物置小屋

１人向け・慰め系

想いをつめて(手紙・裏稼業side-A)

こんばんは。本日はこちらでよろしかったでしょうか？
それでしたら失礼いたしま...他にも何か？
恐らく彼女はずっと起きているので帰りたいのですが...。
...そうですか、ようやく捜索願が出されたのですね。
気をつけておきます。
彼女は成人しているとはいえ、狙われてしまう可能性もありますから。


...ただいま。あれ、もしかして寝てる？
ソファーで待ちながら眠ったのか。
最近あまり寝ていないようだったからよかった。
ゆっくり休んで。

...部屋まで運んだはいいものの、久しぶりに独りだと寂しく感じるな。
あの場所から連れ出した相棒も、今は彼女の側にいるだろうし...あれ、手紙？
《初めて会ったとき、殺されてもいいと思っていました》
...まあ、あの家庭環境じゃそう思うよな。
俺だってそうだったから、それはなんとなく分かる。
《私はあなたがいつもどんなことをして過ごしているのか、私には全然分かりません。
でも、ちゃんとありがとうを伝えたかったんです》
...お礼を言われるようなことはなにもしてないはずなんだけど。
《私のことを褒めてくれたり、好きに過ごしていいからと言ってくれたり、沢山手当てをしてくれたり、お洋服やぬいぐるみを買い揃えてくれたり...》
...別に、ぬいぐるみは俺の相棒の為でもあったんだけどな。
《私に人として接してくれて、私をあの地獄から救ってくれてありがとうございます》
...それは、俺が救われる側だったからやってみただけなのに。
《どうかこれからも、私をこの場所に置いてください》
...むず痒い。あ、ただいま。
これ、読ませてもらった。人から手紙をもらったのなんて初めてだったから、その...ありがとう。
心配しなくても、君がいたいだけここにいればいい。
それから、俺の相棒とも仲良くしてくれて感謝してる。
ぬいぐるみを大事にしてるなんて馬鹿にされると思っていたんだ。
でも君は違った。...あの人以外で馬鹿にしなかったのは、君が初めてかもしれない。
それに、俺の方が沢山ありがとうって伝えたいことがあるんだよ。
いつも掃除や洗濯をして待っていてくれる。
ご飯だって作ってもらっているし、仕事のことも聞かないでいてくれる。
...その優しさに、俺はいつだって救われているんだ。
これから先どんなことになろうと、君が望んでくれるなら俺が護るから。
起きたなら、ついでに包帯を換えた方がいい。
だいぶ傷が浅くなってきてよかった。
ちょっと横になってて。
...眠くなったら寝ていいから。
この穏やかな時間を手放したくないと思っているのは、きっと俺の方なんだ。
最初に助けたときは、ただ単に自分ににていると思ったからだった。
でも、今では君がいる日常が当たり前になっている。
...どこにも行かないでほしいって思っているのは、俺の方なのかもしれない。
寝ていいっていったのに、まさか最後まで聞かれるとはね。
今日はもうどこにも行かないから、ゆっくり休んで。

...よかった、やっと寝てくれた。
成人同士で合意のうえなら、罪にはならない。
万が一ここが見つかっても、平気で暴力をふるう奴等のところにかえすわけにはいかない。
君のことだけは護りぬいてみせる。
...あの人が俺にそうしてくれたように。
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手紙を送る相手として大丈夫かと思いつつ綴りました。
...居場所がほしかったと、時々そんなことを考えてしまいます。