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1人向け・イベント系
これから先は、想い出を...。(お祭りの話です)
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おはよう。今日もご飯、作ってくれたの?
食べなくても平気だから別にいいのに...いただきます。
...うん、やっぱり美味しい。
また笑ってるけど、どうして?いつも食べてくれるからって...一緒に過ごしてまだ十日くらいだと思うけど、相変わらず君は不思議だね。
そうだ、頼んで洋服が届いたんだ。
これは特別な服で、着ている間なら今の君でも物に触れることができる。
僕が用意したものだから、あんまりセンスはよくないかもしれないけど...着てくれる?
どうして用意したのって...君がやりたいことを叶える為、かな。
僕は死神だって分からないように、人間のふりができる。物にだって触れられる...。
でも、君は物に触れられない。それだと、君がやりたいことは叶わないんじゃないかな?
...買い食い、してみたいんでしょ?これなら人間に分からないから。
えっと、いいと思う。
...ごめん、おしゃれだとかそういうの、やっぱり分からないんだ。
着られればそれでいいって、そう思ってたから。
その割りにはいつもかっこいいって?...それもよく分からない。
取り敢えず、一緒に行こう。
...ねえ、買い食いってこんなに賑わっている場所を歩くんだっけ?
それに、見たことないものが沢山ある...。
これって何?お祭りっていうの?...そういえば、人間が沢山いてるね。
それに、あんまり見たことがないものがある。
あれって何ていうものなの?
りんご飴...そうなんだ。僕は人間のふりをするけど、こんなに賑やかな場所を歩くことは滅多にないから。
...大きいの?小さいの?分かった。...すみません、小さいのをふたつください。
君のことは、僕以外には見えてないから。
お金?ちゃんと払うのは当たり前でしょ?
人間に溶けこむとき、ただふらふらしてるだけじゃないんだよ。
さっきから複雑そうな表情をしてるけど、どうかした?久しぶりにきたからって...前にきたときは楽しんだの?
...独りできたんだ。それは、寂しかった?...人と話せてよかった、か。
やっぱり君はすごいね。他の人間たちみたいに、憎まない、恨まない。
僕には相変わらずそれが分からないけど...それでも、君が辛いことを沢山抱えているのは知ってるよ。
...正確には、抱えていた、になるのかな。
ところで、これってどうやって食べるの?普通の棒つきキャンディみたいに...あ、甘い。
すごく美味しいね。顔色が悪いけど、大丈夫?
生きてたときの知り合い...あの集団か。
こっちへ行こう、多分人間がそんなにいないはずだから。
ごめん、配慮が足りなかった。
君が辛い思いをしたことも、ちゃんと分かってたはずなのに...。
...怒らないの?迷惑をかけたのに優しいって...僕のこと、また優しいって言うんだね。
僕が今まで見てきた人間って、恨んだり憎んだりしてる人が多くて...あとは、悲しみを抱えてる人。
だから、それ以外のってよく分からなくて...ただ、君と過ごすうちに少しだけ分かってきたところもあるんだよ。
たとえば?そうだな...嬉しいときに涙が出ることとか、君が笑うとなんだかふわふわすることとか、あとは...どうして顔が赤いの?照れてるから...そうなんだ、具合が悪いんじゃないかなって思ったから違うならいいんだ。
...今、空に何かあがらなかった?花火?...すごい、花みたいだね。
ああ、だから花火っていうのかな。
また笑ってるけど、そんなに楽しい?...独りじゃないから、か。
そういうもの、なのかな。
もしこの場所に僕が独りでいたとしても、何も感じなかったと思う。
だけど今は、綺麗だなって思うよ。花火も...君も。
なんだか急に頬が熱くなってきたような気がする。
これが、照れ?...また分からないものが分かるようになった。
だけど、さっきの言葉は嘘じゃないから。
花火、終わっちゃったみたいだね。
いい想い出ができた?...そっか。
このほっとしたのは、安心っていうのかな。
...これから、ふたりで沢山いい想い出を作ろう。
初めて会ったときに、約束したとおり。
ほら、手、繋ごう。...それじゃあ、一緒に帰ろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
死神さんとのシリーズにしました。
ヴァンパイアハーフで書こうかとも思ったのですが、なんとなくしっくりきたので...。
一つか二つ前の話で死神さんにやりたいことを聞かれたとき、彼女は買い食いしてみたいと答えたなと思いまして...折角ならイベント系にしてみようと綴ってみました。
彼女は死神さんについていってようやく幸福を手に入れて、死神さんは彼女と出会ったことで感情を手に入れて...。
設定上紡ぐのが難しいと感じる部分もありつつ、割りと楽しんで綴ることができているような気がします。
こんなふうに優しい世界ならいいのに、なんて思ったりもします。
食べなくても平気だから別にいいのに...いただきます。
...うん、やっぱり美味しい。
また笑ってるけど、どうして?いつも食べてくれるからって...一緒に過ごしてまだ十日くらいだと思うけど、相変わらず君は不思議だね。
そうだ、頼んで洋服が届いたんだ。
これは特別な服で、着ている間なら今の君でも物に触れることができる。
僕が用意したものだから、あんまりセンスはよくないかもしれないけど...着てくれる?
どうして用意したのって...君がやりたいことを叶える為、かな。
僕は死神だって分からないように、人間のふりができる。物にだって触れられる...。
でも、君は物に触れられない。それだと、君がやりたいことは叶わないんじゃないかな?
...買い食い、してみたいんでしょ?これなら人間に分からないから。
えっと、いいと思う。
...ごめん、おしゃれだとかそういうの、やっぱり分からないんだ。
着られればそれでいいって、そう思ってたから。
その割りにはいつもかっこいいって?...それもよく分からない。
取り敢えず、一緒に行こう。
...ねえ、買い食いってこんなに賑わっている場所を歩くんだっけ?
それに、見たことないものが沢山ある...。
これって何?お祭りっていうの?...そういえば、人間が沢山いてるね。
それに、あんまり見たことがないものがある。
あれって何ていうものなの?
りんご飴...そうなんだ。僕は人間のふりをするけど、こんなに賑やかな場所を歩くことは滅多にないから。
...大きいの?小さいの?分かった。...すみません、小さいのをふたつください。
君のことは、僕以外には見えてないから。
お金?ちゃんと払うのは当たり前でしょ?
人間に溶けこむとき、ただふらふらしてるだけじゃないんだよ。
さっきから複雑そうな表情をしてるけど、どうかした?久しぶりにきたからって...前にきたときは楽しんだの?
...独りできたんだ。それは、寂しかった?...人と話せてよかった、か。
やっぱり君はすごいね。他の人間たちみたいに、憎まない、恨まない。
僕には相変わらずそれが分からないけど...それでも、君が辛いことを沢山抱えているのは知ってるよ。
...正確には、抱えていた、になるのかな。
ところで、これってどうやって食べるの?普通の棒つきキャンディみたいに...あ、甘い。
すごく美味しいね。顔色が悪いけど、大丈夫?
生きてたときの知り合い...あの集団か。
こっちへ行こう、多分人間がそんなにいないはずだから。
ごめん、配慮が足りなかった。
君が辛い思いをしたことも、ちゃんと分かってたはずなのに...。
...怒らないの?迷惑をかけたのに優しいって...僕のこと、また優しいって言うんだね。
僕が今まで見てきた人間って、恨んだり憎んだりしてる人が多くて...あとは、悲しみを抱えてる人。
だから、それ以外のってよく分からなくて...ただ、君と過ごすうちに少しだけ分かってきたところもあるんだよ。
たとえば?そうだな...嬉しいときに涙が出ることとか、君が笑うとなんだかふわふわすることとか、あとは...どうして顔が赤いの?照れてるから...そうなんだ、具合が悪いんじゃないかなって思ったから違うならいいんだ。
...今、空に何かあがらなかった?花火?...すごい、花みたいだね。
ああ、だから花火っていうのかな。
また笑ってるけど、そんなに楽しい?...独りじゃないから、か。
そういうもの、なのかな。
もしこの場所に僕が独りでいたとしても、何も感じなかったと思う。
だけど今は、綺麗だなって思うよ。花火も...君も。
なんだか急に頬が熱くなってきたような気がする。
これが、照れ?...また分からないものが分かるようになった。
だけど、さっきの言葉は嘘じゃないから。
花火、終わっちゃったみたいだね。
いい想い出ができた?...そっか。
このほっとしたのは、安心っていうのかな。
...これから、ふたりで沢山いい想い出を作ろう。
初めて会ったときに、約束したとおり。
ほら、手、繋ごう。...それじゃあ、一緒に帰ろうか。
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死神さんとのシリーズにしました。
ヴァンパイアハーフで書こうかとも思ったのですが、なんとなくしっくりきたので...。
一つか二つ前の話で死神さんにやりたいことを聞かれたとき、彼女は買い食いしてみたいと答えたなと思いまして...折角ならイベント系にしてみようと綴ってみました。
彼女は死神さんについていってようやく幸福を手に入れて、死神さんは彼女と出会ったことで感情を手に入れて...。
設定上紡ぐのが難しいと感じる部分もありつつ、割りと楽しんで綴ることができているような気がします。
こんなふうに優しい世界ならいいのに、なんて思ったりもします。
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