物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

注目角度(箱庭)

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こんばんは。今日もお疲れ様。
ねえ、どうしたの?何か足りないものでもあった?それとも探しもの?
風呂敷なんて預かってないはずだけど…もしかして、どこかに落としちゃったのかな。
思い当たる場所はない?…思い出したならよかった。
それにしては悲しそうな顔をしてるね。
え、そんなことをされたの?人が大切にしているものを踏みつけて壊すなんて、本当に酷い。
誰かにとってのがらくたが、誰かにとっての大切だってこともあるのに…。
こんな廃墟でふたりで会うのはおかしいって言う人もいるかも知れないけど、俺にとっては君と会えるだけでかけがえのない時間なんだ。
上手く言えないけど…こんな感じで同じものでも人によってどんな価値があるかは、感じ方が違う。
たとえば、君が今日踏みつけられてぐちゃぐちゃにされた風呂敷。
君にとっては大切な人からもらった贈り物なんだよね?…宝物を傷つけられるのは、誰だって傷つく。
大切に思っている心まで踏みにじられたんだって思うと苦しいね。
君はもらったものを大切にする人だから、本当に辛かったんだろうなって…そんななか今日もよく頑張りました。
どうかしたの?…いいよ、いくらでも抱きしめる。
君にとってもこの時間が大切なら嬉しいな。
…眠くなっちゃった?寝てて大丈夫だよ。朝までは側にいるから。


…現実って怖いところだな。彼女がいつも持ち歩いている風呂敷を傷つけるなんて、どうしてそんなことができるんだろう。
本当は現実で心に寄り添ってくれる人がいた方が彼女のためなんだろうけど、難しいな。
俺はこの場所にしか存在できないし…今日も伝えそこねたな。
伝えたいけど、どのタイミングで話せばいいんだろう。分からなくなっちゃったな。
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理想の箱庭に浸りたくなったので綴ってみました。
やはり彼は、今回も残酷な事実を告げることができませんでした。
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