物置小屋

黒蝶

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物語の欠片

これは一体なんでしょう?(短篇です)

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アパートの1階でのこと。
「ごめんなさい!」
少女はそのまま走り出す。
「待ってぇ...」
男は追いかけはじめる。
「こないで!」
少女は絶望にうちひしがれていた。
少女より、ずっと早いものが追いかけてくる。
少女はそれが怖かった。
とうとう家まで突き止められてしまったという恐怖。
少女は強くならねばと、独りでやってきた。
それしか方法を知らなかったから。
「おい、あんた。何してる?」
少女が目の前を見ると、見たこともない少年が立っていた。
「...ちっ」
男は少年に襲いかかる。
「ぐあっ⁉」
「...さっさと立ち去れ」
男は怯え、いつの間にか消え去っていた。
「...あの、大丈夫?」
少年はしゃがみこむ。
少女は頷くことしかできない。
「...ん」
少年は手を差し出す。
「...?」
「俺、近所だから」
「...え、」
「あのアパートの3階の部屋。俺のだから」
少女は自分の隣の部屋に住んでいる住人すら知らなかったことを恥じた。
「また危ない目に遭いそうだったら、俺が何度だっておまえの所に行ってやるよ」
少女は独りでしか生きてこなかった。
初めてなことばかりで、戸惑ってしまう。
「ありがとう」
少年は太陽のようにキラキラとした笑顔をしていた。
帰り道、繋いだ手から伝わってくる熱、高鳴る鼓動、ぽかぽかとしてくる体...。
この感情の名前を、少女はまだ知らない。
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恋の芽生え、結構前に書いたものです。
走り書きで残っていたものなのですが、続きを書こうか迷っています。
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感想 5

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