物置小屋

１人向け・慰め系

硝子うさぎ(壊れかけの心に)

こんばんは。最近いつもこのあたりをうろちょろしてるよね？
やだなあ、嫌がるようなことをするつもりはないよ。ただ、退屈ならちょっとつきあってほしいんだ。
…ひとりでいるより安全なはずだしね。ほら、こっちおいで。


ゲームセンター、楽しかった？いつも同じぬいぐるみを見てるから、きっと好きなんだろうなって…当たってた？
そんなドン引きした顔しないでよ。それより、喉乾かない？
ここ、俺の店なんだ。心配しなくても、店はさっき閉めたからもう誰もいないよ。
色々なお茶を出してるんだけど、心がほぐれそうなフレーバーにするね。
はい、どうぞ。…どうかした？
声をかけた理由、か。…昔、似たようなことがあったからかな。
今はここが俺の居場所だけど、君くらいの年の頃って居場所がなくて…。
クレーンゲームとか夜の町の散歩とか、こっそり家を抜け出してはよくやってた。
何があったかとか、どんな事情で夜の町を歩いているのかは、君が話したくなったときに教えてくれればいい。
嫌なことがあったら逃げていいんだよ。逃げちゃ駄目だって言う人間もいるだろうけど、心がぐちゃぐちゃになって壊れるよりずっといい。
…何かあれば俺が責任とるし、またここに来ればいい。
怒らないよ。どうせ新作の味見とか夜食とか…あとは、読書くらいしかしてないから。
ごめん。泣かせるつもりじゃ…。いいんだよ、ここにいて。
誰も君を責めたりしない。
強いて言うなら、時々でいいから新作のお茶やデザートの試食につきあってくれたら嬉しいな。
ここにいれば寂しくなくなるかもしれない。…そういう場所があるってことだけは覚えておいて。
あまり遅くならないうちに帰らないといけないでしょ？
俺の名刺と連絡先、渡しておくから…何かあったときは遠慮なくかけておいで。
また町をさまよっていたら声をかけるね。…それじゃあ、また。
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心が温まる居場所の話を綴ってみたくてやってみました。