物置小屋

１人向け・other

贖罪(分類不能・失った人との約束)

こんにちは。どうした？そんなに俯いて...。
それにしても、ここにくるなんて物好きだね。
ここにくるのは、面白いからって奴と本当に死を考えてる奴だけだよ。
...自殺の名所、だから。
しかもこんな田舎、くる奴の方が少ないよ。
その岩の前、写真撮るとすごいことになるらしいよ。
まあ、僕はそれより確実そうな飛び降りを試しにきたんだけどね。
ここから落ちた人たちが沢山いるから、こうやって規制線がはられて入れないようにって対策されてるんだよ。
けど...その岩の上、乗ってごらん。
ほら、すぐ下に海が見えるでしょ？本当は乗っちゃ駄目なんだけどね。
冗談抜きでお遊びできていい場所じゃないんだ。もし君が生きたいと願うなら、今すぐ帰りなさい。
今ならやめられるよ。
...僕？僕はちょっと思い出を色々思い返してからやるよ。失うものは何もないからね。
...僕は、毎日いじめられて育った。
親にも愛されなかった。テストでいい点をとらないと叱られる。...特に数学や英語は百点じゃないと怒鳴り散らされるんだ。
頑張ろうと思ったけど、無理だった。
...僕が、駄目な奴だから。
だから今ここで終わりにする。
今すぐに、全てを...そう思って毎日きてるくせに、怖くなる。
どうしてだろうね。これからもこの孤独が続くなら、僕がいたって意味ないのに。
こんなふうにまともに人と話せたの、久しぶりな気がする。
ありがとう、僕の最後の話し相手。
君はどうする？怖くなった？...それがいい。怖いなら、今はまだ生きていた方がいいと思うんだ。
...死ぬのはいつでもできるから、また生きるのが嫌になったらいつでもくるといい。
...多分僕も生きてるから。


あなたの言葉どおり、ここから飛び降りを試みる人たちは止められているみたいです。
自分だけそっちに逝って僕には逝かせてくれないんだから、本当に狡い。
...誰もがここにただの観光名所として訪れるようになって、勇気が出るその日までは、僕はここからの景色を素直に楽しむことにします。
でももし、それが人を余計に苦しめることだったり、絶対に叶わないことだと分かったそのときは...あなたに追いつくから。
それがあなたの苦しみに気づけなかった、僕の償いです。
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私の知り合いには、自殺した人が三人います。
みんな首吊りです。
この話に織り混ぜたのは、私の経験です。
誰にも愛されない、数学と英語のテストは満点が当たり前...バスで二十分ほどの場所にある名所で本当に出てしまった行方不明者。
私がいなくなっても探してくれる人はいないけれど、もし近くにそういう人がいるのなら。
どうか生きることを諦めないでください。