物置小屋

１人向け・看病系

これから先は、大丈夫。(まさかの風邪)

...おはよう。
今日はいつもより起きるの遅かったね。昨日夜遅くに仕事があったからかな？
それとも、僕が起きるのが早かったのかな...。
大丈夫？今、転びそうになったけど...目眩？体が、熱い？
...少しだけ待ってて。

おかしいな、あのときちゃんと病弱な部分は祓ったはずだし、そもそも死んだ後に風邪をひくなんてことが...ある、のか。
人間って、やっぱりかよわいんだな。
...いや、繊細っていうのか。

本で調べてみた。多分、君は風邪をひいている状態で...大丈夫？
なんだかすごく辛そうだね。
取り敢えず、横になった方がいいんじゃないかな。
ごめん、僕についてきた人間って君が初めてだから、分からないことの方が多いんだ。
食事や睡眠が必要なことでさえ本がなければ分からなかったし...食べるのは僕も同じだけど、まさか睡眠をとる日がくるとは思わなかった。
僕は何をすればいい？こういうとき、人間ならどうする？
...手を握っててほしい？これでいいの？分かった、それじゃあこのままでいる。
他にはどうすればいい？君はいつも独りでいたよね...？
だから、余計に分からないんだ。側にいるだけでいい？
...そういうものなのかな。君が眠るまではこうしてる。
その後、少し考える。

眠れたみたいだけど、少し苦しそうだ。
天使みたいに全部持っていければよかったのに...。
こんなこと、考えたこともなかったな。
さて、どうしようか。


...ごめん、起こした？
お粥を作ろうとしたら焦げた。...ごめん。
作るの初めてで、よく分からなくて...嬉しい？どうして？
病気のときに優しくされたことがあんまりなかったからって...僕は、優しいのかな。
こんなにぐちゃぐちゃなのしか作れなかったのに？
気持ちが嬉しい...ごめん、その感覚はまだ分からない。
もう一回作ってみる。駄目だったら、何か別の方法を考える。
だから、もう少しだけ待ってほしい。
次は失敗しない。

...今度こそできた。口開けて？本に人間はそうやってお世話するって書いてあったから。
こんなふうにされたことないって...僕、間違えた？だから泣いてるの？
え、嬉しいから？...涙の意味、まだ聞かないと分からないみたいだ。
これが、思いやり？そうなんだ。...独りのときはどうしてたの？
僕が知ってるのは、独りで我慢してたことと...起きあがれないくらい体調が悪いのを無理して隠してたことだけだから。
あ、だけど君は他の人間に濡れたタオルとか持っていってたね。
あれも、思いやり？...自分がやってもらうのは初めてってことか。
僕も、こういうことをするのは初めてだよ。
間違ってたらすぐ言って。...ご飯、不味かった？あんまり食べたくない、か。
分かった、濡れたタオル、持ってきてもいい？
...たしか、こうやって額にのせて冷やすんだよね？
よかった、間違えてなくて...そのまま動かないでね。
もう寝た方がいい。手、また繋ぐ？これくらいの力なら、痛くない？
...大丈夫だから、ゆっくり休んでね。


おはよう。大丈夫？
もう治ったみたいだね。元気になってよかった...。
僕のおかげ？僕は何もしてないけど...お礼、また言ってくれたけど、本当に何もしてないから。
それにしても、君の笑顔って不思議だね。
なんだかまたざわざわしてるけど、嫌なざわざわじゃない。
なんでもない。次の休みこそ、一緒に出掛けてみよう。
服、そのときには届いてるはずだから。
...楽しみ？それって、この先のことを考えるとわってなる感覚のこと？
そう、なんだ。...僕も楽しみだな。
君を笑顔にできるなら、なんでも叶えたいなって思うけど...これの正体は、何だろうね。
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死神さんの物語では初めての看病系です。
死神さんって看病するのか、そもそも彼女は風邪をひくのだろうか...そう思いつつ、なんとか綴ってみました。
少しずつ、色を足していけているといいなと思います。