物置小屋

１人向け・看病系

夜明け(二側歩行)

…ああ、もう朝なのか。
一体どのくらい寝てたんだ？…まさか、丸一日なんてことはないよな。
…ねえ。さっき起きたんだけど…どうしたの？
泣かないで。あたしなら全然平気だから。
そういえば、この部屋って…そうよね、見たことない部屋だと思ったわ。
たしか歩道橋を渡るときに立ちくらみがして…あのまま段差を転げ落ちたのね。
突然だったから受け身もとれなくてこうなった…あなたは怪我しなかった？
その手に巻いてる包帯、あたしをかばおうとしたから怪我したんじゃない？
…やっぱり。ごめんなさい。あたしったらうっかりしてたわ。
あのとき、他に歩いている人はいなかったわよね？そう…。あたしより酷い怪我の人がいないのは安心したけど、あなたを傷つけてしまったら意味がないわ。
起きるまでずっとついててくれたんでしょ？ありがとう。
だけど、あたしのことよりちゃんと休んでほしい。今のあなた、ボロボロだもの。
あたしは平、気…。少し動かしづらいけど平気よ。
なあに、その疑うような顔は？…ばれたか。
流石にちょっと痛い。頭を打たなかったのが奇跡なんだから、これくらいはなんとか耐えたいところだけど。
そんなに不安がらなくていい。こういう痛みには慣れているし、ただおまえの側にいられればそれで安心だから。
…照れてる？そういうところ、本当に可愛い。
俺のことより自分の心配しろ。隣にあるの、自分のベッドだろ？
日がのぼりきるまでまだ時間がある。
どこにも行かないから、安心して休め。いいな？
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
二側歩行の彼で綴ってみました。