物置小屋

１人向け・慰め系

桜の影に、君想ふ。(『あなたに誓う』の続き)

どうした？さっきから話しかけてるのにぼうっとしてるのはおまえの方だろ？
桜？なんで急に...いや、行かないとは一言も言ってねえだろ。
...明後日。だから、明後日までに必要なもの揃えとけ。
その日なら休みだから、連れてってやる。


こっちの公園？...ああ、ここか。
あんまり咲いてないみたいだけどいいのか？
所謂名所みたいなところだともっと咲いてるはずだが...分かった。荷物貸せ。
これだけの量を一人で降ろすの大変だろうが。遠慮せずに手伝わせろ。いいな？

人がいない静かな場所だけど、ここ...っておい、どうした？なんで泣いてるんだよ...。
...ああ、やっぱりそうなのか。
よく来てたのか？...おじいさんと。色々思い出したら涙が止まらなくなったんだろ、謝る必要なんかない。
この公園に思い出があるのか...成程。
桜が見たかったというより、この公園にきたかったんだろ？...それなら素直にそう言えよ。
桜の名所とか検討違いなこと言わずに済んだのにってこと。
なんで言わなかった？怒らないから言ってみろ。...俺が嗤うと思ったから？そんなことするわけないだろ。
どんな場所だって、想い出の場所なんてものは人それぞれだろ。それを笑う権利なんて誰にもない。...違うか？
それにしても、おまえは本当におじいさんが大切だったんだな。
俺より思われてる気がする。...なんてな。
まあ、取り敢えず何か食べるか。持ってきた林檎も意味があるんだろ？
いいから教えろ。...言いたくないならいいけど。
ふうん？思い出の食べ物、ね...。
どうした、また泣きそうなのか？
無理に笑わなくていい。...涙なんていくらでも拭ってやるから、好きなだけ泣け。
他に誰もいないし、別に俺に遠慮する必要はない。
泣いてすっきりしたら、おまえの思い出を聞かせてくれ。
...俺がおまえの、一番でいたいから。
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亡くなった祖父母の家の近くに、桜が咲く公園があります。
まだ満開とまではいかないものの、少し咲いていたので書いてみることにしました。
今日？明日？どちらかが命日のはずなんです。
まだ私が幼い頃、よく見に行っていたのを覚えています。
記憶が飛ぶ前だったので、ちゃんと私のなかに残っている『大切な記憶』です。
桜の花言葉は、『精神の美』。
因みにこれがヤマザクラという種類になると、『あなたにほほえむ』という意味も加わってきます。