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1人向け・イベント系
月光の羽衣と星屑の芒・月光の羽衣ルート(奪い愛の結末・壱)
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「いきなりどうしたの、琴なんか弾きはじめて...。」
『彼女は、あなたに聴かせる為に練習していたんだ。』
「練習...?」
『そうだ。あなたに聴かせる為に力を貸してほしいと言われて、音の出し方を教えた。
それから...姫は自分を育ててくれた人たちにお礼がしたいのだとも言っていた。
...だから、あなたを止めるのに協力したんだ。』
「それは悪いことをした。...僕が間違っていた。
人間は野蛮だから、姫を隠してしまおうと思っているんじゃないかと疑ってしまった。
姫のことを想っていたはずなのに、自分が1番になっていた。」
『あなたが人を信じられないのも無理はない。
かぐや姫からあなたの話を聞いたとき、嫉妬した。』
「嫉妬?」
『私が彼女のことを想っているのは本当だ。
だが、あんな笑顔でようやく会えるのだと言われて...誰がそれを奪おうと思うものか。』
「...おまえのような者もいるということ、覚えておく。」
『それは光栄だ。』
「いい音だった。とても美しかったよ。
それじゃあ、そろそろ...」
『少しだけ私に時間をくれないだろうか?』
「...勘違いして他の者を眠らせてしまったお詫びもしないといけないし、いいよ。
...姫、僕は月に帰る準備をしておくよ。」
『最後に、あなたとふたりで話がしたかったのです。
私が想うのはあなただけ。だからこそ、しっかりと別れを告げたかった...。
あなたがどれだけ深く彼のことを想っているのは分かりました。
なので、引き留めたりはしません。
こちらのことはどうか気にしないでください。
ほら、そんなに泣かないで...。
ようやく愛する人と結ばれるのですから、どうか笑っていてください。
その涙を拭うのは、もう私の役目ではありませんが...どうか、この手拭いを持っていってください。
それでは、あの者のところまで送ります。』
「もういいの?」
『ああ。これで私の役目は終わりだ。』
「もう会うことはないとは思うけど、次に会ったら僕にも琴を教えてよ。」
『...勿論だ。それでは姫、どうかお元気で。』
「君はいい人間に出会ったね。
これでは罰にならなかったと月の者たちには呆れられてしまいそうだけれど、君が傷つけられなくてよかった。
約束、護ってくれてありがとう。
【君が月を抜け出して、遊びに行った罪を償い終えたその日に必ず迎えに行くからそのときまで待っててくれ】なんて約束、なかったことにしてくれてよかったのに。
...ごめん、嘘。本当はすごくほっとした。
それにしても、やっぱり君にはその羽衣がよく似合うね。
というか、その手拭いってさっきの男の?
...嫌だなって思ったけど、別にいい。
その代わり、もう一生離さないから。
これからは僕が君を護る。
だから、ずっと側にいてね。
さっき感情なんかって言ったけど、僕にも想いがあったな。
...ううん、なんでもない。宴の準備ができているはずだから、早く行こう。」
『...あのふたりは、そろそろ月に辿り着いただろうか。
私が想うのは一生あなただけ。
これからこの叶わぬ想いを忘れずに生きていきます。
けれどどうか、満月の度にあなたを思い出すことだけは赦してください...。
どうか、いつまでもお幸せに。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このルートでは、昔からの約束を護りたいかぐや姫は月に帰ることになりました。
かぐや姫との物語、とにかく言葉遣いが難しかったです...。
使者はできるだけ淡々と、無感情に...それとはほぼ正反対の貴公子も、雅というか昔にありそうな言葉にするのになかなか苦戦しました。
『彼女は、あなたに聴かせる為に練習していたんだ。』
「練習...?」
『そうだ。あなたに聴かせる為に力を貸してほしいと言われて、音の出し方を教えた。
それから...姫は自分を育ててくれた人たちにお礼がしたいのだとも言っていた。
...だから、あなたを止めるのに協力したんだ。』
「それは悪いことをした。...僕が間違っていた。
人間は野蛮だから、姫を隠してしまおうと思っているんじゃないかと疑ってしまった。
姫のことを想っていたはずなのに、自分が1番になっていた。」
『あなたが人を信じられないのも無理はない。
かぐや姫からあなたの話を聞いたとき、嫉妬した。』
「嫉妬?」
『私が彼女のことを想っているのは本当だ。
だが、あんな笑顔でようやく会えるのだと言われて...誰がそれを奪おうと思うものか。』
「...おまえのような者もいるということ、覚えておく。」
『それは光栄だ。』
「いい音だった。とても美しかったよ。
それじゃあ、そろそろ...」
『少しだけ私に時間をくれないだろうか?』
「...勘違いして他の者を眠らせてしまったお詫びもしないといけないし、いいよ。
...姫、僕は月に帰る準備をしておくよ。」
『最後に、あなたとふたりで話がしたかったのです。
私が想うのはあなただけ。だからこそ、しっかりと別れを告げたかった...。
あなたがどれだけ深く彼のことを想っているのは分かりました。
なので、引き留めたりはしません。
こちらのことはどうか気にしないでください。
ほら、そんなに泣かないで...。
ようやく愛する人と結ばれるのですから、どうか笑っていてください。
その涙を拭うのは、もう私の役目ではありませんが...どうか、この手拭いを持っていってください。
それでは、あの者のところまで送ります。』
「もういいの?」
『ああ。これで私の役目は終わりだ。』
「もう会うことはないとは思うけど、次に会ったら僕にも琴を教えてよ。」
『...勿論だ。それでは姫、どうかお元気で。』
「君はいい人間に出会ったね。
これでは罰にならなかったと月の者たちには呆れられてしまいそうだけれど、君が傷つけられなくてよかった。
約束、護ってくれてありがとう。
【君が月を抜け出して、遊びに行った罪を償い終えたその日に必ず迎えに行くからそのときまで待っててくれ】なんて約束、なかったことにしてくれてよかったのに。
...ごめん、嘘。本当はすごくほっとした。
それにしても、やっぱり君にはその羽衣がよく似合うね。
というか、その手拭いってさっきの男の?
...嫌だなって思ったけど、別にいい。
その代わり、もう一生離さないから。
これからは僕が君を護る。
だから、ずっと側にいてね。
さっき感情なんかって言ったけど、僕にも想いがあったな。
...ううん、なんでもない。宴の準備ができているはずだから、早く行こう。」
『...あのふたりは、そろそろ月に辿り着いただろうか。
私が想うのは一生あなただけ。
これからこの叶わぬ想いを忘れずに生きていきます。
けれどどうか、満月の度にあなたを思い出すことだけは赦してください...。
どうか、いつまでもお幸せに。』
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このルートでは、昔からの約束を護りたいかぐや姫は月に帰ることになりました。
かぐや姫との物語、とにかく言葉遣いが難しかったです...。
使者はできるだけ淡々と、無感情に...それとはほぼ正反対の貴公子も、雅というか昔にありそうな言葉にするのになかなか苦戦しました。
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