない。
そんな素敵な力があればよかったんだけど、僕に奇跡はおこせない。
手伝うのはかまわないけど、何をすればいいの？
…成程。君は、さいごまで誰かの願いのために動くんだね。
軽く読んだ程度だけど、どういう人生を歩んできたのかを知ってる。
苦しんでいる人たちに手を差し伸べるために、この施設を他の人と共同で立ちあげたんでしょ？
それからずっと、子どもたちとの交流を続けて…自分みたいな子を減らすために頑張ってきた。
良い行いをしてきたことに、自信を持ってほしい。
…自分が正しかったのか、ずっと気にしてるみたいに見えた。というより、そういう印象を持った。
君はずっと迷いながら進んできたんだろう？
それは誰にでもできることじゃない。誰がなんと言おうが誇れることだ。
…自分なんか、なんて思わなくていい。
今だって、こうやって子どもたちに楽しんでもらうために時間を使った。
誰かを貶めるわけでも、復讐を果たすわけでもなく、こうやって雪を作ったんだ。
…そろそろ時間だけど、もう平気？分かった。なら行こう。

…自分を酷い目に遭わせた人間が分かっても、ずっと胸の奥にしまう選択をした。
願わくば、その苦しみが雪のように溶けてなくなりますように。
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優しい死神シリーズにしました。