物置小屋

１人向け・イベント系

もう帰せない(ハロウィン)

あの…こんばんは。こっち側に来るのはやめておいた方がいいですよ。
本当に、後悔しませんか？…分かりました。
それなら僕に止める権利はありませんので…。
どうしてここに入ってはいけないか？…簡単に言ってしまえば、この先にあるのは人間の世界ではないからです。
トンネルの先には人間がいません。普段こういったことはおこりづらいのですが、境界線が曖昧になってしまうハロウィンの夜だけはトンネルが繋がってしまうのです。
だから、もし人間の世界に未練があるなら…ない？本当に？
…あーあ、折角チャンスをあげたのに。この先に行けば二度と帰れない。
僕はこの扉の番人。残念だけど君はこれからここの住人だ。
人間だってバレたら食べられてしまうから、一緒に来て。…自分で言うのもおかしいけど、奇術ってすごいんだよ。
みんなを笑顔にできるように、僕は練習していました。
あなたにはこれから僕の助手になってもらいます。…というか、そういう約束だったでしょ？
もし君が1年経っても幸せを見つけられず、この世界に絶望したままなら迎えに行くって。
…やっと気づいた？もう人間の世界には帰してあげられないけど、このまま側にいるよ。
僕は人間たちみたいに約束を破るの、嫌いだから。
今の君は人間ではない何かとして認識される。そういう奇術を使ったからね。
レディ、ついでにこちらの市場で買い物でもしていきませんか？
1年ぶりの再会と、これからの未来を祝いたい。
せっかくのハロウィンなんだし、今夜くらい嫌なことは全部忘れて一緒に楽しもうよ。
…番人になってからずっと、君が来るのを待ってたんだ。
さあ、お手をどうぞ。これから楽しい買い物の時間です。
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番人には、彼女が報われないことが分かっていたのかもしれません。