物置小屋

１人向け・慰め系

桜舞う季節に(視える人)

こんばんは。なんだか疲れた顔をしているね。
…突然声をかけてすみません。落ちこんでるように見えたから、どうしたのかなって思って…。
何に悩んでいたか、覚えていない？それなら、ひとつずつ話してみてください。
分かることを話していれば、何か分かるはずです。

…成程。それは悲しいですね。
心の距離ができてしまうと不安になるし、苦しいという思いを誰にも言えないのは辛い。
何か思い出したんですか？
花びら？それってもしかして、これじゃないですか？
桜の花びらが使われた栞、さっきそこで拾ったんです。
…そうですよね、寂しいですよね。
俺はあなたのことをよく知らないけど、独りが寂しいってことは分かります。
ごめんなさい。俺はついていくことも、一緒にいることもできません。
だけど、あなただけの道が見えるはずです。
…最近ここで事故があったのは知ってますか？
誰も助けなかったわけでも、あなたを無視したわけでもない。
視えなかったんです。…だけど、あなたのために泣いてる人は大勢いるんですよ。
たとえば、ほら。あの電柱に供えられている花は、あなたの冥福を祈っている人たちが毎日来ている証拠です。
ずっと泣いていたのは、あなたがいなくなってしまって悲しくなってしまったから。
…そうですか。寂しくなくなったならよかったです。
いってらっしゃい。お気をつけて。


…ひとりじゃないって分かったから満足、か。
苦しみが消えたならよかった。
また桜が舞う頃に思い出すんだろうな。
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久しぶりに視える人で綴ってみました。