物置小屋

１人向け・イベント系

私が1番ほしいもの-泣かないver.-(シリーズものです)

今日は少し冷えるね。
ごめんね、手伝ってもらって...。
あのままだと兄貴と彼女さんが会えずに終わりそうだったから、何とかしたかったんだ。
優しい？そんなことないと思う、あのふたりを騙したわけだし...優しい嘘、か。
それなら君も優しいね。
君とこうやって一緒に町を歩きたかったから、それが叶って実は今かなり舞いあがってる。
子どもっぽいって思う？それならいいけど...あ、あの店だよ。
大丈夫、今回はハロウィンの失敗を踏まえてちゃんとデートプランを練ってきたから。
あと少しで着くのに結構人が多いな...手、繋ごう。
こうしていれば、きっとはぐれないよ。
照れてる？...可愛い。
よし、じゃあ早速お店に入ろう。


あったかい...コート、ここで預けられるみたいだよ。
今日はちゃんとクリスマス限定ディナーが食べられるように予約してあるから、どんなメニューが出てくるかはお楽しみ。
綺麗だね...イルミネーション。
でも、君の方が負けないくらい綺麗だけどね。
一瞬がっかりしたのに、もしかして照れてる？
もう...本当に可愛い。そういうところ、好きだよ。
お、料理がきたみたい。...ありがとうございます。
美味しそうだね。スープにローストビーフ、チキン...付け合わせのサラダの色もクリスマスカラーだ。
何から食べようか迷うね。
それじゃあ、いただきます。


美味しかったね。外に出るとやっぱりちょっと寒いけど...。
君はどこか行きたい場所はある？
どこでも？...嘘だ、今目が泳いだからすぐ分かった。
俺相手に遠慮しなくていいから、正直に話して？
ハート型のイルミネーション？見てないな...。
もしかして、さっきからそれが見たくて探してたの？
よし、ふたりで探して見つけよう。
それって大きさはどれくらい？わっ、小さい...。
まだ歩けそう？それならもう少しこの辺りを探してみようか。

なかなか見つからないね。
体、すごく冷えてるよ。何か温かいものを飲んで少し休もうか。
...ん？兄貴からだ。
『小さなハートは1番大きなクリスマスツリーの近くに』って、なんだこの文章？
ちょっと待って。そのままだと風邪を引くといけないから、俺のマフラーしておいて。
いいからやる。...よし、これで多少は寒さ対策になるはず。
1番大きなってことは、商店街の中心にあるあれだよね？
とにかく行ってみよう。

ここのどこにハートが...あ、あった！
ほら、写真のと同じ。
これが見られたの、そんなに嬉しかったの？
...そんなジンクスがあるなんて知らなかった。
じゃあ、俺たちは見つけられたから絆は永遠だって証明できたんだな。
どうして謝るの？俺はこうやって探すの、すごく楽しかったよ。
それから...これを渡したかったんだ。
手、出してくれる？ミニツリーと文房具だけど、もし好みじゃなかったらごめん。
どうしてそんなに驚いた顔をしてるの？
同じミニツリー...やっぱり俺たちの絆は最強だね。
君さえよければだけど、もう少しだけイルミネーションを見ていかない？
ありがとう。寒くなったらカフェにでも行こう。
できるだけ長く、君と一緒にいたいから。
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『泣かないver.』ではやはりふたりのデートが中心になりました。
そしてお礼は忘れない『泣けないver.』のお兄ちゃんを綴りました。
なんでもいいから想い出を持てるというのは、決して当たり前のことではないから...どうか大切にしてください。