物置小屋

１人向け・看病系

ふたりきり、あてのない旅-泣けないver.-(泣けない、泣かない。シリーズです)

おはよう。今日は遠足の日だね。
行けそう？...迎えにきた方がいいかなって思ったんだけど、迷惑だった？
分かった、それじゃあ僕が車で送っていくよ。
もし無理そうなら、僕は保健室の先生と一緒にいるからそこにおいで。
...寂しい？僕が学校からいなくなるのが？
確かに教育実習はもうすぐ終わっちゃうけど、それと同時に堂々と元どおり恋人として歩けるのは楽しみだよ。
照れてる？...可愛い。
あ、そろそろ先生モードになっておかないと。
このままこんなふうに話していたら、にやけちゃいそうだから。


...よし、着いたよ。
僕はここにいるから、何かあったらすぐ言って。
ああ、おはようございます先生。
彼女には具合が悪くなったらここにくるように伝えておきました。
保健室に関係ない先生方に任せるわけにはいかないでしょう？
先日のようなことになれば、彼女はまた辛い思いをすることになりますから。
...すみません、ちょっと行ってきます。

大丈夫？具合悪い？...ちょっとごめんね。
ゆっくりでいいから、あそこの日陰まで移動しようか。
吸って...吐いて。そうそう、そのまま続けて...先生、彼女が体調を崩したみたいです。
分かりました、それならもう少し落ち着いたら学校まで連れ帰って保健室で休ませておきます。
...歩けそう？今なら目立たずに出られそうだから、一緒に行こうか。


着いたよ。しばらくそこで横になってて。
そんなに謝らなくても大丈夫。
体調が悪くなる日は、誰にだってあるから。
それに...何かされてたでしょ？鞄、ちょっと見せてもらうね。
まだ動こうとしたらふらふらするでしょ？
ちゃんとベッドで寝てて。帰りは家まで送っていくから。
本当はちゃんと眠ってほしいけど、話したいことだけ話してくれればいいからね。
ん？これは酷い...お弁当、砂だらけで食べられないね。
あの人たちとは偶然鉢合わせたの？
それは辛かったね...。
保健室は具合が悪くなった人がきていいところだから...それは、心の傷も含まれる。
保健室の先生は君のことを責めたりしないでしょ？
他の先生や生徒がなんと言おうと、学校にこられるというだけで充分すごいことなんだよ。
さぼってるだけなら、教室へ行きなさいって言うけど...君の場合はそうじゃない。
毎日死にたくなるほどの嫌がらせに耐えた結果、心の傷が癒えてないからこうして保健室登校が認められてる。
今日だって、頑張って学校まできたでしょ？大丈夫、君は頑張ってるよ。
よしよし、よく頑張りました。
そうだ、今日の帰りに少しだけ寄り道しよう。君がいいならだけど...本当？じゃあ決まり。
そのときに倒れないように、今はちゃんと眠って？
帰る時間になったら、ちゃんと起こすから。


...起きられる？それじゃあそろそろ行こうか。
ほら、乗って。
行き先は全然決めてないけど、行きたい場所はある？
いいね、海を見に行くのって楽しそう！
遅くなるまでに必ず家に送るから、ふたりだけの遠足に出掛けよう。
他の人には見つからないようにしないといけないけど、きっといい思い出を作れるよ。
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泣けない、泣かない。シリーズです。
『-泣けないver.-』の彼は、いつかは教育実習の期間が終わってしまいます。
それまでに彼女に何ができるのか、葛藤していることでしょう。
台本版では遠足に行けましたが、実は小説版では少し違った内容になる部分です。
因みに泣けない、泣かない。シリーズの彼らにも小説版では名前があります。
彼ら4人の他に、『-泣けないver.-』の場合は保健室の先生にのみ名前がついている状態です。