物置小屋

物語の欠片

タイトル未定・第１話『突然の別れ』

私はいつもどおり、学校のとある場所にいた。
屋上での待ち合わせ、相手は恋人...ならロマンチックだったのだろうが、大切な友人だ。
(遅いな...)
スマートフォンを見てみても、連絡は入っていない。
休むときは休むとこまめに連絡を入れてくる子なのだ。
結局何も起こらないまま、教室へと足を運ぶ。
「席につけ。...みんなに話しておかなければならないことがある」
教師はそう前置きをしてから、衝撃の一言を放った。
「雛川花代かよが亡くなった」
教室は一瞬しん、となったが、今度は一気に騒がしくなった。
「死んだってマジで!?」「すげえ、こんな経験したことねえ！」「なんでかな？もしかして自殺だったりして！」
そんな言葉が飛び交うなか、私はただ黙っていることしかできなかった。
友人が死んだ。
一言で言い表せばそういうことなのだろうが、私にはそれができなかった。
そうしたくなかった。
『また明日、屋上でね』
そう言って、遅くまでスマートフォンで話して...どこも違わなかった。
「静かに！とにかく葬儀は...」
それから教師の言葉は耳に入らず、そのまま目の前が真っ暗になった。
ーー目を開けると、そこは真っ白な布団の中だった。
「鈴奈ちゃん」
「...？私、どうして、」
「あなたは朝会中に倒れたの。体は大丈夫？」
保健室の矢澤先生が私の顔を覗きこんでいる。
頷こうとしたけれど、別の人の気配を感じて...私は黙っていた。
「日長鈴奈さんですね」
「あなたは誰？...おじさん」
おじさんはポケットから手帳を取り出しながら、苦笑いして私と目を合わせた。
「君たちとはそんなに違わないはずなんだけど...まあいいか。僕は上野真幸まさゆき。...雛川花代さんについて少し話を聞かせてもらえないかな」
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
ここから話がはじまります。
近くの人が死んだとき、死んだという一言では済ませられなくなります。
私にも、失われたものがあります。
その瞬間心が凍り、時が止まりました。
それから進めるのかどうかは、その人たち次第です。
...私も含めて。
気が向いたらまた続きを書きたいと思います。