物置小屋

１人向け・看病系

受け取った言葉(失声症)

あれ、もう起きたの？まだ朝になってないのに…もしかして具合悪い？
笑って誤魔化そうとしても駄目。一旦そこで横になってて。
なにか飲み物をとってくるよ。…どうしたの？
『冷たいお茶が飲みたいな』…分かった、持ってくる。

はい、どうぞ。…少しはましになった？それならよかった、
そんなに申し訳なさそうにしないで。
俺のこと、揺さぶり起こしてくれてよかったのに。…嫌だった？
『あなたに迷惑をかけたくなかった』…そう言ってくれるのはありがたいけど、俺はもっと頼ってほしいって思ってる。
君の声は寝ていたら拾えないから、特に。
それで、何があったの？ゆっくりでいいから教えて。
『怖い夢を見たんだ』…昔のこと？
そっか…やっぱり君の心にはかなり深く刻みこまれているんだね。
『何年も経っているのにって言わないの？』…そんな酷いことを言う人がいるの？
君がずっと苦しんでいるのを見ているし、そう思ったことがない。
それに、心の傷って一生ものになることの方が多いでしょ？
誰かにとっての擦り傷は、誰かにとっての致命傷なんだよ。
人によって感じ方が違うんだから、昔のことなんて簡単に言えるはずない。
『ありがとう』…お礼を言われるようなことなんてしてないよ。
ただ、強いて言うなら君が傷ついたときは教えてほしい。
楽しいこともだけど、それ以外だって共有したい。…君を分かりたいんだ。
『今夜は手を握っててくれる？』…勿論だよ。
…少しでも君の苦しみが和らぎますように。
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失声症の恋人とのとある夜を綴ってみました。