物置小屋

黒蝶

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1人向け・看病系

ふたりきり、あてのない旅-泣かないver.-(泣けない、泣かない。シリーズです)

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おはよう。もう準備できてる?
よし、それじゃあ行こうか。
遠足なんて無いと思ってた?まあ、一応通信制にだってそういうのはある。
それに、今日のは研修旅行って名前だしね。
歴史あるものの勉強をして、それから自由時間。
バスの席、誰と座るか...え、俺?まだ決めてないけど...そっか、それなら一緒に座ろう。
きっと楽しい研修になるよ。


大丈夫?酔わなかった?まずはこの場所をちゃんと巡ってから、自由行動になるんだ。
先週君が保健室で休んでる間に説明があったから、知らないのは仕方ない。
分からないことがあったら俺が解説するよ。
...この場所にある絵についての説明はできないけど。
俺、絵とか全然知らないんだ...。
あそこの絵のこと、この前まで『最後の3番』だと思ってたし。
笑わないで。...まあ、兄貴にも笑われたけど。
『最後の晩餐』っていうんだよね?大丈夫、それだけはちゃんと覚えたから。
ごめん、ちょっと先生と話したいから、一緒に来てくれる?
ありがとう、助かる。

先生は絵に詳しいんですか?人並みって、どの程度かによると思うんですけど...。
生徒会の仕事のことを確認しておこうと思ったんですけど、緊急で済ませないといけないことってありませんか?
よかった...ありがとうございます。それじゃあ、俺たちはこれで。
今から自由行動ですよね?大丈夫です。俺、時間に遅れたりしないんで。

ごめん、待たせちゃって...。君は本当に優しいね。
別に宛てがある訳じゃないけど、この方向に行ってみない?
それじゃあ、決まり。手、繋ごうか。
誰も見てないから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。
ここからバスで行ける距離にあるし、行こう?


...ここに、人はあんまり来ないし、穴場なんだって。兄貴に教えてもらった。
お店は沢山あるから見て回れるし...あそこのベンチに座ろうか。
誤魔化してもダメだから。...具合悪いんでしょ?
さっきからちょっと変だなって思ってたんだ。
なんだか反応薄いし、声に元気がないっていうか...。
頭痛?いいから、俺にもたれてて。
そんなに謝らなくても大丈夫だよ。
こうやって側にいられるだけで嬉しいし、君とならどんな時間も穏やかに過ごせる。
...ここで休んで、余った時間でお土産でも見てみようか。
折角なら、ふたりで思い出になるものをひとつくらい買いたい。
寝てていいから...分かった、30分たったら起こす。
おやすみ。ゆっくり寝てね。

...起きられる?頭痛はもう平気?
それなら、あのお店に入ってみようか。
可愛い小物が沢山あるんだって。
俺はこういうのに疎いからあんまり分からないけど...そのくまのマスコット、気に入ったの?
え、俺もお揃いで?嫌な訳じゃないけど、俺が持ってると似合わないんじゃないかな...。
よし、じゃあお揃いで鞄につけよう。
それから...はい。こっちのは部屋にでも置いとこう。
他は...ハンカチとかならいつでも持ち歩けるよね?
こういうの好きじゃなかったっけ?...やっぱり。
君が持ってる財布にそっくりな模様だなって思って...これも買おう。
そうだ、お昼食べられそう?
それなら、この近くに美味しいお店があるみたいなんだ。
さっき店員さんに聞いてきたから味は間違いないと思うよ。
それじゃあ、ご飯食べに行こうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こちらのふたりの場合は、『行った先をふたりで巡る旅』ということにしました。
学校によって違うとは思うのですが、私が通っていた通信制ではこういった授業とは別の行事に出席することでもらえる特別点があり、それが足りないと卒業できないシステムでした。
自分がいたい相手といられるのが長所だと思います。
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